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苦難のシーズンを越えて“本来の姿”を取り戻しつつある”琉球コラソン”伸びしろ十分の「両翼」を中心に描く飛躍への道筋

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野尻(左)のゴールを喜ぶ琉球コラソンのメンバー
リーグ全体の得点ランキングで2位につけるルーキーの野尻雄偉=9月29日、沖縄県立武道館アリーナ(長嶺真輝)

ハンドボールの新たなトップリーグ「リーグH」が開幕して1カ月。旧リーグだった昨シーズン、13チーム中11位に沈んだ琉球コラソンが好調なスタートを切っている。 4戦を消化して2勝2敗、現時点で14チーム中6位。全24試合を戦う長いシーズンで気の早い話ではあるが、プレーオフ進出圏内(上位6チーム)につける。10月6日午後3時からは、那覇市の沖縄県立武道館アリーナに8位のレッドトルネード佐賀を迎え、今季第5戦を行う。 3シーズン目に入った東江正作監督体制の下、昨シーズンはなかなか体現できなかった「人とボールが動くハンドボール」という本来の姿を取り戻しつつある。先鋒を担うのは、オフェンスの左右45度で存在感を放つルーキーの野尻雄偉と、台湾出身で身長190cmの高さがあるパン・エンジャーだ。 この両翼を中心に、コラソンが目指す飛躍への道筋を探った。

本島初戦の第4戦 ディフェンスの変化に対応できず黒星

ディフェンスで体を張る中川智規(左から2番目)や髙橋翼(右端)ら

9月29日、県立武道館アリーナで行われた今季第4戦。開幕戦は石垣市で行ったが、沖縄本島ではこれが初戦だった。コラソンは白星先行のトヨタ自動車東日本レガロッソ宮城を相手に、序盤からリードを奪う。 レフトバックに入った野尻が巧みなステップでディフェンス網を突破したり、野尻が押し込んだ隙にエンジャーが高い打点からディスタンスシュートを突き刺したりして、リズムをつかんだ。ディフェンスではポストの髙橋翼と中川智規が体を張り、ゴールキーパーの島袋翔もファインセーブを連発して速攻につなげた。 ただ、前半途中からレガロッソが野尻とエンジャーに対して高い位置からディフェンスを仕掛けると、流れを奪われる。最大4点差をつけていたが、ハーフタイムを挟んでの5連続失点で逆転を許し、後半はわずか9得点。じわじわと点差を放され、24ー28で敗れた。 試合の入り方については「プラン通り」(東江監督)。しかし、その後の相手のディフェンスの変化に対応できなかった。指揮官は「同点で後半に入り、すぐ先行されてしまった。点を返したりはしましたが、途中から連動ができなくなり、ぶつ切り状態のオフェンスになってしまった。24点しか取れなかったことが大きな敗因です」と悔しさを滲ませた。

連動性が復活 東江主将「4勝でもおかしくない」

左利きで、高さのあるパン・エンジャー

ただ、前半で見せたような強い縦の1対1やスピード感のある速攻、時にはサイドまでボールが回っての得点など、昨シーズンは少なかった「強さ」と「速さ」という持ち味が復活しつつあるように見えた。選手同士の連動性も明らかに向上している。 今シーズンは安芸高田わくながハンドボールクラブとの開幕戦を36ー33で勝利。強豪である大同フェニックス東海との第2戦は31ー32で惜敗したものの、第3戦の富山ドリームス戦は38ー27で大勝している。 第4戦以外はいずれも30点超を奪取しており、東江監督も一定の手応えを口にする。 「今はチームとしての規律を徹底してやっていて、全員がそこに向かってプレーしていることが昨シーズンとの大きな違いです。(強い縦の1対1が)基軸になることは変わりません。今日も一本、野尻が(相手ディフェンスの)真ん中を陥没させて、パンがディスタンスシュートを打った良いプレーがありました。右サイドの比嘉信吾も得点を挙げていて、こういったプレーが増えていくと、さらに勝利につながっていくと思います」  親子でチームを引っ張るキャプテンの東江太輝は「今までのコラソンからしたら開幕から2勝2敗は悪くないと思いますが、4勝0敗でもおかしくない出来。非常に悔しいです」とコメント。厳しい表情ではあったが、新チームに対して好感触を得ているからこその悔しさなのだろう。

多彩なシュートを持つ“大卒ルーキー”野尻

野尻(左)のゴールを喜ぶ琉球コラソンのメンバー

ここからさらに白星を積み重ねるためには、冒頭でも触れたレフトバックの野尻とライトバックのエンジャーの成長が欠かせない。野尻は現在、31得点でリーグ全体の得点ランキングで2位につけ、エンジャーも24得点で6位に入っている。 2人に対する期待感は、東江キャプテンの言葉からも見て取れる。 「まだ1年目ですが、野尻の1対1の強さはリーグでも通用するので、『自分がエースだ』という自覚を持つように話をしています。近年所属した佐藤草太や依田純真といった速い選手とスタイルが似ていますが、彼らより早い段階でそれができている。そこは強みです。パンがもうちょっと安定してくればオフェンスは締まってくると思います」 野尻の武器は1対1からの多彩な得点パターンにある。 レガロッソ戦はチームトップの8得点。素早いターンでディフェンスを交わしたり、不意を突いたステップシュートでネットを揺らしたりしたほか、相手ディフェンスの2枚目が高い位置からプレッシャーを掛けてきた時にはセンターバックの位置に入って中央からゴールを射抜く場面もあった。速攻の先頭を走る脚力もある。 「(野尻は)1対1で抜けなかった時にボールを味方に預けるプレーが出てくれば、より相手も的を絞れなくなる」(東江キャプテン)と課題もあるが、それだけ伸びしろも大きいということ。自身も「シーズンを通してどんどん成長していければいいと思っているので、負けを受け止めて修正しながら戦っていきたいです」と今後を見据える。 神奈川県出身の野尻。関東学院大学を卒業後、地元のクラブチームを経てリーグHの開幕シーズンにデビューを飾った。「他のチームに比べて、1対1という僕のストロングポイントを生かせる」という理由でコラソン入りを決めた。 沖縄はハンドボールが盛んな地域で、浦添市内でハンドボールのTシャツを来ている子どもを見掛けた時は「すごいところだな」と驚いたという。レガロッソ戦には886人が来場した。「沖縄本島での開幕戦を迎えて、子どもたちが喜んでいる姿を見て幸せな気持ちです。とてもやりがいを感じます」と生き生きと語る。   昨シーズンはわずか4勝に終わり、ホーム戦でヤジが飛ぶ屈辱も味わったコラソン。若い力と共に、飛躍を遂げるシーズンにしたい。

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