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【尾崎亜美 最新インタビュー】② 松田聖子「天使のウィンク」楽曲提供の締切がなんと翌日!

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2025年03月26日 尾崎亜美のアルバム「TWIN-SONGs~尾崎亜美作品集」発売日

日本を代表する女性アーティスト尾崎亜美


尾崎亜美は1976年3月シングル「冥想」でデビュー。自身のオリジナルだけでなく、約200曲もの楽曲を提供するソングライターとしても活躍してきた、まさに日本を代表する女性アーティストだ。これまで女性アイドルの楽曲を多くヒットさせてきたが、そんな提供曲を収録した『TWIN-SONGs~尾崎亜美作品集』が3月26日にリリースになる。

DISC1には1970年代後半から1990年代初頭にかけて尾崎亜美が15人の女性シンガーに提供した楽曲のオリジナル音源を収録。DISC2には尾崎亜美自身によるセルフカバーを、DISC1と同じ曲目、曲順で収録している。今回、この世界的にも非常に珍しいコンピレーションの発売を記念して、尾崎亜美さんにインタビューをさせていただいた。後編では、アルバムに収録されている提供曲についてたっぷりと語っていただきます。

プロデューサー気質が芽生えた「春の予感 -I've been mellow-」


―― さてここからは、今回発売になるアルバム『TWIN-SONGs~尾崎亜美作品集』に収録された提供曲に関してお伺いします。亜美さんの最初の提供曲は南沙織さんに提供した「春の予感 -I've been mellow-」(1978年)でした。

尾崎亜美(以下:尾崎)前年、資生堂春のキャンペーンソング「マイ・ピュア・レディ」(1977年)がおかげさまでヒットしたので依頼をしてくださったのだと思いますが、作詞・作曲だけでなくアレンジもお願いしたいとのことでした。結構な予算がかかっているCMソングのアレンジを手掛けるということで、最初は “私でいいのかな” と戸惑いもありました。

​​ソニーのプロデューサーだった酒井(政利)さんからはボーカルのディレクションもしてほしいと言われたので、レコーディング中に南沙織さんにアドバイスをしていたら、後ろから酒井さんに “凄い!” と言われまして、“あっ!私って凄いんだ!” と(笑)。でも、誰かを素敵にするために魔法がかけられるのだとしたらそれはとても嬉しいことで、自分の中にあるプロデューサー気質のようなものが芽生えた瞬間だったかもしれません。

杏里のデビュー曲に選ばれた「オリビアを聴きながら」


――「春の予感 -I've been mellow-」と同じ1978年には、杏里さんに「オリビアを聴きながら」を提供していますね。

尾崎:曲を作る前に彼女に会った時、オリビア・ニュートン=ジョンが好きだと言っていたので、オリビアのアルバム『きらめく光のように』(Making a Good Thing Better / 1977年)から、サビの部分に「♪Making good things better」というフレーズを複数形に変えて入れてみたんです。当時としてはちょっとハイカラなことも、杏里には似合うかなと思って書いた曲です。この時は3曲提出したのですが、後の2曲はポップな曲とエスニック調の曲でした。「オリビア〜」は私自身とても気に入っていたのですが、まさかこのバラードがデビュー曲に選ばれるとは思ってもみませんでした。

――「オリビアを聴きながら」は今では70以上のカバーバージョンが存在する、スタンダードナンバーになりました。この曲がここまで多くの人たちに愛された要因というのは、作家ご本人としてはどのように分析されていますか。

尾崎:「♪出逢った頃は こんな日が 来るとは思わずにいた」というフレーズは普遍的なテーマで、そういう思いをした人はたくさんいるだろうなと思いましたが、自分から別れを告げる歌というのは男女ともに少ないなと思ったんです。「オリビア〜」は、この恋は不毛だから苦しいけどもう終わりにすると女性側が決める歌なので、当時としてはとても新しい感覚の歌詞だったと思います。

西武流通グループのイメージソングに起用された「あなたの空を翔びたい」


――この曲を勝手に “女性の自立ソング” と呼んでいますが、当時はまだ女性側が男性にすがるような歌詞が多かったです。―ー高橋真梨子さんのソロデビューシングル「あなたの空を翔びたい」も1978年でした。

尾崎:真梨子さんとは、この曲を書いたことをきっかけにプライベートでも仲良くさせてもらっているのですが、真梨子さんから亜美のメロディーはとても好きだと言ってもらえたことが嬉しかったです。この曲の歌詞の出だしのフレーズは最初「♪Kiss Again」ではなく “スリップ・アウェイ” だったんです。この “スリップ・アウェイ” というのが私の中ではとても大切なフレーズだったんですが、レコーディングされた曲を聴いたら歌詞が変わっていたんです。

―― えー、そんなことってあるんですね。作家本人もびっくりですよね。

尾崎:“スリップ・アウェイ” は “スリッパ・ウェイ” つまり “スリッパの道” みたいに聞こえるからという理由で “Kiss Again” に変わっていました(笑)。この曲は西武流通グループのイメージソングに起用されたのですが、このフレーズを変えたのが当時の西武流通グループの社長だったんです。でも “Kiss Again” というフレーズのおかげでこの曲の主人公の気持ちが聴いている方に伝わったと思いますし、曲もヒットしたと思うのでとても勉強になりました。でも、“スリップ・アウェイ” はどうしても使いたくて、杏里の曲のタイトルにしました(笑)

―― 1979年には桜田淳子さんや、榊原郁恵さんにも楽曲提供されていますが、アイドルから脱皮する重要な1曲になっていると思います。

尾崎:淳子ちゃんは、よく顔を見たら大人っぽい表情をしていることに気付いて「LADY」という曲を書いたんです。最初はレコーディングに苦労したようですが、淳子ちゃん自身がとても気に入っている曲だと人づてに聞きました。郁恵ちゃんの場合もそれまでの元気ハツラツなイメージではなく、郁恵ちゃんのまだ誰も発見していない素敵さを表現できたらと思い「風を見つめて」という曲を書きました。それを丁寧に歌ってくれると、この曲を愛してくださっているんだなと思えますし、その瞬間が私にとっての何よりの宝物になっています。

松本伊代の大きなターニングポイントになった「時に愛を」


―― 今回発売になるアルバム『TWIN-SONGs~尾崎亜美作品集』に収録されている楽曲は、1980年代アイドルの楽曲が中心に収録されていますが、中でも松本伊代さんの「時に愛を」(1983年)は伊代さんにとっても大きなターニングポイントになった1曲だったと思います。

尾崎:伊代ちゃんってとても歌がうまいんですよ。もっといろんな表現ができる人だと思って「時に愛は」を作りました。この曲を歌ってくれることで、伊代ちゃんの新しい扉が開いて世界がもっと広がってくれたら嬉しいと思っていました。ある時伊代ちゃんが家に訪ねてきてくれて “どうやったら歌がうまくなるんですか” と聞かれたことがあったんですが、伊代ちゃんってそういうところとっても健気でしょ(笑)

―― そして、岡田有希子さんは「Summer Beach」(1985年)が収録されています。

尾崎:ユッコちゃんは「Summer Beach」をとても気に入ってくれていて、他のレコーディングをする時にも、まずウォーミングアップで「Summer Beach」を歌ってくれていたんです。この曲のリクエストも多いので、私も久しぶりにコンサートで歌おうと思っています。

“明日までにお願いします” と言われた「天使のウィンク」


―― 松田聖子さんに提供した「天使のウィンク」(1985年)も代表曲になりますが、亜美さんが年末の大掃除をしていた時に楽曲の依頼が来たというのは有名なエピソードですよね。

尾崎:しかも、“明日までにお願いします” と言われまして。チャレンジは受けて立つという性格なので “わかりました” と引き受けましたが、作詞はもちろん松本隆さんだと思っていたんです。

――はい、当時の聖子さんならそうですよね。

尾崎:よくよく話を聞くと、作詞もお願いしますということでひっくり返りそうになりましたけど(笑)。ディレクターの若松(宗雄)さんに “何かリクエストはありますか?” と聞いたら、歌詞の最初の言葉を “あ段” で始めてくださいという変わったリクエストでした。若松さんによると、“あ段” は世界が開く感じがするんだそうです。

――「天使のウィンク」は1985年1月30日発売で、亜美さんに発注が来たのが年末ということは、あまりにもギリギリの工程で制作していたということですよね。

尾崎:アレンジの大村雅朗さんも大変だったと思いますよ。それで大村さんからは “亜美さんは絶対にコーラスをしてくださいね” と言われまして、コーラスでも参加しているんです。

1980年代アイドルを支えた尾崎亜美


――ソングライター尾崎亜美さんは1980年代アイドルを支えた重要な方だと思います。あのキラキラとしたシーンに多くの楽曲提供をしてきた亜美さんから見て、改めて1980年代を振り返るとどのような感想をお持ちですか?

尾崎:語れるほどのことは出来ていないと思いますが、ただ寄り添って一緒に走り続けてきたという感じでしょうか。アイドルの人たちって、可愛いだけじゃなく根性があるんです。そんな彼女たちのバイタリティから私自身が学んだことはたくさんありますし、本当に皆さん私の作った曲を真剣に歌ってくれました。

観月ありさのの頭の上に見えた “伝説の少女” という文字


そして1990年代に入り、観月ありささんに「伝説の少女」(1991年)を提供されていますね。

尾崎:ありさちゃんの曲を依頼された時は “難しい曲をお願いします” という発注だったんです。“難しい曲だと思わせたい。そして何回も聴いてもらっていい曲だと思ってもらえるような、そんな曲をお願いします” という発注でした。

―― 発注の仕方も本当に様々ですね。

尾崎:“あの曲みたいな曲にしてほしい” という発注を受けるのが好きではないので、具体的に発注してくれるほうが、私のチャレンジ精神のようなものが燃え上がるんです(笑)。キリンビバレッジ『シャッセ』のCMでしたが、すごい目力のありさちゃんに会った時にちょっと言葉を交わしただけで、ありさちゃんの頭の上に “伝説の少女” という文字が見えたんです。この曲はそのイメージをもとに、詞と曲をほぼ同時に作りました。

―― デビュー当時のありささんは、とても神々しかったですよね、まさに “伝説の少女” という感じで。

尾崎:砂漠のような場所に立って風に吹かれている、そこで自分はこれから生きていくんだという凛々しいイメージで「伝説の少女」を作りました。ありさちゃんがお母さまの好きな曲を一緒に聴いていたという話から「♪古いラジオ 唄ってる ママの時代の love song」という歌詞にしたんです。お母さまが洋楽好きということだったので、私が参加したコーラス部分はいろいろな洋楽のタイトルになっています。

私はまだまだ頑張りますよ!


―― 亜美さんは来年デビュー50周年を迎えられますが、来年に向けてどのような予定があるか教えてください。

尾崎:50周年に向けてレコーディングをしたいと日々曲作りはしているんですけど、
アイデアを出しているうちに、小原礼さんとのアルバムも作りたいと思ったりしています。年齢も年齢なので死ぬまでにやりたいことってたくさん出てくるじゃないですか。それを少しずつ叶えていこうとすると、ホントに時間が足りない。とはいってもコツコツとしか出来ないので、私はまだまだ頑張りますよ!(笑)

IInformation
TWIN-SONGs~尾崎亜美作品集

尾崎亜美提供楽曲のオリジナル音源と尾崎亜美によるセルフカバーをCD2枚にツイン収録。ソングライター、シンガー両面での尾崎亜美の魅力を最大限に伝えるコンピレーション。

【Disc1】
01. オリビアを聴きながら / 杏里
02. 天使のウインク / 松田聖子
03. あなたの空を翔びたい / 髙橋真梨子
04. Summer Beach / 岡田有希子
05. 時に愛は / 松本伊代
06. 化粧なんて似合わない / 岩崎良美
07. パステル ラヴ / 金井夕子
08. 微風(そよかぜ)のメロディー / 河合奈保子
09. 伝説の少女 / 観月ありさ
10. 届かなかった AIRMAIL / 真璃子
11. LADY / 桜田淳子
12. Happy Birthday / 横山知枝
13. 風を見つめて / 榊原郁恵
14. 雨は止まない / 薬師丸ひろ子
15. 春の予感‐I've been mellow‐ / 南沙織

【Disc2】
01. オリビアを聴きながら(lapis lazuli version) / 尾崎亜美
02. 天使のウインク / 尾崎亜美
03. あなたの空を翔びたい / 尾崎亜美
04. Summer Beach / 尾崎亜美
05. 時に愛は / 尾崎亜美
06. 化粧なんて似合わない / 尾崎亜美
07. パステル ラヴ / 尾崎亜美
08. 微風(そよかぜ)のメロディー / 尾崎亜美
09. 伝説の少女 / 尾崎亜美
10. 届かなかった AIRMAIL / 尾崎亜美
11. LADY / 尾崎亜美
12. Happy Birthday / 尾崎亜美
13. 風を見つめて / 尾崎亜美
14. 雨は止まない / 尾崎亜美
15. 春の予感‐I've been mellow‐ / 尾崎亜美

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