Yahoo! JAPAN

【東武】3月8日デビューの80000系の全貌が明らかに!新設備「たのしーと」の様子は?

鉄道ホビダス

text:鉄道ホビダス編集部
photo(特記以外):RM
取材日:’25.2.10 場所:南栗橋車両管区七光台支所
取材協力:東武鉄道

 2025年2月10日、東武アーバンパークラインに導入予定の新型「80000系」の取材撮影会が、東武鉄道の南栗橋車両管区七光台支所にて行われました。

 今回導入される80000系は5両編成とされ、従来の東武アーバンパークラインの車両からは1両減車される形となります。なお、既存の60000系も5両編成化が行われることとなっており、一部80000系には60000系より抜き取られた1両を流用して落成予定です。
 この5両編成化の背景には、省エネ・CO2削減による環境負荷低減を狙う意図があり、これは同時に最新機器の搭載によっても実現されるようです。

 エクステリアは現行の60000系でも採用されている「フューチャーブルー」と「ブライトグリーン」のカラーリングを基調に、エッジを際立たせた先頭形状とすることで先進性を表現。インテリアは「リビング」をテーマとし、乗った瞬間に気持ちが安らぐような落ち着いた空間を表現しています。

▲新たに設定された「たのしーと」。

 東武鉄道の事業計画でもある「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」の実現に寄与するため、80000系では安全で快適な車両であることに加えて、子育て世代が快適に利用できる車両構造というのをコンセプトに掲げています。それが最も見えるのが一部箇所に設けられる「たのしーと」でしょう。
 この「たのしーと」では子供部屋をイメージしたワクワクする内装をデザインし、ベビーカーを押して乗車しても隣に座れる構造を実現しています。
 側面扉上部には17.5インチの2画面(LCD)表示器を千鳥配置しています。さらにセキュリティ向上のため同じく側面扉上部には防犯カメラも設置。また、乗務員室と客室の仕切窓は大きく取られ、仕切扉の窓は下辺方向に拡大して手スリも設置することで、子供でも前面展望が見やすくなるような配慮がなされています。

▲乗務員室と客室の仕切り窓は大きく、さらに仕切扉窓は下方へ拡大したことで、身長の低い子供でも前面展望が楽しみやすくなった。

 技術面では民鉄初となる同期リラクタンスモーターを採用した車両推進システムを採用。この同期リラクタンスモーターは、発熱による損失が少なく高効率な上、電動機出力を上げることで回生ブレーキ領域も拡大し更なる消費電力の削減を実現するというもの。これは永久磁石同期モーター(PMSM)と比較しても、レアアースである永久磁石が不要で回路もシンプルになります。
 加えて、VVVFインバーターにはフルSiC素子適用の2レベル方式電圧PWMインバーターを採用し、編成は2M3Tに。主回路にはMOSTETモジュールを用いています。
 また、リチウムイオン二次電池SCiBとSIV装置を組み合わせた車上バッテリーシステムも採用することで、回生ブレーキで得られた電力を架線に戻さず、SIV装置を介して車上バッテリーに充電をして回生ブレーキの失効を減らしています。もちろん、SIV装置の不具合時などはこのバッテリーから補助電力を供給できるようにもなっています。その結果、消費電力は従来の8000系と比較すると40%以上も削減されるとのことです。

 これらのみならず、車両には設備モニタリングシステムも搭載されており、走行しながら架線や軌道、地上の保安装置のモニタリング・常時検測ができるようになっており、施設の状態を精密に把握・管理することで安全面の向上も図るようです。

 なお、運行開始は2025年3月8日を予定しています。以降、東武アーバンパークラインの車両は順次5両編成の車両となっていく見込みです。

【関連記事】

おすすめの記事