多様な文化を物語る名建築が特別公開される3日間!「神戸モダン建築祭2024」をひと足早く体験 神戸市
11月22日から24日まで神戸市内で開催される「神戸モダン建築祭2024」。今回23建築を3日間自由に見学できる「パスポート公開」をひと足早く体験したので、その一部を見どころと一緒にご紹介します。
まず訪れたのは北野の『神戸ムスリムモスク』。1935年に神戸在住のトルコ人、タタール人、インド人貿易商たちの出資によって日本で最初に建てられたイスラム教寺院なのだそう。
1階中央には、教徒が聖地に向かって礼拝する「ミフラープ」と、階段状の説教壇「ミンバル」があり、厳かな雰囲気に包まれています。
日本人初のイマーム(指導者)である藤谷勇介さんは、敬虔な信者を前に1日に5回、この場所で説教を行うそう。男性は1階、女性は2階と分かれて受けます。
「女性はいずれ誰かの奥さんになり、旦那さんにとって大事な存在となります。そのため他の男性が近くにいたり、触ったりすることは許されません。これは大切な女性を守るためなのです」と話してくれたイマーム。イスラムに対するイメージを改めさせられました。
次に訪れたのはモスリムから歩いて3分ほどの場所の安藤忠雄氏が設計した『ROSE GARDEN』。1977年に建てられた安藤建築の初期代表作と言われています。
レンガを長手(長い面)だけの段、小口(短い面)だけの段と交互に積み上げる「イギリス積み」が特徴で、この建物の影響で周辺にレンガ造りが増えたのだとか。
奥まった入口から中に進むとレンガの壁が続き、古めかしさがノスタルジーを誘います。
建物で囲まれた中央部に中庭を設け、回廊と階段は鋭角に設計し、一部に曲線を用いた前衛的なデザインは3階から見下ろすと一目瞭然。これが昭和時代に建てられていたことに改めて驚かされます。
次は斜め向かいにある『中華民国留日神戸華僑総会』。通常は非公開ですが、この3日間はパスポートを見せると入館できます。
木造2階建てのコロニアルスタイルの館はドイツ人実業家のゲンセン氏の住宅として1909年に竣工。第2次世界大戦を経て、1949年からは『神戸華僑総会』の事務所として使われており、現在も当時のまま残されています。
一階には応接室、居間、食堂が並び、2階は寝室、化粧室などが設けられています。広い応接室は現在は会議室として利用され、他にもパスポートやビザの申請に各種証明書の発行などの代行サービスも行っているそう。
南側の広い庭を眺められるサンルームは、台風や嵐から守るため、ガラス窓や扉を後で取り付けたのだとか。2階のベランダからは、神戸港の船の出入りもみることができたそう。
昨年は建築祭のなかでもトップの2,700人もの来館者があった人気スポットですが、今年は茶芸師が淹れる台湾五大銘茶の飲み比べを楽しむ「台湾茶BAR」(1,500円・税込)も開催されるそうです。
最後に訪れたのは港湾エリアの『神戸税関』。ここでは普段見ることのできない2階の貴賓室が特別に公開されます。
もともと皇族のために作られた部屋だそうで、昭和天皇が神戸を訪れた際は、この部屋でくつろがれていたとか。調度品やインテリアまで畏れ多く感じてしまいます。
そして席の裏手には皇族方が使っていた化粧室があります。大理石で作られたこの場所は、映画やドラマとしてよく使われるそうで、重厚感のある手洗い場を使うシーンなど記憶にある人も多いのでは。
1階に降りてロビーから円柱の時計塔部分を見上げると、天井の彫刻などレトロな雰囲気が吹き抜けのデザインにマッチしています。
そして隠れた注目ポイントは貴賓室にあがる階段の手すり。木が不自然に曲がってねじれながらカーブ状をなす形態は、知る人ぞ知るスポットらしく、マニアにはたまらないそうです。
他にも、『シュウエケ邸』や『クラブ月世界』など、3日間では回り切れないみどころが満載。「パスポートには見学以外に飲食代の割引やドリンクサービスも付いています。MAPを片手にモダン建築物と神戸の街を満喫して欲しい」と担当者は参加を呼びかけています。
パスポートは購入サイトから3,000円(税込)で発売中。セブンイレブンのマルチコピーから店頭購入(3500円・税込)も可能です。
開催期間
2024年11月22日(金)~24日(日)
料金
オンライン決済(teket)3,000円
セブンイレブン店頭購入 3,500円