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「茶道文化残したい」 淵野辺の茶室 解体免れる 講師の熱い思いで存続に

タウンニュース

ビルの3階にある茶室に立つ青山さん

中央区淵野辺にある茶室「春露庵」は約30年前、市内の建設業者によって設置された。オーナーのリクエストに応じ茶道に深い理解を持つ同社の代表が、京都や箱根の茶室を巡った末、ビルの1フロアをまるごと活用して造り上げたものだ。長年茶会の場として親しまれてきたが昨年、オーナーが高齢化にともない「手放したい」と申し出た。

淵野辺で茶道教室を開いていた講師の青山多佳子さんは昨年末に「初釜を行う場所」を探していた。青山さんは春露庵の存在を認識しており、現地を訪ねたが、茶室は使われていない様子だった。

建設主でその後ビルの所有者となった中央区東淵野辺の谷津建設株式会社は青山さんの問い合わせに応じ、見学の機会を設けた。内部には8畳、4畳半、3畳台目の3つの茶室に加え、路地や水屋、台所なども備えられている。「芯去りの柱」「花梨を使った玄関」といった上質な仕様で、本格的な茶の湯が楽しめる施設となっている。青山さんはその見事な造りに感銘を受けた。

ただ、物件はすでに別の事業者が先に契約を進めていた。茶室は解体され、まったく別の用途での利用が検討されていた。この話を知った青山さんは、「お茶は日本文化の象徴であり、この施設を壊してしまうのはあまりにも惜しい」と強く感じ、急いで同社の谷津弘社長に手紙を送り、「どうか私に貸してほしい」と訴えた。

手紙を受け取った谷津社長は青山さんの思いに共感し、彼女を借り手とすることを決断した。こうして春露庵は解体を免れ、この春、青山さんの茶道教室「白珪会」として新たな歩みを始めた。「谷津社長から『お茶のためにこの場所を活用してほしい』と言っていただき、本当に感謝している。伝統的な茶室は、茶道の素晴らしさを伝えるために欠かせない」と青山さんは語る。今後は、若い世代を対象とした体験講座や、高齢者向けのお茶会なども企画し、茶道の魅力を幅広い層に伝えていく予定だ。

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