姉妹で継いだ40年続く母の喫茶店…自慢の無水カレーに込められた思い
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あたたかい家族の姿を描くコーナー「ファミリーストーリー 家族のキズナ」。
今回は、母のためにお店を継いだ、ある姉妹に密着しました。
母のために喫茶店を継いだ姉妹
お皿に盛られたのは、水を使わず具材の水分だけで作る無水カレー!
スパイシーで、旨味がギュッと詰まった、これからの夏におすすめです。
札幌中央区の山鼻エリア、その住宅街のなかに2024年10月にオープンしたのは、カレー専門店「エンジェル」。
お店を切り盛りするのは…
番組スタッフ:「3人はケンカする?」妹・沙桜佳さん:「ケンカは毎日しています」
笑顔が素敵な久我さん親子。
母の和子さんは、主に接客や後片付けなどを担当し、姉の仁環子さんと妹の沙桜佳さんは、調理を担当しています。
“食”で多くの人を喜ばせたいという思いから2024年10月にオープンした「エンジェル」。
実はその前まで、母の和子さんが、喫茶店として40年間営業を続けていました。
和子さん:「皆さんに(天使のような)優しさを与えたいなと思って“エンジェル”という名前にしました。25歳だったんですけど、お店を始めたとき若かったので勢いですね。一番は生活のためです」
和子さんは、喫茶店を開業した当初に離婚。
2人の娘を育てながら、早朝から深夜まで働きましたが、なかなかうまくいきませんでした。
和子さん:「お客さん全然来ないし、ここで大丈夫だろうかと。甘いものではなかったんだなと思いました」
喫茶店を始めた頃は、ソフトクリームやパンケーキなど、スイーツをメインに出していましたが、売り上げは伸びませんでした。
そんな和子さんに、ある日転機が訪れます。
和子さん:「(お店に)来ていたサラリーマンたちが『ごはんが食べたい。ごはんを出してくれたら毎日来る』と言ってくれて。作ったら皆さん喜んでくれるようになって、もっと真剣にちゃんとやらないといけないと思って、栄養やカロリーなど考えて作るようになりました」
栄養バランスを考えた“日替わり弁当”は、評判を呼び「エンジェル」を支える、看板メニューになったそうです。
しかし、2人の娘には、つらい思いをさせてしまったと言います。
姉・仁環子さん:「小さい頃はいないのが当たり前だったから」
和子さん:「日曜日におでかけしても、必ず帰りに次の日のお店の仕入れをしないといけなくて、『また行くの?』と言われながら、『仕事で頑張っているから許してね』と言っていました」
その後、仕事を続けながらも2人の娘を育てあげた和子さん。
2年前の冬に大ケガをしてしまいます。
和子さん:「ツルツル路面で転んでしまって、そのまま入院になってしまった。圧迫骨折だったんですよね。腰だったので、動けなくてもう無理なのかなって思ってやめようと思っていました」
しかし、40年続いたエンジェルは、和子さんの大切な場所。
やめようとしていた母を見て、姉妹は、ある決断をしました。
姉・仁環子さん:「倒れたときに、『お母さんの居場所をなくしたくないよね』って2人で話して、お店を引き継ぐことになったんですけど」
お互い家庭を持ち、別の仕事をしていた2人でしたが、母のために「エンジェル」で、新たな店を開くことを決めました。
和子さん:「本当にやめたらいいのに…こんな大変な仕事、絶対にやめたらいいのにと思いました」
姉・仁環子さん:「もともと大変なのは見てわかっていたので、覚悟は決めて継ぐことを決めたので」
そんな姉妹が始めたのは、母と同じく、お客さんの健康を第一に考えるお店でした。
姉・仁環子さん:「小麦粉や油を一切使っていない“スパイスのみのカレー”。カレーこうじを作っていて、そのこうじがカレーに入っています」
お店では、米こうじに6種類のスパイスを合わせて発酵させた、自家製の“カレーこうじ”を使用。
腸内環境を整える効果も期待できるのだそうです。
一番人気は、ヘルシーな鶏の胸肉をふんだんに使った、無水カレー!
蒸し焼きの野菜がトッピングされた、カラダにやさしい1皿です。
客:「グルテンフリーだから、腸がよろこんでカラダにいい」
客「仕事帰りにフラっと寄れて、健康にいいモノを作ってくれる」
母が作っていた日替わり弁当のように、食べて元気になってほしいという思いが込められています。
番組スタッフ:「不安はなかった?」妹・沙桜佳さん:「まったくなかったです。お姉ちゃんと一緒だからかも知れないですね。心強かったです、一緒にやれるというのは」
現在、和子さんは、腰の状態をみながら2人をサポート。
コーヒーなどドリンクも担当しています。
常連客:「仲よくやっている感じがして、和気あいあいとした感じでいい」
常連客「親子でお店を一緒にできるのは、すごい幸せなことだと思うんですよね。“幸せ”を私たちもいただいている」
営業を終えて…
和子さん:「私の娘の家です。これから打ち上げをやります」
週に一度、親子3人で開くのが、“打ち上げ”という名の反省会。
姉・仁環子さん「3人で話合わなきゃダメだと。言いたいことを言って仲よく終わっています」
和子さん:「何もわだかまりはなく、でもちょっと飲み過ぎて何をしゃべったかを忘れていることもあります」
密着ロケの終了後、姉妹は母・和子さんに、サプライズを用意していました!
姉・仁環子さん:「代表して姉の私が、40年間お疲れ様でした。これからも私たち姉妹で頑張ってエンジェルをなくならないように引き継ぎます」
和子さん:「うれしいです。私が何年手伝えられるか分からないけど、私が生きている間は一緒に働けたら嬉しいです」
【エンジェル】
住所:中央区南15西7
電話番号:011-563-8534
営業時間:午前11時~午後3時
定休日:日・月曜・祝日
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事前の予約が必要です。
詳しくは、お店の公式インスタグラムなどを検索してみてください。
※掲載の内容は番組放送時(2025年6月3日)の情報に基づきます。