「manimani bagel」の素材にこだわるベーグルで、身体にやさしい食生活を。
パンやラーメン、パスタなどに使われる小麦は日々の食事にとって欠かせない存在ですが、そんな小麦も取りすぎると身体によくないこともあるんだとか。「manimani bagel(マニマニ ベーグル)」では、自家製酵母の米粉を使ったベーグルを製造・販売しています。素材にこだわったベーグルには、作り手である星野さんの食への思いが込められているんです。ベーグルづくりをはじめたきっかけや、食に対する思いなど、三条市にある工房でお話を聞いてきました。
manimani bagel
星野 智美 Tomomi Hoshino
1994年燕市出身。管理栄養士の養成校を卒業したのち、病院で管理栄養士として働く。現在はフリーランスの管理栄養士として保健指導や食育指導の活動も行っている。
健康な人に向けて、手軽にはじめられる食の発信を。
――星野さんは管理栄養士として働かれているんですね。
星野さん:もともとは病院で管理栄養士として、患者さんへの栄養指導を行っていました。病院では食事も治療の一環として行われているんですよ。
――フリーランスになってからベーグルの販売をはじめたとのことですが、どんなきっかけがあったのでしょうか。
星野さん:病気になった人への栄養指導ではなくて、健康な人に対して一次予防になるような食の発信がしたいという気持ちがあったんです。フリーランスで働きながら、半年間準備をしてベーグルの販売をはじめました。
――病院での栄養指導とは違う観点から、食の発信をしようと思ったのですね。
星野さん:病院で働いていたときは、小麦のパンを普通に作っていたんです。友達と「将来パン屋さんをやりたいね」なんて冗談で言っていたぐらいで。ただ、食の知識を深めていくなかで、米粉を使って何か作れないかな、と思いはじめたんです。
――どうして小麦ではなく、米粉でベーグルを作ることにされたのでしょうか。
星野さん:米粉なら、小麦や卵のアレルギーを持っている人の選択肢も増えるかなと思ったんです。健康に気遣う面でもグルテンをなるべく含まない、身体にやさしいベーグルを作りたいと思いました。乳製品も、種類によって使うことはあるんですけど、基本的にバターやマーガリンは使っていないんですよ。他の材料にも添加物を使わず、なるべく動物性脂肪も入れないように意識してベーグルを作っています。
――そこまで気にしてもらえるのはありがたいですね。
星野さん:普段、外食をするときはぜんぜん気にしないんです。でも、日常で食べる食品って動物性脂肪が入っているものがあふれているんですよね。そのなかで「manimani bagel」のベーグルが、美味しくて身体にやさしい食べものを食べるきっかけになればいいなと思います。
イチから作った、シンプルで美味しい米粉のベーグル。
――ベーグルのこだわりはどんなところにあるのでしょうか。
星野さん:米粉と自然栽培された玄米粉をブレンドしています。ブレンドすることで、生地の味に深みがでて美味しくなるんですよ。
――米粉の持つモチモチな食感に加えて、生地の美味しさにもこだわっているんですね。
星野さん:実は発酵の過程でも、市販のイーストではなく自家製の酒種酵母を使っているんです。味はもちろん、無添加にこだわっているのもあって、自分で酵母をおこしています。
――酵母まで手作りなんですね。
星野さん: 世に出回っているベーグルのレシピって、小麦やドライイーストを使うものが多くて。自分でイチから作ることにしました。半年間の準備期間に何度も試作して、まずはどうやったら膨らむか、酵母の種類や発酵時間の条件を変えて、試行錯誤を繰り返していました。
――それは苦労がたくさんあったでしょうね……。
星野さん:研究者みたいなことをずっとしていましたね。でもそれがすごく合っていると感じたんです。今自分がしている管理栄養士の仕事が、行き詰まったときの息抜きになっているとも思っています。
――今は何種類のベーグルを作っているのでしょうか?
星野さん:季節問わず作れるものが10種類くらいあります。それに加えて、季節の食材を使ったものを数種類用意できるようにしています。常に新しいものを作るように心がけていますね。
――人気のベーグルを教えてください。
星野さん:「バジルオリーブ」が一番人気ですね。姉のリクエストで作ってみたんです。オーガニックのバジルを一緒に使っているんですけど、すごく香りが良くてオリーブとの相性も抜群なんです。冬から春にかけて作っている、「ココナッツオレンジ」も個人的にはすごくおすすめしています。
――飽きない品揃えになっているんですね。おすすめの食べ方を教えてください。
星野さん:うちのベーグルは何もつけなくても甘いので、そのまま食べてもらうことが多いです。プレーンはごはんとして、おかずと一緒に食べてもらうのもおすすめですね。
身体にやさしいベーグルが、日常のごはんの選択肢に。
――ずっと気になっていたのですが、「manimani bagel」という名前は……?
星野さん:西加奈子さんの「まにまに」っていうエッセイがあるんです。開業前にこのエッセイを読んだんですけど、すごくいいエッセイで。何かをするとき、この言葉を使おうって思っていたんです。
――エッセイからの言葉だったんですね。
星野さん:「manimani」は漢字で「随に」って書くんです。これには「流れのままに」っていう意味が込められているんですよ。フリーランスになったことで、自由を手に入れた半面、焦りやプレッシャーもあって。そういうのに流されずに自分らしく活動が続けられますようにという願いを込めて、この名前にしました。
――星野さんがベーグルづくりで大切にしていることを教えてください。
星野さん:ひとつひとつ丁寧に作るっていうのは毎回思っているんです。そのなかで、うちのベーグルが特別じゃなくて日常になるといいなって思いながら作っています。毎日の食パンの代わりになるような、朝ごはんの選択肢のひとつになるような存在になるのが理想ですね。
――ネットでも買えたりしますか?
星野さん:月に2、3回は通販で販売をしています。今はイベントで買ってもらうことが多いんですけど、今後は通販をメインに販売したいと思っているんです。県内外問わず、小麦を控えている人や、アレルギーの人に届けられたらと思っています。
――星野さんの今後の目標を教えてください。
星野さん:料理教室や子ども食堂を通して、食を発信していけたらいいなと思っています。はじめから食育を目的にして参加していなくても、そこから食の大切さに気を付けたり、ちょっとした意識が広がっていけば嬉しいですね。
マニマニベーグル