よく遊びよく働く、テックな人たちに聞いた「趣味」大公開! 仕事への思わぬ影響も?
仕事ができる人ほど、プライベートも充実しているように見える……。そんな風に思ったことはないだろうか?
毎日忙しいはずなのに、やることも考えることも山積みのはずなのに、遊ぶ時間もしっかり確保して目いっぱい楽しむ大人たちを見ると、うらやましさと微笑ましさで胸の奥がくすぐられる。
今回は、「仕事も遊びも全力投球」な人々の趣味に注目! どんなことにハマっているのか、そしてそれが「仕事に活かされている」なんてことがあるのかないのか、写真付きで教えてもらった。
登場するのは牛尾 剛さん、ハヤカワ五味さん、澤 円さん、ナル先生、増井 雄一郎さんの5名だ。
【牛尾 剛さん】ギターとプログラミング、上達のコツは同じ
Q.あなたの趣味は何ですか?
牛尾さん:ディープブルースです。一般的にはデルタブルース、シカゴブルースと言われるジャンルの音楽ですね。
何といっても、味わいつくせないほど複雑なグルーヴを持つシャッフルのリズム。そしてディープなフィーリング。これは全音楽ジャンルの中でも唯一ブルースだけで味わえるものです。如何にディープなシャッフルを演奏するかをバンドの仲間と研究しています。
牛尾さん:例えばシャッフルは三連符の中抜きと教わりますが、この感じ方ではブルースのシャッフルは演奏できません(参照)。
練習すれば誰でもできると思いますが、多分やる人が少ないため、プロでもちゃんと演奏できる人がほとんどいないので熱いです。アメリカに住んでいることを活かして、本場のミシシッピクラークスデールを訪問して本物を味わったりしています。
牛尾さんのブログより
牛尾さん:演奏していた人の多くが亡くなってしまったジャンルなのですが、最近彗星のようにディープなブルースを演奏するHarrell "Young Rell" Davenportという人が登場してテンションぶちあがりです(参照)。
もし、ディープブルースに興味がわいたならこちらのブログをどうぞ。ディープブルース激アツやで。
Q.趣味が仕事に活かされた瞬間はありますか?
牛尾さん:めっちゃあります。例えば、ギターを上手く演奏できるようになる最大コツは「自分が心地よいと思えるテンポまでスピードを落として演奏する」なのですが、これは、上手く弾けないのに原曲のテンポで練習すると、「へたくそな演奏」を指が覚えてしまうからです。
プログラマが、「理解」に時間をかけるのが結局近道なのと同じこと。急がず、出来ることを一歩一歩広げていくのが結局一番速いということを学んだのもギター演奏からですね。
米マイクロソフト
Azure Functionsプロダクトチーム シニアソフトウェアエンジニア
牛尾 剛さん(@sandayuu)
1971年、大阪府生まれ。米マイクロソフトAzure Functionsプロダクトチーム シニアソフトウェアエンジニア。シアトル在住。関西大学卒業後、日本電気株式会社でITエンジニアをはじめ、その後オブジェクト指向やアジャイル開発に傾倒し、株式会社豆蔵を経由し、独立。アジャイル、DevOpsのコンサルタントとして数多くのコンサルティングや講演を手掛けてきた。2015年、米国マイクロソフトに入社。エバンジェリストとしての活躍を経て、19年より米国本社でAzure Functionsの開発に従事する。ソフトウェア開発の最前線での学びを伝えるnoteが人気を博す。書籍『世界一流エンジニアの思考法』(文藝春秋)は10万部を突破し、ITエンジニア本大賞2025特別賞も受賞
【ハヤカワ五味さん】コスプレ併せで思わぬスキルを発揮
Q.あなたの「趣味」はなんですか?
ハヤカワさん:中学生時代からコスプレをしていて、特に衣装を作るところに熱中しています。最近は3Dプリンタを導入しました。
Q.趣味が仕事に活かされた瞬間はありますか?
ハヤカワさん:20人規模の大型併せ(特定の作品やコンセプトで集まって撮影等すること)をする際に、大人数のマネージメントを真剣に考えることになり、勉強になりました。
趣味で集まっているコスプレイヤーより、仕事で集まっている人たちの方が秩序があってやりやすいです(笑)
ハヤカワ五味さん(@hayakawagomi)
18 歳で起業後、ランジェリーブランド『feast』、フェムテック事業『ILLUMINATE』など、多数の事業を展開。2022年3月にはユーグレナグループにグループインし、はたらく女性向けの新規事業開発に取り組む。24年4月に退職後、大手IT企業に生成AI関連の推進担当として転職。生成AIの利活用に関してSNSでも積極的に発信している
【澤円さん】「共に作り上げる」ことも「効率が重要」なのも、仕事に通じるものがある
Q.あなたの「趣味」はなんですか?
澤さん:昔から割と趣味は多い方でした。スキーは正指導員、空手は三段です。
澤さん:ただ、この二つはコロナを境にちょっとご無沙汰。今でも続けているのは、楽器演奏と料理ですね。
楽器はもともとピアノとエレキギターをやっていたのですが、最近はバンドでベースを弾いてます。料理は、コロナ前まではホームパーティーも時々やっていたのですが、最近はもっぱらかみさんのためだけに作ってます。特に、中華鍋を振るのがマイブームになってます。
Q.趣味が仕事に活かされた瞬間はありますか?
澤さん:バンドは、「一緒に作り上げる」という観点において、チームビルディングそのものでもあります。それぞれの担当領域の仕事をこなしつつも、周囲のメンバーとも協調しないといけないので、そのまんまエンジニアの開発や運用の仕事にも転用できますね。
澤さん:料理は、開発プロセスそのもの。どのような順番で進めれば効率がいいのか、どのようにすればUI(盛り付け)/UX(味)がよくなるのか。まさにエンジニアの仕事そのものと言ってもいいですね。
株式会社圓窓 代表取締役
澤 円(
)
立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、日本マイクロソフトに転職、2020年8月に退職し、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。武蔵野大学専任教員。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。 著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界No.1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」』(プレジデント社)/『「疑う」から始める。これからの時代を生き抜く思考・行動の源泉』(アスコム社)/『「やめる」という選択』(日経BP社) Voicyチャンネル:澤円の深夜の福音ラジオ オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム
【ナル先生】「何でも分解」で学びも深まる
Q.あなたの「趣味」はなんですか?
ナル先生:趣味は「分解」。物心ついた保育園児の頃からおばあちゃんの家の古いテレビやステレオ(オーディオ)を分解していたそうです。
ナル先生:ハードウェアだけでなく、ソフトウェアのリバースエンジニアリング(逆アセンブル)を中学生の時からやっていた。今も買ってきたガジェットはついつい分解してしまう。Apple Vision Proさえバラしてしまいました。
Q.趣味が仕事に活かされた瞬間はありますか?
ナル先生:分解し続けた結果、仕組みに詳しくなり、自分で何か作る上でとても役に立ちました。バグっている箇所を特定するスキルなどが付いたかと。
ナル先生(@GOROman)
ゲーム業界で経験を積んだ後、遊技機業界の企業へ転職。2010年に起業し、2022年に散開。14年、VR業界いに参画してOculus VR Japanを立ち上げる。その後、Facebook(現Meta)にジョイン。23年にハードウェアスタートアップにて執行役員 兼 CTOに就任。現在、無職(アクティブ無職)
【増井 雄一郎さん】カート&DJでリアルタイム性や緊張に強くなる
Q.あなたの趣味は何ですか?
増井さん:趣味はいろいろあるんですが、ここ2年ぐらいで一番ハマっているのがカートです。遊園地とかにある小さい車のあのカートです。
普通は郊外のサーキットとかで、レーシングスーツを着て走る感じなんですが、毎月通ってるINDY KARTさんは、千葉のイオンモール柏の立体駐車場の1フロアの中にミニサーキット的なものがあり、都内からも1時間ぐらいで行けて、頑張れば平日仕事帰りに立ち寄れます。
増井さん:カートはこのINDY KARTでも多分50km/hぐらい出るので、一瞬も気が抜けません。走ること以外を考えると如実にタイムが落ちます。
普段、コードを書くこと以外に集中することない私にとっては、好きなことで強制的に集中を求められるのはいい時間です。そして運転ですが、案外疲れます。慣れないうちは1セット4分で息が切れます。
増井さん:このカートはレンタルなので全員イコールコンディションで戦い、毎月毎月店内100位までランキングが出るのも面白いです。考えて乗った分、タイムにわかりやすく反映されていくのは、コーディングなどでは得られない充実感があります。
2025年8月はギリギリ100位でした。今月はランキング表に乗れるかなぁ……。
増井さん:そしてもう一つ、ぼちぼち長くなってきた趣味にDJがあります。20代の頃からクラブ通いは好きでずっと行っているのですが、2018年にひょんなことからDJを始めて、もう7年を過ぎました。
増井さん:はじめは私が「DJができる」という謎な噂によってBBQイベントのDJを頼まれたのですが、実はその頃はDJなどやったことがありませんでした。イベントの開催日が1カ月後と聞いたので「ちょうどいい機会なので1カ月間練習して出演します」と言って、YouTubeを見て練習して無事デビューしました(笑)
増井さん:これで「案外なんとなるな」と味を占めていろいろなイベントに呼んでもらったり、自分でエンジニア中心のDJイベントを主催したりしました。しかしコロナ禍ではDJの出番もなくなり、一時休止してたのですが、今年からちょっと気合を入れて月1回ぐらいはどこかで回すようにしています。
Q.趣味が仕事に活かされた瞬間はありますか?
増井さん:特にDJの方で言うと、エンジニアの仕事はエラーが出てもゆっくり直せますが、DJはその現場で即断で全てが回ります。そのためにいろいろなお客さんに対応できるための練習や曲のセットリスト作りや、想定していた機材がない場合でもプレイをできるように準備をするなど、前準備が大事です。
普段の仕事では起こらないような、リアルタイム性や緊張を強いられるのは楽しいです。また参加するイベントは勢いで決めてしまいます。そうすると後で必ず準備して出演しなければいけないので、後で面倒くさくなりがちな自分の性格にはあっているようです。
増井さん:これを見ている方にITイベントの主催側の方がいましたら、懇親会やアフターパーティのDJやりますのでご相談ください。マジでお待ちしています。
Product Founder & Engineer
増井 雄一郎さん(
)
「風呂グラマー」の愛称で呼ばれ、『トレタ』や『ミイル』をはじめとしたB2C、B2Bプロダクトの開発、業界著名人へのインタビューや年30回を超える講演、オープンソースへの関わりなど、外部へ向けた発信を積極的に行なっている。「ムダに動いて、面白い事を見つけて、自分で手を動かして、咀嚼して、他人を巻き込んで、新しい物を楽しんでつくる」を信条に日夜模索中。 日米で計4回の起業をした後、2018年10月に独立し'Product Founder'として広くプロダクトの開発に関わる。 19年7月より株式会社Bloom&Co.に所属。現在は、CTOを務める