警察官を装い「身の潔白を証明するため」…金塊2億円をダマし取った巧妙手口
「北海道警豊平署の刑事課の内山です。マネーロンダリンググループのリーダーの男を捕まえ、家宅捜索であなたのキャッシュカードも出てきました。リーダーの男が『あなたに報酬を渡した』と供述している」
警察官を名乗る男は仙台市青葉区の70代女性に電話をかけ、「身の潔白を証明する方法として資金調査がある」と伝えて資産を聞き出し、金貨や金の延べ棒約40点(重さ13キロ、時価約2億円)と現金1000万円をだまし取っていた。
先月18日、70代の女性のもとにまず「東北通信基盤局」の職員を名乗る女から、「携帯電話の契約」についての電話があった。
女性が「身に覚えがない」と答えると、女は「個人情報が漏洩された可能性があります。警察に引き継ぎます」と言って「内山」という男にバトンタッチした。
内山はSNSのメッセージで「守秘義務命令書」などと書かれた写真を送信。女性に「資金を調査します」と伝え、金塊をキャリーケースに入れ、女性の自宅近くの公園まで持って来るよう指示した。
「女性が公園の指定された場所にキャリーバッグを置き、その場から離れると、犯人が金塊をキャリーバッグごと回収。その後、2度にわたって現金1000万円を金融機関の指定口座に振り込ませた。犯人グループは女性に事件の疑いがかかっているイメージを抱かせ、『資金を調べるから提出しなさい』といった、もっともらしい言葉でだましていた」(捜査関係者)
女性は今月23日、ネットで同じような詐欺事件の記事を見つけ、被害を届け出た。被害に気付くきっかけとなった事件は、同一犯をうかがわせる手口だった。
2日前の12月21日、同じ仙台市青葉区に住む30代の男性のスマホに、警察官を装った男から「マネーロンダリング罪の犯人を捕まえた。家宅捜索したら、あなたのキャッシュカードが出てきたので取り調べをする」と電話があった。
その後、取り調べ担当の警察官をかたる別の男から、SNSで偽の「逮捕状」の画像が送られてきた。男は70代女性に話した時と同様、「身の潔白を証明する方法として、資金調査というものがある」と説明したという。
さらに検察官に扮した別の男が登場。「ネットバンキングは資金番号が付与される。あなたの資金番号とマネーロンダリングの資金番号が合っていなければ、マネーロンダリングしていないことが証明される」と男性をだまし、指定口座に2回に分けて現金400万円を振り込ませた。
「男性は逮捕状まで送りつけられ、自分とマネロンの資金番号が違うことを証明するため、現金を振り込んでしまった。その後、警察がSNSで資金調査をすることを不審に思い、被害に気が付いたそうです」(捜査事情通)
警察官をかたる特殊詐欺事件が全国で多発している。