箱根の32店舗がスペシャルメニューを提供 「箱根スイーツコレクション2025」いよいよ開幕 特急ロマンスカーで甘い旅はいかが?(神奈川県箱根町)
長く厳しかった2024~2025年の冬。ようやく出口が見えてきました。鉄道各社からは春のキャンペーン情報が一斉に発信されます。その一つが「箱根スイーツコレクション2025」。小田急箱根と親会社の小田急電鉄が企画した観光誘客作戦で、春休み中心に2月28日~4月23日に展開されます。
地域が観光メニューを用意して鉄道会社がPR・送客する、2008年から続く定番の誘客策です。小田急グループの箱根エリアの企業を統合した小田急箱根の発足(2024年4月1日)から2年目の今回は、小田急トラベルのサイトからスイーツ予約機能を充実させるなど、旅行しやすい環境を整えました。
ターゲットは〝スイーツ女子〟……だけでなく、スイーツ男子、そして鉄道ファンも大歓迎します。2月25日に箱根湯本駅近くの湯本富士屋ホテルで開かれた発表会を取材、春の箱根を〝鉄分多目〟でお届けします。
箱根グルメを発信
箱根観光の楽しみは? 温泉、自然、美術館、ショッピングといろいろあります。
そこに「グルメ」(「スイーツがグルメか」と聞かれれば、若干の疑問も残りますが)を加えて、観光の選択肢を広げる。それがスイーツコレクションです。
小田急が、箱根観光情報サイト「箱根ナビ」立ち上げをきっかけに2008年からスタート。当初は春秋の〝二毛作〟でしたが、その後春季に集約。コロナ禍による4年間のブランクをはさんで2024年に復活しました。
【参考】ロマンスカーで限定メニューを食べに行こう! 小田急グループが「箱根スイーツコレクション2024」開催(神奈川県箱根町)
https://tetsudo-ch.com/12941329.html
参加飲食店やスイーツショップは増え、2025年は32店舗が観光客を迎えます。
多くの店舗は期間限定の特別メニューを用意。シェフやパティシエにとって、コレクションはスイーツの新バージョンを考えるきっかけになります。
とっておきのごほうびスイーツ
2025年のテーマは「年に1度のとっておき、ごほうびスイーツ」。ちょっと前、ダイエット中の女性が1日だけ食欲開放して好きなものを食べる「チートデイ」が話題になりました。チートデイに自分へのごほうびで箱根を訪れてもらう……、それがコレクションかもしれません。
当日11時までの予約もOK!
小田急グループが受け持つのは、ロマンスカーによる箱根送客だけでなく、旅行しやすい環境の整備。昨今のオーバーツーリズム問題で、有名観光地は「人気テーマパーク並みの行列」が当たり前ですが、小田急トラベルサイトではスイーツ予約を受け付けます。
一部店舗は旅行当日11時がリミット。新宿駅集合後、ホームでの予約も十分ありです。
小田急トラベルや箱根ナビの主な機能は、往復ロマンスカーやホテル・旅館の予約。行程の一部にスイーツを組み合わせてもらいます。
インスタ投稿でプレゼント
コレクション特典で小田急グループが編み出したのが「ハッシュタグ(#)キャンペーン」。インスタグラムでコレクションの公式アカウントをフォローして対象スイーツの〝映え写真〟を投稿すると、抽選で日帰り温泉や美術館入場券をプレゼントします。
さらに、企画商品の決済時(支払い時)メルマガ購読を申し込むとクーポンを抽選でプレゼント。小田急箱根の担当者は、「コレクションをきっかけに、箱根のリピーターに」と期待します。
西武が箱根で小田急に乗り入れ?
ここから鉄道ファン目線で、コレクションを深掘り。発表会場で「西武が小田急に乗り入れ」に気付きました。といっても最近話題の「小田急が8000系を西武に譲渡」とは無関係。スイーツコレクションの参加店舗に、箱根仙石原プリンスホテルとザ・プリンス箱根芦ノ湖が見付かりました。
プリンスホテルは、ご存じ西武系。かつて箱根で「箱根山戦争」と呼ばれた小田急vs西武の図式は1980年代に終結。発表会場で話を聞いた箱根DMO(箱根町観光協会)の方も、「最近は小田急を中心にみんながまとまるようになった」と話してくれました。
ロマンスカーは往復とも満席
最後に駆け足で、箱根取材の印象記。筆者は10時発「はこね3号」、15時52分発「同14号」で新宿~箱根湯本間を往復しましたが、往き帰りとも車内はほぼ満席。外国人の方が目立ち、好調なインバウンド観光を印象に残りました。
現在のロマンスカーは「GSE」(70000形)、「NSE」(60000形)、「EXEα」「EXE」(30000形)とさまざまな車両で運行されます。あくまで個人的印象ですが、かつての「SE」(3000形)や「NSE」(3100形)時代に比べ、いい意味でロマンスカーが庶民的になったというか、普段着で利用できる列車になったような印象を受けました。
当日は箱根湯本に早め到着したので、箱根町役場でトレインウォッチング。高台の役場からは箱根湯本駅脇を流れる早川をはさんで、箱根湯本駅に入線する小田急の車両が眺められます(小田原~箱根湯本間は箱根登山電車ですが、車両は全車小田急です〈登山電車の回送車を除く〉)。
今回は直帰でしたが、次回は箱根で一泊。2日目は静岡県御殿場に抜けて、JR御殿場線乗り入れで新宿~御殿場を結ぶロマンスカー特急「ふじさん」(1日3往復)で帰京する手もありと思わされました。
記事:上里夏生