「お金を使う人は神、使わない人はクソ」観光客を罵倒するツアーガイドが物議醸す(中国)
中国では団体ツアーにおいて、土産店に客を案内することで売上の一部がツアーガイドに謝礼として支払われることがあり、ツアーガイドにとって重要な収入源になっているようだ。そんな中、ツアーガイドが土産店でお金を使わない団体客を罵倒する動画が拡散され、物議を醸している。このツアーガイドは、後に処罰を受けるという。中国の国営公共放送局『中国中央電視台(CCTV)』などが伝えている。
中国天津市で現地時間19日、団体ツアー客の乗ったバス車内で撮影された動画が人々の怒りを買っている。中国の観光情報ウェブサイト『中国旅游新闻网』によると、この団体ツアー客は16日に山西省太原市を出発し、河北省秦皇島市北戴河区と天津市を巡る4日間のツアーに参加していたという。
ツアー客を乗せたバスは19日の午前8時頃、天津市に到着すると現地の女性ガイド、デン(邓)が案内することになった。そして午前10時半頃、52人のツアー客らはデンに案内された土産店であまり買い物をせずにバスに戻ってきたことから、心無い言葉を浴びせられてしまった。当時の様子を撮影した動画には、バス車内の前方に仁王立ちしたデンがツアー客らに向かってこのように罵倒していた。
「52人もいるのに、あんたたちが使ったお金の合計がなんで900元(約1万9100円)なのよ! 私は大損を被ったのよ。『できるだけたくさん買い物して!』ってあれほど言ったのに、ほとんどが手ぶらで帰ってきたじゃない!」
「あんたたちは年をとりすぎなんだよ。全く意味がわかんないわ! 地元の太原市の人に恥をかかせているのよ! いい? お金を使う人は神様だけど、使わない人はクソよ!」
さらにデンは、土産店で何も購入しなかった客に対して店に戻るように告げ、最低でも1000~2000元(約2万1200~4万2400円)を使うように強要していた。当時、バス車内にいたツアー客が動画を撮影しており、SNSで瞬く間に拡散されると、次のような非難の声があがった。
「彼女はまるで吠える雌犬だ。人としての質があまりにも悪すぎる。」
「私は天津の女性にかなり良い印象を持っていたんだけど、これじゃおしまいだね。」
「ツアーに申し込んだ時、すでに交通費を支払っているのに、なぜ人々に物を買わせようとするの? 彼女は典型的な天津のあばずれだ。」
「全員がツアーガイドにチップを100元(約2120円)払えば十分だったんじゃないかな。偽物商品を大量に買うよりマシなんじゃない?」
一方で、「このおじいちゃんやおばあちゃんたちは超格安ツアーに参加しておいて、何も買わないなんて叱られて当然だよね」とデンを擁護するような声も見られた。しかしこの動画が注目を集めたことで、天津市文化観光局が「ツアー客にガイドが消費を強要した」として調査に乗り出すこととなった。
今月19日付の同観光局の声明によると、デンは昨年2023年9月9日にツアーガイドとしての資格を失効しており、動画に撮影された当時は無資格だったという。よってデンには、「添乗員管理条例」第4条及び第18条の規定に基づいて、最高3万元(約63万5500円)の罰金が科され、ガイドの資格を持たずに得た収入も没収される予定とのことだ。そして同観光局は、声明をこのように締めくくっている。
「当局は今後も観光市場の秩序を標準化して、あらゆる違法行為を断固として取り締まり、天津市の観光産業のサービスレベルの向上に全力を尽くし、常により良い観光地とすべく環境を整え、安全で快適な観光を提供していく所存です。観光客が街を楽しむための行き届いたサービスを保証するとともに、あらゆる立場からのご意見、ご指摘いただけますと幸いです。」
画像は『吴文行wenxingwu X「7月19日,天津一女导游强制购物,因52名游客只花了900元训斥游客」』より
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)