浅野慶太さん(湯河原町) 木象嵌で日本酒ラベル 富士正酒造「干支」シリーズ
さまざまな樹種の色や木目を生かして図柄を表現する「箱根木象嵌(もくぞうがん)」。
湯河原町に工房を構える浅野慶太さん(51)は、静岡県富士宮市にある富士正酒造の依頼で「干支」をモチーフにした日本酒ラベルを作っている。干支ラベルの日本酒はお歳暮や新年用に販売される限定商品だ。
4年目となる今年は、白蛇が富士山に巻き付いているデザイン。浅野さんは、「蛇に巻き付かれる夢を見た際、不快に感じなければ吉兆の前触れともいわれています」と意図を説明。また富士山には日本全体に良いことがあるようにとの願いも込められているという。
日本で5人目の認定技能士
子どものころからものづくりが好きだったという浅野さん。関東学院大学に在学中、小田原駅から荻窪のキャンパス(当時)への途中にある寄木細工や木象嵌を扱う「クラフトえいと」で箱根木象嵌に出会った。
20代半ばに県工芸技術所で木象嵌の基礎を学び都内の内装会社に勤務。6年前に独立し「木象嵌Atelierk」を設立、2021年には現在の日本で5人目という厚生労働省認定「木象嵌技能士」となった。
日本画や浮世絵などをモチーフにした伝統的な作品のほか、モダンな作品も生み出している。木口材の年輪を幾何学的に組み合わせた「木象嵌細胞分裂(サクラ)」は、昨年の「小田原・箱根木工-1グランプリ」で奨励賞を受賞した。