市発注の下水道工事 局地的大雨への対策強化 事故を受けルール改定
相模原市内の下水道工事中に豪雨で作業員が流された昨年の事故を受け、市は4月1日、公共工事を受注した業者が守るべきルールなどを定めた「土木工事共通特記仕様書」を改定した。局地的な大雨による災害が激甚化する中、人命を守るためのさまざまな工夫が盛り込まれた。
事故は昨年9月、市が発注した公共下水道管きょの耐震化工事中に発生したもので、大雨に伴う管きょ内の急激な水位上昇により2人の作業員が流され死亡した。
市はこの事故を受け、学識経験者らで構成される安全対策検討委員会を昨年10月に設置。事故経緯と対策案をまとめた報告書を12月末に公表していた。
今回改定された「共通特記仕様書」は工事中の具体的なケースにおけるルールなどをまとめたもの。これまでの議論を踏まえ、局地的大雨への安全対策に関する記述などが拡充された。
これまで業者に設定を委ねていた局地的大雨時の作業中止基準を定めたほか、迅速な避難を行うために業者が気象状況を監視するべき範囲「警戒区域」を新たに設定した。作業箇所から原則半径10Kmの範囲内の降雨状況などに警戒することを求めている。
気象情報をリアルタイムで自動配信する民間気象会社によるサービスの活用や、上流部などに雨量計を設置して降雨情報を収集する体制の整備なども盛り込んだ。
市内の建設業関係者は「これは自分たちの命を守ること。何よりも人命が大事なので対策を進めていく」と話している。