五感を揺さぶる至福の一杯!姫路市『はまもと珈琲』で過ごす特別な時間 姫路市
常連客や観光客で入り混じる店内…こんな珈琲店の景色を見た事があるでしょうか?
この珈琲店の名前は『はまもと珈琲』(姫路市)。2代目、濵本卓弥さんが営む地元でも名の知れた老舗珈琲店です。まるで引き寄せられるように、続々と店内に入り込んで行く客足。
しかも、初めて訪問した客の姿も多く、一度看板を眺めながらも、迷いもなく自然と足を踏み入れていくその様子は筆者にとって正に驚きの光景でした。
そんな客のお目当ては、なんと言っても、店主・濵本さんの点(た)てる珈琲。創業当時から使用されているサイフォン式珈琲が人気の秘訣。
時代の流れ、季節の流れと共に、ほんの少しずつ変化を加えていると答える濵本さん。店を代表とする「はまもとブレンド」はバランスの取れた苦み、そして同時に、ほんの少しだけ酸味を感じます。すっきりした味わいと香りは素直に「美味しい」と感じさせてくれるもの。”至福の一杯”とはこういうことを言うのかもしれません。
「酸味の無い珈琲を頼まれるお客様は多い…ですが、本当に美味し珈琲というものは“酸味”と苦みのバランスが取れたもの。昔は美味しくない珈琲も多かったが、珈琲が苦手な人はたいてい、“ただ苦く酸っぱい珈琲”のイメージが頭の中にあるからなんです」そう答えます。
同店のもう一つの看板は、自家製のアーモンドバターをたっぷりと塗り込んだアーモンドバタートースト。毎日1kgを2回仕込むとおっしゃるのはチーフの山根さん。通常、しっかり甘いイメージのアーモンドバタートーストですが、同店はあえて甘さ控えめ。引き立て役として、珈琲のすっきりとした味わいを邪魔しません。
「底が焦げないように2段階に分けて焼き上げるんですよ」と可愛らしい笑顔の女性スタッフさんがそっと教えてくださいました。
2段階に分けて焼き上げることで、サクッパリッ…と噛んだ時の食感も良く、香ばしく甘い香りもたまりません。
このアーモンドトーストでひとつ感激した点があるのですが、それはパンの下に”紙”が引いてあること。トーストしたての温かいパンは皿の上に乗せると”べちゃべちゃ”になり、カリッとした食感が失われがち。紙を一枚敷く事で美味しい状態を保つことが出来ます。食べる人に対する小さな心遣いに、ほんのり心が温まりました。
そしてこの建物自体も魅力のひとつ。カウンター席から奥の内装は、1975年の創建当初のままで、美しい大理石のカウンターは、あの“日銀”の壁と同じ有名な『関ケ原石材』のもの。椅子も、カウンターも、ランプも、壁面でさえ、全てがこの店の為にあつらえられた特注品です。本当に惚れ惚れしてしまうほど年季の入ったレトロな空間は最高の時間を演出してくれます。
父親の特別なお店を引き継ぐ事が出来て良かったと述べる濵本さん。彼にとっては、このお店自体、宝物のようなものなのだと話を聞くほどにその思いを感じることが出来ました。
「自分の美味しいと思う自由なスタイルで飲んで欲しい…珈琲は嗜好品だからね」。決して型にはめず、お客様の好みに合わせるそのスタイルは濵本さんの珈琲にさらなる自由度を与えます。添えられたコクのある生クリームを入れるもよし、ゆっくりと溶け出し、コーヒーに甘美な余韻を残す琥珀色のブラウンシュガーをデザートのように味わうのもよし。
はまもと珈琲で、ほっとする贅沢な時間を過ごしてみてください。そこにいるだけで幸せな気持ちになれますから。
場所
はまもと珈琲
(姫路市二階町49)
営業時間
7:00~18:00
駐車場
無し