東京都知事選挙!改めて知っておこう都知事の役割
過去最多となる22人が立候補した前回の東京都知事選挙から4年。今回は56人と大幅に上回る過去最多の立候補者数となりました。そして投票・開票を7月7日(日)に控えています。そこで改めて「都知事の仕事」とは何か?東京は今どんな課題を抱えているのか?をTBSラジオ国会担当の澤田大樹記者に教えていただきました。
そもそも「都知事」の仕事って何?
人口が一番多い東京都でも、人口が最も少ない鳥取県でも基本的に同じ。知事の主な仕事として「予算をどこに使うかを決めて、執行すること」、それから「条例案を策定して議会に提出する」という大きく分けると2つ。もちろん公共施設の設置や廃止、産業と雇用の促進、政府との折衝、災害時や緊急時の対応なども細かく言えば、たくさんあります。
「国政」と「都政」の違いですが、よく言われるのが、都政は「大統領制に似ている」ということ。総理大臣は国民が選んだ国会議員によって国会議員の中から選ばれますが(間接民主制)、都知事は都民から直接選ばれる(直接民主制)。また知事は予算配分や執行など自治体の経営に深く関与し、法律(条令)の提出なども行うことから強大な権限を持ちます。
さらに予算規模の大きさは特別会計、公営企業会計を合わせた総額は16兆円でチェコやオーストリア、スウェーデンに匹敵する規模。国家レベルの予算があります。
公務員の数も多く、都の職員は教員や消防隊員を入れれば約17万人。これは自衛隊に次ぐ規模の組織。また大企業も多く人口も集中しているため、47都道府県の中で唯一国からの地方交付税を給付されていない自治体となっています。一方、その強大な権限に対峙するため議会が存在しています。国会も同じように存在すしますが、総理は国会の多数派から選出されるので、議会との緊張関係は都のほうが大きいと言えます。
東京が抱える課題って?
予算規模も大きく、一見、東京都は順風満帆にも見えますが、様々な課題を抱えています。ひとつは「少子高齢化」。
朝日新聞の2024年1月27日の記事を参考にすると、1994年度の都の人口は約1179万人で、1410万人まで膨らんだ今より、約230万人少ない状況でした。歳出の内訳を、都民1人あたりに換算してみたところ、大きく金額が変わった分野が医療や介護などの「福祉と保健」。94年度の5万6317円から24年度は11万4141円と倍増しています。全人口に対する年代別の割合(日本人)は、94年は「65歳以上」が約12%で「0~14歳」が約13%でしたが、昨年はそれぞれ約23%と約11%に。高齢化による歳出の拡大などが大きくなる可能性もあります。
また朝日新聞の2024年6月22日の記事では「生涯未婚率」の問題も指摘。今年、東京は史上初めて合計特殊出生率が「1.0」を割りました。若い世代の未婚化も進んでいて、50歳時点の未婚の人の割合を示す「生涯未婚率」(20年)は男性28.3%、女性17.8%。集計方法が途中で変わっていますが、30年前より男性は約22ポイント、女性は約13ポイント高くなっています。東京は男性32.2%、女性23.8%で、平均初婚年齢(男性32.3歳、女性30.7歳=22年)と同じく全国最高。どういった対策で少子化の流れを変えられるのかが、東京という都市の維持には大きな争点になります。
ほかにも災害の問題も抱えています。近年の洪水などの異常気象のほか、首都直下地震時の木造家屋の密集地帯の火災対策など人口集中都市の宿命災害対策も大きな争点です。
それでも発展し続けるためには、都民の所得を増やしつつ、高齢化する中で新たな産業をどう創出するのかなど、経済政策も「経営者」の顔を持つ都知事選では大事なテーマといえます。
子育て政策、老朽化するインフラ対策など、それぞれの関心があるトピックごとに候補者を見て、投票の判断材料にしてみるのがよいかもしれません。