キャンプ飯に「お好み焼き」はアリかナシか? スノーピーク×オタフクがコラボしたスペシャルキットでジャッジしてみる
タネさえ用意できれば、あとはどうやっても「美味しい」が確定しているお好み焼き。日本を代表する絶品グルメであることには間違いないが、キャンプ飯としてはどうだろうか。少なくとも筆者はやったことがない。
ハードルはやはり「必要な工程や道具が多い」ことだろう。キャンプでは水場が近くにあるとは限らないし、荷物を減らすため一台何役も兼ねたキッチンツールが好まれる。
「どろどろのタネがついたボウル洗うの面倒だな……」などと考えると、どうも手が出ないのが本音だ。しかし、そんな課題に果敢に挑戦したのがスノーピークとオタフクソースだ。アウトドアメーカーとソースメーカーが手を組んだ、第1弾コラボ企画「広島お好み焼手作りキット」「おつまみ手作りセット」を試してみた。
・「広島お好み焼手作りキット」と「おつまみ手作りセット」
今回登場した「広島お好み焼手作りキット」(税込2138円)は、その名のとおり「広島版」であることが最大のポイント。薄焼き玉子や焼きそばが特徴で、作業工程も多いから筆者は自分で作ったことはない。
開封して目に飛び込んできたのは、お馴染みの「お好みソース」まるまる1本! さすがに一度のキャンプでは使い切れないが(え、本場ではもしかして使う?)、さすがオタフクという気前のよさ。
そのほか「いか天入り天かす天華」「削り粉・昆布粉ミックス」「青のり」が使い切りサイズで付属。あれこれ買い足さなくていいようになっている。
注目したいのは「お好み焼シート」と「半生乾燥麺」だ。キットの肝だと思われ、これらがどんな風に活躍するのか期待大だ。
もうひとつのキット「おつまみ手作りセット」(税込2138円)には、「チヂミこだわりセット」「ポイッともんじゃ(えび・牛すじ1袋ずつ)」「牛すじコンニャク煮」が入っていた。
こちらはキャンプに特化したものというよりは“オタフク商品の詰め合わせ”のようなセット内容だった。
・実際に作ってみよう!
キャンプ場にやってきた。なお、調味料類はすべてキットに同梱されているが、キャベツ、豚肉、卵などの生鮮品は別途用意する必要がある。特別な材料は何もないので、最寄りのスーパーで大丈夫。買い物をしてから出かけよう。
まずは千切りキャベツ作り……
なのだけれど、筆者のキャンプテーブルはテンションをかけてボードを張っているような構造なので、「揺れ」や「たわみ」がある。しっかり力をかけたい千切りはちょっと難しかった。
キャンプはロースタイル、という人もいると思うので、ここはカットキャベツを買ってくるのが正解かも! 「千切り」というよりは「ザク切り」のキャベツになってしまった。
ネギはキッチンバサミで勘弁してもらおう。まな板が不要で、どんな姿勢でも作業ができるキッチンバサミは、筆者のような “ずぼらキャンプ” には欠かせないツールだ。
続いて麺の用意。キットに入っていたのは保存のきく半生乾燥麺なので、湯通しの作業が必要だ。ここで気づいたのだが、材料はすべて2枚分で、使い切りが想定されている。ソロキャンプで2枚は食べきれない状況だったので、麺も半量だけ茹でることにする。まぁ、ひとりでお好み焼きする人はあまりいないかもしれないが、個包装だったらありがたかったなぁ。
お湯を沸かして湯通しする。フライパンと鍋の2つを用意するのは大変だから、深めのフライパンで兼用するのがいいだろう。
また、茹で上がったら湯切りのために炊事場へ移動する必要があった。(芝生に熱湯を捨てちゃダメだぞ。)炊事場が遠いとちょっと苦労するかも。
さらに麺は軽く焼く。「生麺を買ってくれば早いのに!」と思ってしまったが、説明書にも「自然の中で、いつもより時間をかけて」とあり、周囲の人とコミュニケーションを取りながらじっくり楽しむコンセプトだ。
説明書に従って豚肉、天かす、ネギ、もやしなどを積み重ねる。「削り粉・昆布粉」をはじめ、味付けのための調味料はすべて同梱されているので心配ない。お好み焼きの「細かな材料がたくさん必要」という部分をばっちりカバーしてくれる。
全体をキャベツで覆った後に登場するのが、餃子の皮のような「お好み焼シート」だ。
キャベツを蒸すための落とし蓋のような役目を果たしてくれる。ボウルでタネを作る必要がないので食器が減るし、あちこちに垂らしたりする心配も無用。
あとは全体に火が通るまでじっくり焼く。キャベツが半透明になるのが目安で、筆者の環境ではキャベツがやたらと大きいザク切りだったこともあって10分以上必要だった。焼き上がったものは、先ほどよせておいた麺と一体化させる。
空いたフライパンのほうで卵を溶いて具材をドッキング。
さぁ、最後の「返し」の工程だ。上手く返せるか? ここで失敗したらこれまでの作業が水の泡だ。
横から持ち上げ、手首を使うのがポイントだという。3、2、1……
てやっ!
若干の場外乱闘も発生したが、成功と呼んでいいんじゃないだろうか?
1本まるっと同梱されていたオタフクソースをたっぷりかけて……
熱々のまま頬張れば……
うまい! うますぎる!
これまでの苦労が一万光年のかなたに吹っ飛ぶ破壊力! 麺もコシがあってモッチモチだ。野外の暑さに汗が噴き出してくるけど、それがまた気持ちいい。お酒を飲む人なら、たぶんビールがあったら最高。
ここまでレポートしてきたとおり、作業工程は決して「手軽」ではない。ひとつひとつの工程は簡単なのだけれど、作業手順が多く、筆者の場合はキャベツを切り始めてから焼き上がりまで約50分。
また、キャベツの千切りにはフラットな作業台が必須だったり、湯切りのため炊事場に移動する必要があったりと、作業環境的にも制約がある。少なくとも「さっと作って、さっと食べる」というファストフード的なメニューではないし、作業時間も含めてみんなで楽しむことがコンセプトになっている。手間がかかることを逆手にとり、レクリエーションに昇華しているアイテム。
ソロキャンの場合、それらの工程が「ちょっと面倒だなぁ」と感じてしまう場面もあった。けれど、青空の下で食べるお好み焼きの旨さは尋常じゃない! 多いかなと思っていたが、秒速で1枚ペロリと消える美味しさだった。これなら2枚焼いてもよかったかも。
・より簡単な「ポイッともんじゃ」
お好み焼きを試したなら、もんじゃもやってみたい。もうひとつのキット「おつまみ手作りセット」に入っていた「ポイッともんじゃ」だ。材料はキャベツとサラダ油だけなので、前述のお好み焼きと共通している。
すでに千切り……もといザク切りキャベツはあるから、フライパンをささっと拭いて、土手を作るだけ。なんとこの商品、フリーズドライを水で溶くだけでもんじゃの生地ができる!
計量カップがないので水を正確に測れない、というアクシデントはあったものの、簡単すぎる! すでに十分に「キャンプ向き」と言える。すぐにフツフツと沸騰してきて、端のほうから「おこげ」ができる。
もんじゃ用の小さなヘラがあればいいのだが、前述のとおりキャンプでは「○○専用」みたいな特化ツールは持参しにくい。とにかく「使い回せる」ことが大事だ。大きなヘラでちょっと無理して食べてみる。
うまい! 筆者は本場の月島もんじゃは食べたことがなく、某チェーンで食べたときには「いつまでも焼けないお好み焼き」のような印象であまり好きになれなかった。
しかしこれは、モチモチとしたあまじょっぱい生地に、しゃきしゃきのキャベツがからみ、焼き味噌みたいで美味しい! おやつ感覚で食べるものなんだな!!
・購入は直営店かオンラインストアで!
販売は全国に26店舗あるスノーピーク社直営店か、 オタフクソース直営施設。オンラインストアも含まれるので、近くに店舗がないという人でも購入可能だ。
今回紹介したのはオタフク側のアイテムだが、スノーピーク側ではお好み焼き調理に特化した「ステンレスお好み焼鉄板」を受注生産する。6月30日(月)まで受付中だ。広い鉄板があれば麺と生地を同時に焼くことができるし、返しもだいぶラクだろう。みんなでワイワイ、ガチでお好み焼きをしたいならチェックだ!
参考リンク:株式会社スノーピーク、オタフクソース株式会社
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.