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「自分のしがらみや葛藤をすべて捨てて叫ぶ、とても感情的な楽曲です」──散りばめた“作品ならではの要素”と“遊び”に迫る! TVアニメ『カラオケ行こ!』主題歌 Ayumu Imazu「HOWL」インタビュー

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

2025年7月24日(木)よりTVアニメ『カラオケ行こ!』がTOKYO MX・BS11ほかにて放送中です。ひょんなことから生まれる中3男子とヤクザの奇妙な友情、思春期による感情の揺れ。それらをリアルに描く本作は、アニメ化前から注目を集めました。

そんな本作の主題歌を担当するのは、作詞・作曲・アレンジ・ ダンスコレオグラフを自身 でこなし、時代を牽引するアーティストAyumu Imazuさん。アニメイトタイムズでは、主題歌「HOWL」の制作エピソードから、Ayumuさんが感じる『カラオケ行こ!』の魅力などについてお話を伺いました。

楽曲中に散りばめた“作品ならではの要素”と“遊び”。グローバルに活躍するアーティストだからこそ見える「音楽の素晴らしさ」とミュージシャンが抱える“ミッション”とは──。

【写真】TVアニメ『カラオケ行こ!』主題歌 Ayumu Imazu「HOWL」インタビュー

「人を助けることで心の溝を満たそうとしているよう」

──「HOWL」の制作はどのように進んだのでしょうか?

Ayumu Imazuさん(以下、Ayumu):まず『カラオケ行こ!』主題歌書き下ろしのお話をいただいて、そこからすぐ制作に入りました。最初に漫画を全部読んだのですが、とても面白くて! 一日で一気に読破しました。

そのあと実写映画『カラオケ行こ!』も観て、その頃には歌詞のイメージができ始めていました。制作自体はかなりスムーズに進みました。

──主題歌決定の際、Ayumuさんより「聡実と狂児の関係性が本当に好き」「聡実の視点で書きました」というコメントがありました。

Ayumu:ヤクザのお兄さんと14歳の中学生がカラオケで歌の練習をする……面白い設定ですし、スゴイ状況ですよね(笑)。

思春期真っ只中、色々な葛藤や問題を抱えている聡実の前に狂児が現れて。聡実からすれば表面上は「狂児を助けてあげている」という形かもしれませんが、恐らく心の中では「自分の目の前の問題から逃げたい」という気持ちがあるんだと思います。

人を助けることで心の溝を満たそうとしているような、そんな気持ちをメインに歌詞を書きました。

──「声変わり」という要素も本作における大きなテーマのひとつですよね。

Ayumu:僕も小さい頃から、それこそ声変わりをする前から歌を歌っていたので、変声期のタイミングはとても大変だったんです。当時、13歳くらいの自分の状況と聡美がリンクしていました。

僕は元々声が高くて、女性が歌う曲も原曲キーで歌える声域だったのですが、段々と低くなっていって。高い声を出せている自分が好きだったので、思い通りにならない歌い方になってしまって。

──まさに聡実と同じような体験をされていたのですね。こういったキャラクターの心情や関係性を見ながら想像を膨らませるのは、普段アニメやドラマをご覧になるときにもよくされるのですか?

Ayumu:そうですね! 主人公やキャラクターの心境について「こういうことを思っているんだろうな」と想像するのは好きですし、より作品にのめり込める気がしています。『カラオケ行こ!』も然りでした。

──今回の「HOWL」は『カラオケ行こ!』ならではの要素が散りばめられているように感じました。

Ayumu:良かったです(笑)。そう言っていただけて嬉しいです。散りばめた要素としては……まずは「紅」ですね。漫画を読んでいる時から「絶対に『紅』というワードを入れよう」と決めていました。

それから、僕も大阪出身なので、関西弁の要素も入れられたらいいなと考えていて。いわゆるブリッジパートに〈そんなんじゃ痛い目に遭いまっせ〉というフレーズを入れています。

また、タイトルもカラオケとリンクさせたいと思っていました。カラオケボックスに行くとマイクがハウリングすることがあるじゃないですか。その「ハウる」と、吠えるなどの意味を持つ「howl」をかけて……結構遊びましたね(笑)。

──とてもオシャレですよね! こうした言葉遊びは普段から考えていたり?

Ayumu:言葉遊びは好きですし、特に今回のようなタイアップでの書き下ろし楽曲の場合は特に、作品と楽曲をリンクさせるのが楽しくて。「HOWL」は思いついたアイデアを全部盛り込みました!

──ご自身のオリジナル曲と、こういったタイアップ曲では、作り方や意識は変わりますか?

Ayumu:変わりますね。これまでにも何度かタイアップの書き下ろしをさせていただきましたが、自分だけでは出ないアイデアの曲が生まれることも多いんです。

一方で作品に寄せすぎてしまって「自分の曲っぽくないな」と感じることもあって……。『カラオケ行こ!』のタイアップをいただいた時には、自分のやりたい音楽や伝えたいメッセージをしっかり軸に持ちながら、作品の世界観に合わせることを意識しました。この曲はその意味でも、自分の中で大成功だと思っています。

──「HOWL」の中で、特にお気に入りのフレーズやメロディーなどについて教えてください。

Ayumu:まず『カラオケ行こ!』の表紙やビジュアルからネオンの雰囲気と少しの昭和感を感じていました。イントロに入れたトランペットなどの音でも昭和っぽい雰囲気を意識しています。特にベースラインにこだわったのですが、シンコペーション気味の独特なリズムが一曲通して流れています。

サビは聡実の気持ちが爆発するような、感情をさらけ出したパートでお気に入りです。あと、2番Aメロの後半、ラップっぽくなるところはかなり遊びましたね。

──〈Get downに見せかけてClap〉の箇所ですね。

Ayumu:そうです。最初にあのパートの歌詞を書いたときは「さすがに遊びすぎかな」と思ったのですが、「まあいいや」とキープしたんです(笑)。今では「残しておいてよかったな」と思っています。

──「遊び」というお話がありましたが、具体的にはどのようなところに表れているのでしょうか。

Ayumu:この曲では主に歌詞の部分ですね! 2番Aメロ後半の〈レフト、ライト ステップからの Get downに見せかけてClap〉は、今まで書いたことがない歌詞で「これでいいのかな」と思いながら書いていました(笑)。実際にレコーディングをして音楽と合わせて聴いてみたら全く不自然ではなく、むしろキャッチーだなと。

──MVで披露されていたダンスもそうですが、特に〈Clap〉で一度止まる瞬間が気持ち良いですよね。

Ayumu:ありがとうございます(笑)。めちゃめちゃ嬉しいです。

Ayumu Imazuが考える“ミッション”と“バランス”

──原作漫画『カラオケ行こ!』を読んだ感想や印象的なキャラクター、シーンについて教えてください。

Ayumu:とても面白いなと思いました。ぐっと世界観に引き込まれて、のめり込みました。

僕はアニメが好きでよく見るのですが、『カラオケ行こ!』のような良い意味で気楽に読めて、くすっと笑えるような漫画はあまり読んだことがなかったので新鮮でした。そんな中でも考察していくと深い部分が見えてきて。印象的でしたね。

好きなシーンは……やはり最後の、狂児が事故にあったというニュースを聞いたときの聡実の行動や言動です。聡実が初めて素直になれたタイミングだと思いますし、強く印象に残っています。「ザ・思春期」といいますか、感情的になった聡実を見てぐっときました。

──勇敢さも見えつつ、年相応にあふれる気持ちも見えつつというシーンですよね。ちなみにAyumuさんは普段どのようなアニメをご覧になるのですか?

Ayumu:最近見たのは『モブサイコ100』です! 一気に全シーズン見たのですが、めちゃめちゃ好きですね。『怪獣8号』や『ダンダダン』は7月から始まった新シリーズを見ています。

あとは……一時『斉木楠雄のΨ難』にハマっていました。気楽に見られる楽しさは『カラオケ行こ!』にも通じるような気がしていて。笑いながら、心が温かくなるといいますか、そんなアニメも好きなのかもしれません。

──TVアニメ『カラオケ行こ!』の放送が始まり、オープニング映像も公開されましたが、ご覧になりましたか?

Ayumu:ちょうど帰国日の夜が放送日で、時差ボケでギリギリまで寝て、頑張って起きて見ました(笑)。改めてオープニング映像と一緒に聴くと、世界観と合っていて良かったなと思います。

──第一話をご覧になった感想をお聞かせください。

Ayumu:とても良い意味で違和感がなかったです。原作の漫画を読んで映画も観ていたので、声優さんを含め、自分がイメージしていたキャラクターがそのままアニメ化されていて、スッと入ってきました。

──そんな作品とのコラボレーションである「HOWL」ですが、ご自身の中でどのような意味を持つ曲になりましたか?

Ayumu:「HOWL」は自分のしがらみや葛藤をすべて捨てて叫ぶ、とても感情的な楽曲です。この曲を聴いてくれた人が、必ずしもハッピーになってほしいというわけではないのですが、共感してもらえたり、力を与えられたら嬉しいなと思います。

──ちなみに、Ayumuさんは楽曲を制作する際、何から着手するのですか?

Ayumu:まずは曲の世界観や音色の雰囲気を作るためにトラックのベースを作ります。その後、メロディーを書き、最後に歌詞を載せる流れが多いですね。

──英語詞のみの曲、また日本語詞と英語詞が混在する曲もありますが、言語によって気持ちの入り方や表現は変わりますか?

Ayumu:意図的ではありませんが、英語の歌詞を書く時は超ストレートなイメージがありますね。一方で日本語にする時は少しお洒落に、詩のようなニュアンスになっているかなと。言葉遊びやクレバーな言い回し、関西弁のニュアンスなども日本語ならではだと思います。

──Ayumuさんの楽曲からは、少し懐かしいテイストやチルな雰囲気も感じられます。そのようなニュアンスは意識的に取り入れているのでしょうか。

Ayumu:曲によって変わりますが、自分のルーツや聴いてきた音楽があるからこそ自然に出てくる部分だと思います。無理にしなくても出てくるサウンドを大事にしています。

世界観のイメージはありますが、力を入れて「こんな雰囲気に寄せよう」という作り方は意外としていないかもしれません。

──Ayumuさんの音楽的なルーツというと?

Ayumu:テレビで流れていたJ-POPがルーツのひとつです。そこからダンスを始めたことで洋楽のヒップホップにも触れるようになって。最初は意識的ではなく、レッスンを通して自然に耳に入ってきた感覚でした。

J-POPとダンスミュージックが自分の中でルーツとしてあって、中高生の頃にもっと幅広い音楽を聴くようになりました。洋楽のポップスや、バンドサウンド寄りの曲、ラップなどにもハマりました。

──音楽的なインスピレーションも、それらのジャンルから生まれることが多いのでしょうか。

Ayumu:聴いてきた音楽やダンスからの影響は大きいです。ダンスは自分の体に一番染み込んでいるので、そこは大きな要素ですね。

──昨年発表された「Obsessed」のように「HOWL」も大きなバズの波が来るのではと思っています。Ayumuさんは“バズ”についてどのようにお考えですか?

Ayumu:今の時代、音楽にとってSNSはとても大きな存在だと思います。それが良いか悪いかは置いておいて、大きな影響を持っているのは確かですよね。バズが起こることは、それだけ多くのリスナーに届くことになりますので、そういった意味ではとても大事なことだと思います。

一方で、すぐに消費されて聴かれなくなってしまう、聴き飽きられてしまう曲が増えているのも感じていて。そのバランスをどのように保つかが、今のミュージシャンにとってのミッションなのではと感じています。

──確かに昨今は特に流れが速いですよね。

Ayumu:アーティストとして、自分が伝えたいサウンドや世界観は大事にしないとファンは増えないと思います。ただ、そこにこだわりすぎると、いわゆる大衆に届かない音楽になってしまう可能性もある。バランスが重要ですね。「HOWL」はその意味でうまくできた曲だと思っています。

「様々な場所に歌を届けられたらと思います」

──Ayumuさんが「音楽をやっていてよかった」と感じる瞬間について教えてください。

Ayumu:SNSのおかげで世界の境界線がなくなり、音楽を通じて人と繋がれる喜びが一層身近になったと考えています。その喜びを感じることができたときに「音楽をやっていてよかった」と思います。

SNSに載せた「HOWL」の動画でも、視聴されている国を見るとヨーロッパの国が出てきたりして。「歌詞の意味は分からなくても届いているんだな」「何かを感じてくれているんだな」と思えるんです。それが音楽の素晴らしさなのかなと思いますね。

──まさに共通言語といいますか。

Ayumu:そうですね。歌詞は日本語でも、リズムが気持ち良いのか、ベースライン、あるいは世界観が好きなのか……何かひとつでも伝わる部分があれば、そこから繋がれる。とても良いことだと思います。

──YouTubeで公開された「HOWL」ミュージックビデオのコメント欄では、日本語や英語、韓国語などグローバルなコメントも多く見られました。

Ayumu:アニメの影響力は本当に大きいと感じますし、日本が誇るエンタメだと思っています。数年前のように海外展開のために英語詞をメインにするとか、サウンドを海外寄りにするといった必要は減ってきたのかなと。

アニメの影響もあり、日本語詞のままの「ザ・J-POP」といった曲でもしっかりグローバルに評価される時代になったなと感じます。面白いなと思いますね。

──最後に、今後チャレンジしたいことや野望があれば教えてください。

Ayumu:ワンマンライブの規模も大きくなってきていますし、11月には国際フォーラムでのワンマン開催も決まっていて……震えています(笑)。

もちろん規模を広げていくことも目標ですが、最近は「色々な場所でライブがしたい」という気持ちが強いです。アジアツアーや、小規模でもいいのでワールドツアーをやってみたいと、具体的に考えるようになってきています。様々な場所に歌を届けられたらと思います。

【インタビュー・文・撮影:西澤駿太郎 編集:太田友基】

衣装クレジット

パーカー ¥25,850 EMPORIUM/JETTON SHOWROOM(tel.03-6804-1970)

Ayumu Imazu「HOWL」Release Information

2025.07.25(Fri)Release

■配信はこちら
■TikTok先行配信 投稿ページはこちら

Ayumu Imazu Profile

作詞・作曲・アレンジ・ダンスコレオグラフを自身でこなすZ世代を牽引するアーティスト

6歳よりダンスをはじめ、2014年 アメリカ最大級スポーツ「スーパーボウル」のBruno Marsのハーフタイムショーに感銘を受け、単身で14歳より約3年半アメリカ・ニューヨークのアーティスト留学を経験。

その後、活動の拠点をアメリカと日本に置いて活動 するアーティスト。ソロとして活動し始めた2019年3月にダンスパフォーマンスを交えたBruno Mars「Finesse」のカバー動画はYouTubeにて約100万再生を記録。

2021年8月に 「Juice」でメジャーデビュー後9月30日配信シングル「Stranger」で人気TVアニメ『SCARLET NEXUS』第二クールEDテーマを担当。

2024年1月24日にリリースした配信SG「Obsessed」はSNSを中心に話題となり、韓国Billboard “Japan Songs”チャートで5週連続1位を達成し、アジア各国のチャートを席巻した。

2024年7月5日配信シングル「Where Do We Go!」はPocari Sweat 香港 2024「ありがとう⻘春」篇 CMソングとして香港・マカオのテレビCM放送中。8月2日にリリースした最新配信シングル「Superstar」は 渾身のダンスナンバーでTikTokのダンス投稿も話題に。

2024年『第66回輝く!日本レコード大賞』にて「Obsessed」が企画賞を受賞し今年最も活躍が期待されるアーティスト。

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