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日本人にとって身近な魚「メダカ」。

メダカといえば観賞魚のイメージが強い魚ですが、ヒトを含む動物の病気や遺伝子などを調べる研究のモデル生物として、世界中で用いられています。モデル生物の自然下における行動や生理機能の理解は、実験室内での研究の信頼性や再現性を高める上で非常に重要です。

しかし、メダカ研究の多くは温度などを管理できる実験室内で行われてきたことから、メダカが自然の中でどのように生活しているのか、ほとんど観察されていなかったといいます。

そのような中、大阪公立大学大学院理学研究科の研究チームは、自然に近い環境でメダカを24時間連続で観察。メダカの繫殖行動の開始時刻を明らかにしました。

この研究成果は『Scientific Reports』に掲載されています（論文タイトル：Courtship and spawning behaviour of medaka in a semi-outdoor environment initiating at midnight）

モデル生物に用いられるメダカ

メダカは日本人にとって身近な魚であり、観賞魚として広く流通しています。

メダカは小型で飼育が容易であることに加え、繁殖力が高く毎日のように産卵することから、行動学や医学など様々な研究における「モデル生物」として世界中で用いられてきました。

モデル生物として用いられる生物はメダカ以外にもマウスやゼブラフィッシュなどが知られており、いずれも飼育が容易で繁殖力が高いことが特徴です。

意外と知られていないメダカの行動

従来、メダカ研究の多くは温度や明るさを調整できる実験室内で行われてきました。

モデル生物の自然下における行動や生理行動の理解は、実験室内の研究の信頼度や再現性を高めるために非常に重要とされています。

しかし、メダカは身近な魚であるにもかかわらず、意外にも自然の中でどのように生活しているのか観察されてこなかったといいます。

メダカの繫殖は深夜から

そのような中、大阪公立大学大学院理学研究科の研究チームはメダカの行動を理解すべく、自然に近い環境で24時間にも及ぶ連続観察を実施しました。

同研究チームの過去の研究では、メダカの繁殖行動が深夜から開始することが示唆されましたが、今回は繁殖行動の開始時刻と求愛行動の活動量の24時間の変化を明らかにする目的で実験を実施。実験はメダカの繁殖期である5月～8月に合わせて行われました。

繫殖行動のピークは深夜

実験に用いられたメダカは、屋外の水槽で1ヶ月飼育した個体です。オスとメスのペアを1組ずつ入れた実験水槽において、赤外線カメラで24時間の連続撮影が実施されました。

全31組のメダカの行動を解析した結果、繁殖行動は午前1時から始まり、午前2時～午前4時にピークを迎えることが明らかになりました。求愛行動は午前2時～午前5時に頻繁に確認されています。

このことから、多くの行動が夜間に開始することが明らかになったのです。

多様な環境要因を検討

今回の研究により、自然に近い環境におけるメダカの繫殖行動が午前1時から始まり、午前2時～4時にピークを迎えることが明らかになりました。また、これまでのメダカ研究の多くは明るい時間に実験されてきたため、夜間における行動や生理的変化が見逃されてきた可能性が指摘されています。

今後は、メダカが求愛・繁殖行動を深夜に行う進化的・生態的背景を解明するため、天候や月齢など多様な環境要因の影響を統合的に検討する必要があるようです。

メダカを含むモデル生物の自然下における行動の解明に期待したいですね。

（サカナト編集部）