「チニングの聖地」浜名湖での【夜のライトプラッギング解説】 根掛かり激減も嬉しいポイント
近年盛り上がりを見せているルアーターゲットは何だろうか、と問われたなら、クロダイトップとフリーリグで火が付いたチニングは外せない。東海エリアでも随所でチニング釣果が聞かれるなか、一番クロダイの魚影が濃い釣り場はどこか。それは「チニングの聖地」とすら評される静岡県・浜名湖だ。聖地と呼ばれるだけあって、クロダイやキビレを狙うアングラーも多い。今回はそんな浜名湖で、トップともフリーリグとも違う、ナイトゲームのシャローフラット・ライトプラッギングを紹介したい。
ライトプラッギングとは
クロダイは何だって食べるし、12cm以上のルアーでだって釣れてしまう魚だ。だが浜名湖でクロダイが常食しているベイトは、ハクやイワシ、ハゼといった小さな魚、エビやカニなどが主体で、実際のところそこまで大きなエサばかり食べているわけではないことは想像に難くないだろう。
これら小型のベイトは、シャローの水面近くをピヨピヨ泳いでいるときが格好の標的となる。それを意識して4~6cmのライトなプラグを投げて、巻くだけで簡単に釣れてしまうのが、ライトプラッギングだ。
シーズンは水温が上がり始める4月後半ごろからスタートし、水温が高止まりしている今がベストシーズンとなる。
浜名湖チニング攻略のポイント
攻めるべきポイントは、水深30cmから1mほどのシャローフラット。深くても1.5m程度まで。浜名湖の大部分がポイントと言えるが、その中でも確度の高いポイントはずばり地形変化。カキ瀬や岬、水深の変化の多いポイントは狙いめだ。また無視できない要素は水温で、冷たい所よりもぬるいポイントの方が釣れる傾向がある。潮が動いていれば上げ潮、下げ潮どちらでも釣れるが、潮の動きの悪いポイントは期待薄だ。
なぜシャローフラットなのか
シャローに差しているクロダイは、基本的にエサを探している&エサを追い込んでいる状態なので、食い気満々であり釣りやすい。足首~ひざ程度までは水に入るが、深くウエーディングする必要がないので楽。
なぜナイトゲームなのか
昼間であればシャローに見えているようなクロダイは警戒心が高く、うまくアプローチしないと釣れないどころか、逃げられてしまうこともしばしば。だがこれがナイトゲームなら、魚にかかる人的プレッシャーを抑えられる。至近距離でのヒットは珍しくない。
なぜワームじゃなくてプラグなのか
今流行のワーム(フリーリグ)と違うプラグのメリットはいくつかあるが、主なものだとまずは圧倒的なフッキング率の高さ。もちろん全てのバイトが乗るわけではないが、ワームでの掛からない悶絶バイトは何だったの?と拍子抜けしてしまうだろう。
次に、水面近くをゆっくり引けて、かつ夜でも魚にしっかりアピールできる波動を出せること。そしてこれは人によるかもしれないが、なんだかプラグで釣った方が気持ちいいってのも共感していただけるのではないだろうか。
最後に結構大事なことだが…。ボトムを切って釣るので根掛かりはほとんどしない。
浜名湖チニングに使用するルアー
飛距離の出る4~6cm前後のフローティングミノーが主戦力。レンジを入れたいときに、スローシンキングミノーやシンキングペンシルも使用する。基本的にタダ巻きで釣るので、ルアーの潜航レンジとアクションの強さのバリエーションが必要となる。目の前に群れが入ってきてどんどんアタる状況でも、同じルアーを投げ続けると明確にスレてくるので、反応を持続させるためにローテーションさせるだけの種類はほしい。
私が最も多くの魚を釣っていてイチオシプラグが、ハルシオンシステムのゆびサック40F&SSだ。飛距離、レンジ、アクションの全てがこの釣りにマッチしているので、取りあえず釣りたいならまずこのルアーを試してほしい。シングルフック搭載のエリアトラウトモデル(40SF&SP)もあり、カラーバリエーションが豊富なのでそれも活用したい。トレブルフックに交換すれば、ほぼソルト仕様だ。
次にオススメなのがタックルハウスのオルガリップレス50とゴーフィッシュのシーバスカレッジ60FGP。これらも飛距離が十分出ることと、ゆびサックとはアクションとレンジが違うのがキモだ。
また、濁りが入ったときに抜群に効いたのが、エリアトラウト用ルアーのティモンブリブリミノーFだ。名前の通り強烈なブリブリアクションが売りで、その強いアクションがド茶濁りでもしっかり魚を寄せてくれる。
ルアーのカラーは水色に応じて、マットピンクやチャート系、やや透けな甲殻類系カラー、ソリッドなブラック系などで3タイプほどあるといいだろう。
浜名湖チニングのタックル
ロッドの長さは5~6フィート前後で、3~5g程度が快適に扱えるパワー、レギュラ~レギュラーファーストテーパーのロッドがオススメ。参考までに、私はちょっと強めのエリアトラウト用ロッドを使っている。同じようなサイズのルアーを投げて巻き、同じようなサイズの魚を釣るという点で共通しているので、ルアーの操作もクロダイとのやり取りもドンピシャで非常に扱いやすい。
他には、何でも狙える系のバーサタイルライトゲームロッドや、軟らかめのネイティブトラウトロッドがオススメだ。
気を付けたいのは、ロッドが長すぎることと強すぎること。ロッドが長くなるほど取り回しが悪くなり、パワーが強いほどクロダイのバイトを弾く。特にオーバーパワーなロッドは致命的なほど、ノリが悪かったのは私が体験済みだ。
リールは2000番クラスでノーマルギア、ハイギアどちらでも可。メインラインはPE0・4号がジャストにしてベスト。これより細いと強度面で不安があり、太いと飛距離と操作性を損なう。ショックリーダーはフロロカーボン6~8ポンドをFGノット等で結ぶ。
その他必要なアイテム
足首~ひざ程度の水深まで軽く入水するので、ウエーダーの使用か夏季ならウエットウエーディングスタイルがオススメだ。長靴でも可。夜釣りなのでヘッドライト(できれば赤灯搭載のもの)とライフジャケット、ランディングネット、フィッシュグリップなど。
いざ実釣
取材日の8月22日の夜はあいにくの大雨。水温や濁りはさほど影響がなさそうでひと安心だ。まずは実績のある潮通しの良いポイントでスタート。ゆびサック40Fを巻くと、ボトムにタッチするぐらい浅いカキ瀬が沖にあり、その瀬の側面が回遊ルートになるので重点的に狙っていく。
リトリーブはハンドル1回転に1.5秒ほどのスピード。たまにベイトが水面でピチャピチャしてはいるが、思惑は外れ1回だけ小型と思しきバイトがあったのみ。回遊があればドドッと連発するので、それを期待して1時間半ほど粘ったが時間だけが過ぎていく。
ポイント移動で連続ヒット
ここはダメだと移動を決意し、次は岬状のポイントへ。ここは明らかに先ほどのポイントより潮の動きが良い。少しずつ横移動し投点をずらしながら広く探っていくと、岬のちょうど先端、水深1mから40cmほどに変化する激浅エリアに差しかかったところでココンと待望のヒット。これは7月ごろからよく釣れるようになった小型のクロダイだったが、1匹釣れるポイントはサイズ問わず魚が入ってくるので期待できる。
投げ続けるとやはり同じ辺りでカァン!と強いバイト。ジリッとドラグが出されたりしつつ、35cmほどのクロダイをキャッチし、サイズアップに成功。中型以上のクロダイは激しくひったくるバイトが魅力で、これがいつも気持ちの良い瞬間なのだ。
再開してすぐ連続ヒットで同サイズ。群れが通過した瞬間をうまく捉えられたようだが、惜しむらくはこの時すでに潮止まりの時間を迎えており、潮が緩んで反応もストップしてしまった。もっと早くポイント移動しておけば…と悔やまれたが、十分撮れ高もあったし…と納竿とした。
釣り方は巻くだけ
ここまでのことを簡単におさらいすると、浅くて変化のある所で、ちっちゃいミノーを投げて巻くと釣れる。超~簡単に言ってしまえばこれだけのことだ。ちなみに今シーズンは3~5時間ほどの釣行10回で、オマケのシーバスも含め45匹キャッチで、ボウズは一度もなしの高打率。良いポイントに良いタイミングで入れば、1人で連打して2ケタ釣果も出せるのがこの釣りの威力だ。
今までクロダイを狙ってみた釣り方の中で、最も簡単に釣れてしまうのがこのライトプラッギング。もちろん投げて巻くだけの中にもいろいろ要素はあるのだが、何せ浜名湖は魚が多く釣れてしまうので、難しいことはひとまず抜きにして挑戦してみてほしい。
もし絶対に釣りたかったら、私の勤務する愛知県一宮市のプロショップ・カリプソにて釣り方のレクチャーが可能なので、釣行前に来店いただければ幸いだ。
<週刊つりニュース中部版 松尾尚恭/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2024年9月13日号に掲載された記事を再編集したものになります。