渓流釣りの4つの釣り方【ルアー・エサ・フライ・テンカラ】を徹底解説 !
渓流釣りは、自然の中で魚を追う素晴らしい釣りのスタイルです。しかし、初心者にとっては様々な釣り方や仕掛けがあり、どの方法を選べばいいか迷うことでしょう。本記事では、渓流でのルアー・エサ・フライ・テンカラといった4つの釣り方について、詳しく解説いたします。
渓流のルアー釣り
ルアーフィッシングの最大の魅力は、ルアーの種類や動かし方(アクション)次第で、渓流魚の反応が変わる点にあります。疑似餌を使うためエサを使った釣りに比べれば難易度は高めですが、選んだルアーやアクションが状況に合致すれば魚はしっかりと反応してくれます。だからこそ、試行錯誤が楽しいゲーム性の高い釣りです。
渓流ルアーのタックル
ロッドは、専用のネイティブトラウトロッドが使用されます。一般的な渓流では、番手はUL~Lクラス、長さは4~5ft程度のものが使われることが多いです。しかし、川幅の広い本流など遠投が必要な釣り場では、6ft以上でL~MLクラスのロッドが適しています。
リールは、1000~2000番程度のハイギア小型スピニングリールが基本。こちらも本流では2000~2500番など大きいものを使いましょう。ラインは、PE0.4~0.8号(8lb~16lb)程度か、ナイロン0.8~1号を巻きます。PEラインを使用する場合は、フロロカーボンのリーダー1.5号前後1mほどをトリプル・サージャンスノットなどで結束しましょう。
渓流で使うルアー
使うルアーはミノーやスプーン、スピナーなど。ミノーは幅広いレンジ(水深)を探れるシンキングタイプがメインに使われますが、表層や中層を狙いたいときはフローティングミノーやサスペンドミノーも有効です。ミノーでのアクションはただ巻きでもボディを振ってアピールするほか、トゥイッチなどの速い動きでも、ルアーがキラリと光る効果とあわせてヤマメやイワナが好反応を見せます。
スプーンを使う場合は流れの中でも扱いやすい縦長のスプーンが主流です。遠投もしやすいほか、任意のレンジに沈めることで幅広い水深を狙うことが可能。アクションはただ巻きが基本ですが、トゥイッチやボトムでのリフトアンドフォールなども効果的です。
また、スピナーも幅広いレンジを狙えるほか、ただ巻きするだけでブレードが動いてしっかりアピールしてくれるので初心者でも使いやすいルアーです。
ルアーでの釣り方
キャストは、上流から下流へ流す「アップクロス」が主流です。ただし、活性次第では下流から巻いてくる「ダウンクロス」もルアーの釣りでは有効になります。ダウンクロスのほうがルアーの動きがしっかり出るため、活性が高いときに特に効果的です。
ルアーのアクションも魚の活性によって工夫しましょう。低活性の場合は「ただ巻き」や「ドリフト」のようなナチュラルなアクションを主体に、魚が底のレンジから動かないこともあるため、レンジを意識することも重要です。
一方、活性が高い場合は「トゥイッチ」などのハイアピールアクションも織り交ぜてみると、より効果的に誘うことができます。
渓流のエサ釣り
渓流でのエサ釣りは、「ミャク釣り」というシンプルなスタイルが主流です。仕掛けは非常に簡単で、ラインに目印、ガン玉、そして針を取り付けるだけ。このように手軽でありながら、生きたエサ(川虫など)を使うため、ルアー釣りよりも魚からの反応を得やすく、釣果に繋がりやすいのが大きなメリットです。さらに、エサを現地調達すれば費用も抑えられ、コストパフォーマンスの点でも魅力的な釣り方と言えるでしょう。
竿と仕掛けの基本
一般的な渓流(川幅10m以内)では、4m~6m程度の長さの渓流竿が扱いやすいでしょう。仕掛け全体の長さは、竿の長さに合わせるのが基本。道糸は、絡みにくい太めの「天井糸(てんじょういと)」と、その先に接続する細めの「水中糸(すいちゅういと)」(フロロカーボンやナイロンの0.2~0.6号が目安)で構成するのが一般的です。天井糸を竿先に取り付けるのはチチワ結び。天井糸と水中糸の結束は同じくチチワ結びのブショウ付けなどがおすすめです。また、根掛かりで仕掛け上部から切れるのが心配な場合は、水中糸の先にさらに細いハリスをトリプル・サージャンスノットなどで結びます。
針はエサの大きさに合わせて渓流用3~7号程度を使い分け、ガン玉(オモリ)は針から30cmほど上に打ちます。目印は、狙う水深(タナ)に応じて適切な位置に調整してください。
季節で変わるエサ
使うエサは季節によって様々です。解禁初期は匂いの強いイクラが有効ですが、暖かくなるにつれてキンパクやヒラタなどの川虫が主体となります。梅雨以降で川虫が少なくなれば、釣具店で購入できるブドウムシやミミズも効果的。夏にはバッタやチョウといった陸生昆虫も良いエサになります。
基本的な釣り方
ポイントを決めたら、目印を水深に合わせて調整し、仕掛けを狙う流れの上流へ静かに投入します。そして、エサが自然に流れるように、竿先で流れに合わせて送り込みます。この時、目印が水面より少し上を維持するように操作するのがコツです。アタリは目印の動きで判断します。目印が引かれたり、止まったり、不自然な動きをしたら、竿先で小さく鋭くアワセを入れましょう。
フライフィッシング
フライフィッシングは、西洋で生まれた伝統的な釣りのスタイルです。特徴的なのは、竿(ロッド)をしならせてラインの重みで毛鉤(フライ)を投げる独特のキャスティング方法です。また、魚が主に捕食している虫(ベイト)を予測し、それに似せたフライを選ぶ「マッチ・ザ・ハッチ」という考え方が基本となり、ゲーム性の高さが多くの釣り人を魅了します。
しかし、その独特なキャスティングやラインコントロールは習得が難しく、初心者には少しハードルが高いかもしれません。さらにキャスティング時に後方へラインを伸ばすスペースが必要となるため、木々が覆いかぶさるような狭い渓流には向かないという側面もあります。
タックルは専用道具を揃えよう
フライフィッシングには専用のタックルが必要です。フライロッド、フライリール、そしてフライラインやリーダー、ティペットと呼ばれる特殊なラインシステムを組み合わせて使います。
特にラインシステムはやや複雑です。フライラインには水面に浮くフローティングタイプと沈むシンキングタイプがあり、さらにテーパー形状(細さのバランス)や番手(太さ)によって、投げやすさやフライの操作性が変わります。
一般的な渓流では、DTかWFと呼ばれるテーパーのフローティングライン2~3番と、それに適合する番手の7ft前後のロッドを選ぶと良いでしょう。本流などの広い場所では、遠投性能や大物とのやり取りを考慮し、一回り大きな番手のタックルや、リールに下巻き用のバッキングラインを巻いておくことをおすすめします。
リーダーはフライラインの先に結ぶ糸で、こちらも先に行くほど細くなるテーパードリーダーが一般的です。渓流で使うもの長さ7~9ft前後、先端の太さが6X(数字が大きいほど細い)前後が目安。フライラインとはネイルノットなどで結束します。さらにリーダーの先に、同じ程度か、より細い「ティペット」をトリプル・サージャンズノットなどで50cm~1mほど接続し、そこにフライを結びます。
使うフライは虫に合わせる
フライフィッシングで使う毛鉤(フライ)は、その時期や場所で魚が捕食しているであろう虫に合わせて選ぶのが基本で、これを「マッチ・ザ・ハッチ」と呼びます。
フライのサイズは#14(数字が大きいほど小さい)程度を基準に、水面を流れるカゲロウなどを模した「ドライフライ」を数種類用意しておくと良いでしょう。ドライフライは水面に浮くため、フライを流しているコースや、魚がフライに飛びつく瞬間(バイトシーン)が見えるのが魅力で、初心者にも扱いやすいのが特徴です。
また、魚の活性が低い時や、水面を意識していない時には、「ニンフフライ」(水生昆虫の幼虫などを模したもの)などの、水中に沈むフライが有効な場面もあります。沈むタイプもいくつか種類を持っておくと、状況に応じた攻め方が可能になり、釣果に繋がる可能性が高まります。
フライでの釣り方
フライフィッシングの最も特徴的な動作がキャスティングです。ロッドの反発力とラインの重さを利用してフライをポイントまで運びますが、習得には練習が必要です。
まずはロッドの長さの2.5~3倍程度のラインをリールから引き出し、水面に浮かべます。利き手で手元のラインを持ち、ロッドを後方へ振り上げ(バックキャスト)、ラインが後方で伸びきるのを感じてから、前方へ振り下ろします(フォワードキャスト)。
この一連の動作をスムーズに行うのがコツですが、最初は動画を見て覚えるのがおすすめです。また、広い場所や管理釣り場で練習したり、フライフィッシング教室に参加するのも上達への近道になります。
キャストができるようになったら、狙うポイントの上流にフライを静かに着水させます。フライラインは太いため流れの影響を受けやすいので、ラインがフライより先に流れて不自然な動きにならないよう、竿先でラインを操作(ラインメンディング)しながら自然に流すことが重要です。アタリがあれば竿先を立ててアワセを入れましょう。
テンカラ釣り
テンカラ釣りは、フライフィッシングと同じように毛鉤(けばり)を使って魚を狙いますが、リールを使わずに「のべ竿」と呼ばれる一本の竿で釣るのが大きな特徴です。日本の伝統的な渓流釣りの一つで、使う道具は竿とライン、毛鉤だけと非常にシンプル。エサも不要なため、渓流釣りのスタイルの中では最も荷物が少なく身軽です。そのため、登山や沢登りと組み合わせて楽しむのにも適しています。
フライフィッシングのようにラインを長く出してじっくり毛鉤を流す釣りとは異なり、テンカラ釣りは短い手返しで効率よくポイントを探っていく「ランガン」スタイルが主体となります。手返しよく打ち返していく分、疑似餌でも見切られにくいという利点もあります。
竿と仕掛け
竿の長さは釣り場の川幅に合わせて選ぶのが理想ですが、最初の1本としては様々な状況に対応しやすい3.3m~3.6m程度がおすすめです。狭い支流では短い竿、開けた本流では長い竿が有利になります。
ラインは、それ自体の重さで毛鉤を飛ばすオモリの役割も担うため、専用のテンカララインを使用します。初心者の方には、投げやすくトラブルも少ない「テーパーライン」が良いでしょう。慣れてきたらコスパのいい「レベルライン」に切り替えていくといいと思います。
専用ラインの先には、ハリスとしてナイロンやフロロカーボンの0.8号~1.2号程度の糸を1m前後結び、その先に毛鉤を結びます。竿へのラインの接続は「チチワ結び」、ラインとハリスの接続はトリプル・サージャンズノットなどがおすすめです。また、初心者向けに竿に結べばそのまま使える仕掛けセットも販売されています。
使う毛鉤はシンプルに考えよう
テンカラ釣りでは、フライフィッシングで使うようなドライフライ(水面に浮くタイプ)も使えますが、基本となるのは水中に沈めて使う「テンカラ用毛鉤(和式毛鉤)」です。
フライフィッシングが「魚が捕食している虫に似せたフライ」を選ぶことを重視するのに対し、テンカラ釣りは「今使っている毛鉤に反応してくれる魚」を探して、手返しよくポイントを移動していくスタイルです。ある程度マッチ・ザ・ハッチも意識するといいですが、じっくりと毛鉤を流すことが多いフライフィッシングに比べると、それほど毛鉤選びへのこだわりは釣果に繋がりません。
ただし、魚の活性に合わせた毛鉤の「サイズ選び」は意識しておくといいでしょう。一般的には、魚の活性が高いときは#12(数字が大きいほど小さい)、低いときは#14を目安に使い分けます。
釣り方は正確なキャストと手返しが鍵
テンカラ釣りで釣果を伸ばすには、狙ったポイントへ正確に毛鉤を振り込むキャスティング技術が重要になります。基本動作は、アナログ時計の針をイメージすると分かりやすいでしょう。まず、竿先が時計の2時を指すあたりまで竿をしっかり後方へ振り上げ、ここで一瞬「タメ」を作ります。その後、竿を前方へ振り出し、10時の位置でピタッと止めるイメージでキャストします。
ポイントでは、まず狙う筋の少し上流に毛鉤を投入し、3秒ほど自然に流して反応を見ます。長く流しすぎると魚に見切られやすいため、短時間で打ち返すのがテンカラの基本。流す際は、ラインを張りすぎず、適度にたるませて毛鉤が自然に漂うように意識することも大切です。
3回ほど流してアタリがなければ、違うコースを流したり、別のポイントへ移動したりと、テンポよく探っていきましょう。
<TSURINEWS編集部・渡辺>