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【福岡のロースタリー巡り】思いは17年変わらない。でも日々は変化の連続。コーヒーに表れるロースターの“今”(福岡市・平尾)

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MANLY COFFEE コンセプト

料理や菓子など人が作るものには、その人となりが出るもので、それはコーヒーも同じだと私は考えています。自宅で飲むコーヒー豆を選ぶ際、「そのお店の方の人柄も好きだから」という理由もあって店選びをしている人もきっと多いはず。コーヒー屋さんの場合、その選び方は意外と正解だったりします。
そういう意味で、多くの人に出会ってほしいと思うロースターがいます。それが「MANLY COFFEE」の須永紀子さんです。

オーナーロースターの須永紀子さん

須永さんはエアロプレスを日本に普及させる活動に取り組んできたり、福岡のコーヒーカルチャーをより成熟させるために勉強会を企画したり、とにかくアグレッシブで、バイタリティにあふれている人。ここ20年ほどの福岡のコーヒーシーンを語る上で、なくてはならない人でしょう。でも、そんなことを知らずに会ってみると、本当に“気さくで頼りになるお姉さん”という雰囲気で、話しているだけで不思議と元気がもらえます。

エアロプレスで淹れたコーヒーはマウスフィールが良好。特に浅煎りのコーヒーの抽出に適している

須永さんが「MANLY COFFEE」を開いたのは2008年。小笹の古アパートの一室で開業したのが始まりです。すでにそのとき、お子さんもいて、家庭と仕事を両立させている“スーパーな人”というイメージを、私は勝手に抱いていました。
ただ、須永さんは「そんなことは一切なくて、両立できていたなんて口が裂けても言えませんよ。家の中はめちゃくちゃ、子育ても完璧とはかけ離れていましたし、主人の手を借りながら、“やっとこさ…!”という感じ。何度もくじけていますし、諦め、手放したモノ・コトもたくさんあります」と、この十数年のことを笑いながら振り返ります。
「今は子どもも大きくなって、かつ主人のサポートをさらに受けられる環境となり、昔と比べたらめちゃくちゃ楽になりましたね!」とさらに笑顔を輝かせます。

屋号はオーストラリアのマンリーという街が由来

こういう風に包み隠さず、自然体な人柄が素敵なのですが、それにプラスして常になにかしらの目標を持ち、しっかり行動に移すポジティブな姿勢にも元気がもらえます。
ここ最近、「MANLY COFFEE」のYouTube公式チャンネルにて「すながのりこのあつあつトーク」を展開中。焙煎だったり、抽出だったり、コーヒーに関わることをテーマにされている動画ももちろんありますが、ほとんどが何気ない日常のことだったりするのが、須永さんらしさ。発信するということは、誰かに何かを届けたいという気持ちはあるはずなのですが、全編通じて力まない感じで、見ていると不思議とほっこりした気分に。型にはまらず、何事も自分らしくありたいものだと感じます。

店は緑に囲まれ、その雰囲気にも癒される

そんなまっすぐで、裏表がない須永さんは、コーヒーに対していつも真剣。おいしさを追求するために2022年春には念願だったローリング社の焙煎機・スマートロースターを導入。それ以前は半熱風式の焙煎機でしたがスマートロースターは完全熱風式で、「一番のメリットは、やっぱり理想的なクリーンカップを表現できるようになったこと」と話します。
スマートロースターの強みを活かし、ここ最近は高品質で高単価な、いわゆるマイクロロット、コンペティションロットと呼ばれる希少な生豆の取り扱いにも力を入れ始めたそう。100グラム7000〜10000円など普通に考えると非常に高価なコーヒーですが、「その価格分のコーヒー体験は味わっていただけると思う」と力を込める須永さん。実際、海外からそういった希少な豆を狙って来店するコーヒーラバー、ECサイトからその銘柄だけを買うというファンもいるそうです。

スマートロースターの15キロサイズ

ここ最近、非常に高単価なコーヒーを取り扱う店は増えてきて、新しい出会いや発見といったおもしろさがある一方、ちょっと高価過ぎて手が出しづらいという感想を抱くこともあります。個人的には「MANLY COFFEE」はそういった豆はあまりないイメージを持っていたので、取り扱い始めた理由を単刀直入に聞いてみました。
「以前、そういった生豆に対して私自身がやや懐疑的でした。なんとなくアパレルのハイブランドのようなイメージを抱いていて。ただ、去年JBC(ジャパンバリスタチャンピオンシップ)に出場しようと思い、そういったコンペティション用の生豆に触れる機会を増やしました。実際に焙煎し飲み、生産者の方々のお話も知ると、価格が高い理由はやっぱりあるんだと実感。そして、同時にその味わいに感動し、自分の価値観だけで判断せず、実際に触れ・体験することがとても大切だと改めて感じました。そういった体験を経て、お店でもお客さまに『特別なコーヒーも体験していただきたい』と思うようになりました」と須永さん。つまり、飲むという体験だけでその価値を伝えるということ。これは「MANLY COFFEE」の強い覚悟、強い意志でしょう。

写真はエクアドル プトゥシオ農園 ティピカメホラド(50グラム4500円)

もちろん高単価の商品なので利益額が高いといった商売的な観点もあるわけで、持続可能なコーヒーショップを営んでいくには、そういった感覚は当然必要。それを嫌な感じなく、ナチュラルに、軽やかに実行できるのは、須永さんの人柄あってこそだと強く感じます。

コーヒー豆を200グラム以上もしくは2000円以上購入で、ドリンクサービスも行っている

一方で、200グラム1800円といったデイリーユースの豆も当然用意していますし、マイクロロットとデイリーユースの中間、100グラム1800円程度の価格帯の豆もラインナップ。常時7〜10種程度のシングルオリジンを準備しており、さまざまなシーンで重宝するはずです。

焙煎度合いは浅煎りをメインに、中煎り、中深煎り程度まである

店の普遍のコンセプトでもある「COFFEE IS BEAUTIFUL,LIFE IS BEAUTIFUL.」を須永さんという人を通してぜひ感じてみてください。

MANLY COFFEE
福岡市中央区平尾2-14-21

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