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利用増へ販路拡大が課題 搬入頭数は目標の4割

タウンニュース

工房で処理をする猟友会のメンバー

昨年10月から本格稼働する「あしがらジビエ工房」(松田町松田庶子)。稼働から約1年、利用は増えてきているが多くの課題ものぞく。

ニホンジカやイノシシなどの農業被害が増加する足柄上地域。中でもシカの被害は大きく2022年度は約158万円の被害がでている。

あしがらジビエ工房は、被害対策と捕獲したシカなどをジビエとして有効活用するため、足柄上郡5町(中井町、大井町、松田町、山北町、開成町)とJAかながわ西湘が約4千万円をかけて県内で初めて建設した。運営は5町でつくる足柄上地区ジビエ処理加工施設運営協議会が実施。猟友会など捕獲者自身が搬入、解体、販売を手掛ける特殊な方式を採用する。施設の利用料金は1頭3千円からになっている。

同工房で処理される大半はシカ。23年10月から24年9月までの約1年間で66頭が処理された。シカの猟期は11月から2月だが、地元猟友会は駆除を目的としているため、通年でシカを捕獲している。同協議会によると年間の目標搬入頭数は170頭。「11月から猟期の捕獲が期待できるので、今冬は利用が増えるのでは」と期待する。

搬入頭数を地域別でみると、松田町が30頭、山北町が24頭、大井町が12頭。23年度のシカの捕獲数は山北町が689頭。松田町が89頭、大井町が57頭と続く。捕獲数に対し山北町の利用が少ないが、山北町の担当者は「野生動物は衛生面など安全性が重要です。捕獲場所から松田町にある工房までの距離的な問題が一因」と分析する。利用促進に向け「工房利用者に対し、山北町内でのジビエ販売に補助金を出す試みを行っています」と同町は話す。

施設には光熱費、内臓や骨、皮などの「残滓」の処理費など100万から200万円の施設維持費がかかり、利用の促進と販路の拡大が必要となる。同協議会では「国産ジビエ認証」の取得を目指す。認証されると飲食店や大手スーパーなどと取引しやすくなるメリットがある。同協議会は「全国でジビエ処理施設は600程度あるが、認証を受けているのは約40施設。クリアしなければならない条件はあるが、販路拡大に向け取得を目指したい」と話した。

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