【東広島】好きを学び、話し合って決める 志和町にひろしま自由学校アシンク開校
東広島市志和町志和東の阿原(あわら)地区に8月20日、自然の中で個々の子どもの関心やペースに合わせて学べるフリースクール、ひろしま自由学校アシンクが開校した。周りに昔ながらの自然環境が残る古民家を改修して、一般社団法人を設立し運営する。(山北)
■ひろしま自由学校アシンクに込められた思い
自由とは、周りの人に迷惑をかけず、自分でいろいろなことを決めて、自分が決めたことを最後までやり通すことで、アシンクは非同期の略。童謡詩人、金子みすゞの「みんな違ってみんないい」という言葉のように、誰かと同じであることを求めず、お互いの違いを認め合い個性を受け入れ、子どもの生きる場を作りたいという思いでそれぞれ名付けた。
■立ち上げのきっかけ
高須賀清香(たかすか・さやか)代表は、自身の子どもが入園していた幼稚園の保育を通して、大人が子どもの能力の可能性を信じ子どもが自分の意志で行動できる環境があれば、自ら学ぶことができることを体感した。仲渡尚史(なかと・なおふみ)校長は40年間、さまざまな子どもたちの教師や保育者、支援者として過ごした。子どもたちが、自然の中で自らを育てる力を信じコミュニティの中で大切に守りたいと、自然の中で思いきり遊んで学ぶフリースクールを2人で立ち上げた。同校には、広島文教大学名誉教授の杉山浩之(すぎやま・ひろゆき)理事が加わり3人で運営する。
■目指すもの
子どもたちが大人に指示されず、自分たちでルールや活動を決める自由と自治を柱とする民主的な学校のデモクラティックスクール。子どもたちが、自分でやりたいことを選び、自由に活動しルールや活動を子どもたちが話し合って決める。自由の中で、自分で考えて活動し体験し、好きなものを見つける。誰かと同じであることを求めず、自分自身を生きる場をつくり、子どもたちの多様な学びや成長を支援する。
■学び・活動
自然の中での遊びを通した体験学習を重視し、スタッフは教える存在ではなく困った時にサポートする。事前に決められた授業やカリキュラム、時間割、宿題などはなく自分の好きなことや興味のあることにじっくりと取り組み、自分のペースで安心して過ごせる場を提供する。年齢・能力に関係なく、すべての人が対等で何を学ぶか、誰とどう関わるかを自分自身が決めるのが基本スタイル。ゲーム、読書、創作、対話などすべてが活動。自分がやりたいことを選び、責任を持って進めていくことを大切にしている。子どもたちの興味や関心に基づいて、木材と道具を使用しながらテーブルや椅子などを作ったり、竹を使用し、竹鉄砲や竹馬、竹とんぼなどを作ったりする。夏には、近くを流れる小川の浅瀬に入り、川魚やエビ、カニなどの生き物を見たり触れたり網で採集して飼育する。冬には、まきを集めてたき火体験をする。今後は畑を作り、野菜を育て、収穫した野菜で料理を作る予定。一人一人が思い思いに自分がやりたいことを見つけて取り組み、遊びや学びを深める。自由があるからこそ自分から育つこと、遊ぶこと、学ぶことができる。子どもたちのこれからの多様な学びや成長を支援しながら自然や大地との関りの中で活動を広げて行く。
■オープンスクール
8月7日は、6回目のオープンスクール。午前と午後を合わせて計約10人が参加した。子どもたちは、さわやかな風が吹き抜ける納屋の軒下でほうきを使い掃き掃除をしたり、ハンモックに乗って遊んだり、縁側のある部屋でカルタとりや読書など自分の好きな遊びを見つけて楽しんだ。この後、子どもの提案で野外活動。近くの山まで小川のせせらぎを聞きながら虫捕り網を持って歩き、途中でカエルやバッタなどを見つけて歓声を上げた。
自然保育推進アドバイザーでもある仲渡校長らと一緒に山に入り、アカメガシワの木の樹液を食べていた、つがいのクワガタを発見し「5㌢のミヤマクワガタをみつけた!」と笑顔が輝く。クワガタに興味を持ち、仲渡校長にもっと山で探してみたいと一生懸命思いを伝える子ども。2人で再び山に入り、時間を掛けてクワガタを1匹採集し満足そうにクワガタを観察していた。参加した子どもたちは、好奇心を揺さぶる体験に笑顔が満開だった。
ひろしま自然保育推進協議会長の杉山理事は「子どもが登校できない時には、無理やり学校に行かせるよりは、休ませてフリースクールを利用してほしい。自然の中で癒やされたり、自分のペースで元気を回復したりする場として使ってもらえれば」、学習塾の講師をしている高須賀代表は「一人一人がやりたいことを自由に決めて活動するのが基本。お互いが自由な存在であることを認め合い、納得できるような答えを見つけていく教育を目指している。フリースクールが選択肢の一つになれるように頑張りたい」、幼稚園長の経験もある仲渡校長は「フリースクールが子どもたちにとって何もしなくてもリラックスできる居場所になれば」と話していた。
ひろしま自由学校アシンク
■対象 6歳から15歳前後の子ども
■定員 15〜20人
■開校日時
週2日(水、金)10:00〜15:00 延長預かりは検討中
※第1金曜日のみ、翌土曜日に開校
■バス
芸陽バスによる定時運行
西条駅、寺家駅(市田橋)、八本松駅より入り口の阿原口で下車
■送迎 検討中
問い合わせは、ひろしま自由学校アシンクのホームページから。
プレスネット編集部