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100年超のパワースポット? 小川石材の「タヌキ像」をたずねてみた【北九州市門司区】

北九州ノコト

(アイキャッチ画像:「小川石材」のタヌキの石像)

北九州市門司区の門司港レトロ地区からさらに和布刈(めかり)方面へ歩いた先、沿道にある老舗の石材店「小川石材」で、入り口にある「タヌキの石像」が目に留まりました。

筆者と歩いていた友人は、ふと「このタヌキの石像、生まれたときからあった気がする。だったら50年くらいは経っているんじゃない?」と言います。

その一言に興味が湧き、「小川石材」に話を聞いてみました。

創業100年を超える歴史 店の象徴「タヌキ像」

取材に応じてくれたのは、同店の4代目会長・小川雄二さん。店先に凛々しく立つ「タヌキの石像」(以下「タヌキ像」)は、100年以上前に制作されたものとのこと。

タヌキ像を制作したのは、小川さんの祖父である2代目・小川与源次さん。門司港が活気づきはじめた明治時代ごろに岡山県から現在の地に移り住み、石材店を創業したそうです。

雄二さんは、「私は親父が50歳の時の子なので、その父となると、100年は越えています」と話します。そして、このタヌキ像の置き場は店の前だったり、少し離れた位置だったりと移動してきたものの、長い間、こうして店の前に居るとのこと。

店の看板的存在でもあり、その通りを見つめる眼差しは、まるで街を見守っているようにみえます。また、ポコンと突き出たお腹も味があります。

「100年超」ということは、当然その間に激しい戦火にも遭い、現在に至っています。だからか、現在の凛々しい佇まいには、力強さと頼もしさが感じられ、そのパワースポットのような姿に自然と敬意が湧き、手を合わせたくなりました。

雄二さんは、「門司の小学生が和布刈に遠足に行くときは、みな必ずタヌキのおなかを叩いて行きましたよ」とも語ります。“ポンポン”と叩きながら歩く児童の姿が目に浮かび、ほっこりした気分になりました。

下関にもう一体の「布袋様」が存在する?

雄二さんによれば、2代目・与源次さんがタヌキ像を制作した時期に、もう一体「布袋様」を制作。タヌキ像とセットで一緒に制作したものなのかは不明ですが、タヌキ像と対で店頭に置いていたとか。

当時、通りがかりのある店の大将が布袋様を気に入り、何度も足を運んだ末に譲り受け、自身の店に置いたそうです。その店は、山口県下関市のみもすそ川町にある料亭と聞き、急遽そちらも訪ねてみることにしました。

関門トンネル人道を利用して下関へ

小川石材からさらに和布刈方面へ行き、関門トンネル人道を利用。自転車は有料ですが、徒歩は無料です。

全国で5ケ所ある海底トンネルで、トンネルの中に県境があるのは唯一、ここ関門トンネルのみ。無料で海を渡って隣の県に行けるなんて、まるで旅行気分です。

そして、トンネルで県境を越えた先に、雄二さんから聞いていた「みもすそ川 別館」の看板を見つけました。

中に入ってみると、広い駐車場を囲むように店が並んでいます。

布袋様の対面を期待しながら探していると、「OTO」と表記された看板がありました。

「OTO」は「音」の意味らしく、素敵な雰囲気のカフェでしたが、布袋様は見当たりません。

料亭のエントランスで「布袋様」を発見

さらに見渡してみると、料亭のエントランスがありました。筆者は、「ここに布袋様がいるのでしょうか?会えるのでしょうか?」と心配しながら、さらに進んでみました。

そこでやっと、布袋様を発見

2代目・与源次さんが心を込めて制作した石像は、どちらもユーモラスな表情でした。

2つの石像に繋がるおもてなし

100年以上前、近い時期に制作されたといわれる2つの石像が、こうして県をまたいでもなお、時を越え各々の店でお客様を迎えています。そのように考えると、なんだかロマンチックではないですか?

余談ですが、小川石材の看板に描かれたタヌキのイラストも、石像同様に愛くるしい表情でした。

<有限会社小川石材>
■住所/門司区旧門司1丁目7‐21
■電話/093-321-6048

※2025年6月14日現在の情報です

(ライター・しまだじゅんこ)

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