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世界初の光るコチョウラン!でも、なんで光らせたの?

TBSラジオ

この花が、ブラックライトを当てるとこうなります!!

今日はまずコチラをお聞きください。街の方々に、ある花の写真を見せて、感想を伺いました。

「コチョウランでしょ?(真っ暗にしてブラックライトを当てると、こうなるんです。)あ、そう、へえ~。LEDか蛍光塗料かなんか塗ってんのかねえ?暗いとこで見りゃキレイだし、いいんじゃない?」

「ここが光ってるの?信じられないけどちょっと。綺麗ね、だけど。これだけ見たら驚かない、こういうもんだと思うかも分からないけど、これがこうなりますっていうのが驚きます。」

「ぁああ~(笑)。もっと驚くべきだったんですね?なんか幻想的ではありますけどね。ちょっとコワいけど、なんか。夜、光ってたら。」

「あ、スゴイですね!結構バーとかにあったらカッコイイですよね?レストランとか、割と暗めの照明の所に置いたらカッコイイんじゃないかなっていう感じしますよね。」

「お花、光るんですね、え~すごーい!え、めっちゃ不思議ですね!へえ~、すごい、知らなかったです。」

先月、開催された「世界らん展」で世界初公開されたの光るコチョウランを見ていただきました。

(左が、元の状態のコチョウラン。ブラックライトを当てると右のように光ります。)

暗闇にコチョウランの花がふわっと光って浮かび上がっているみたいですよね。

動物性プランクトンの発光する遺伝子をコチョウランに入れた!?

では、この光るコチョウラン、どうやって作ったのか。品種改良の研究者、千葉大学名誉教授、三位正洋先生に伺いました。

千葉大学名誉教授 三位正洋さん
「コチョウランの白い花の大輪の品種です。その品種に対して、キリディウス・ポッペイという、富山湾の深海にいる動物性のプランクトン、それが持っている発光する遺伝子というか、それを獲って来て、そのコチョウランに遺伝子組み換えという技術で組み込んで作った、ということになります。

ですから、出来たラン自体は普通の状態で見たら、贈答用に使われている白花の大輪のコチョウランそのものです。で、暗闇で紫外線を当てれば、黄緑色に光ると。

光る物というのは、蛍光タンパク質という、タンパク質の一種ですよね、それを作るための遺伝子というのがあるわけですよね。で、その元のプランクトンが持ってる遺伝子を切り出してきて、それを改良してコチョウランに入れたと、そういう話になります。」

このキリディウス・ポッペイという動物性のプランクトンは、青い光が当たると黄緑色に光るタンパク質を持っているのだそう。でも、普段、何もしなければ光らないし、自分から光は出さない。じゃあ、何で光るタンパク質を持っているのか?は、いまだに謎で分かっていません。不思議ですね~。

植物に深海のプランクトンの遺伝子をどうやって入れるの?

その遺伝子をコチョウランに入れたわけですが、それには植物を病気にする細菌、(バ
ラの根頭がんしゅ病を引き起こす病原菌)を使っているのだそう。いったい、どういうことなのか?再び、三位先生のお話です。

千葉大学名誉教授 三位正洋さん
「遺伝子組み換えっていうのは、植物では一般的に使われるのは、アグロバクテリウムっていう細菌があるんですね。このアグロバクテリウムっていう細菌は、何を元々しているかというと、植物に感染して腫瘍を作らせるんですね。

バクテリア自身が持っている腫瘍を引き起こす遺伝子を、植物の細胞の中に送り込んで、その細胞の中に送り込まれた遺伝子が、植物の染色体の中に入っていって、そこに組み込まれちゃうんですね。そうすると、それはもう遺伝子を組み替えたということになるんですね。

で、そういうバクテリアが持っている植物の細胞に遺伝子を送り込むような機能っていうのを、じゃあこの病原菌を引き起こすような遺伝子を取り除いてしまって、その代わりに目的の遺伝子をそれに持たせて入れてやれば、目的の遺伝子を運べるじゃないかという、そういう感じですね。」

病原菌の代わりに、目的のものを運ばせる!今回は光る遺伝子を運ばせましたが、今までに、花の色を青くするものを運ばせたり、草丈を低くするもの、病気に対する抵抗性を持たせるものも運ばせています。

ただし、細胞に送り届けても、どの細胞にも一斉に届くわけでもないし、届いても染色体のどこに入るかは決まってなくてランダムに入るし、入った場所によっては全く働かないし・・・。要するに花で働くかどうかは分からない。

そして、組み替えた細胞一つ一つから植物の個体を再生するのは、時間も技術も必要。

というわけで、今回、細胞からコチョウランとして再生できたのは3個体で、しかも、その3個体は葉っぱまでは光ったのですが、花まで光ったのは1個体だけでした。

光るコチョウランは、希望の光!!

でも、そんなに大変なのに、なんでわざわざコチョウランを光らせたのか?と、素朴な疑問を三位先生にぶつけてみました。

千葉大学名誉教授 三位正洋さん
「えーとね、これが何につながるかって言われると一番困るんですけどね(笑)。花光らせて何が面白い?と冷静に言われたらね、面白くない人には別に何の興味もない話ですよね。

だけども今回使ったのは動物性プランクトンで、海の中にいたら誰にも気づかれないような生物ですよね。それから青いコチョウランですけど、これは雑草として珍重もされていないつゆ草という生物です。

で、自然界が作りだした色んな生物があって、重要性も認められていないし、何の役に立つかも分からずに、いつの間にか絶滅してしまうようなものっていうのはたくさんあるわけですね。

だから、そういう全ての生き物について、どんな役に立つものがあるか分からないですよ、ということを知って頂くためのメッセージとして受け取っていただきたいなというのが、私の願いなんですね。

この光るコチョウランは、私自身はね、希望の光としてね、こういう技術に対して注目してもらうために手段として利用できるかなという風には思っています。」

喜寿を迎える三位先生は、「生物の可能性と、品種改良の技術の未来に向けた願い」を、この光るコチョウランに込めた、と。

でも、温暖化で不作になる作物も多い中、この技術で暑さに対する抵抗性を持たせるとか、ブラックライトが無くても光る花が出来たら、エコだし停電の時も安心なのではないか?とか、身近な植物が光るというのは、未来を感じる、確かに「希望の光かも」と思いました。

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