「ルール無視でやってます」アメリカのイラン攻撃どうなる?大竹まことが政治学者に聞く
お笑い芸人の大竹まことが同世代や全世代の男女に向けてお送りしているラジオ番組『大竹まことゴールデンラジオ』(文化放送・毎週月〜金曜13:00~15:30) 6月23日の放送は、日本経済新聞出版から発売された『トランプがもたらす新世界 変容するグローバル秩序』の共著者である上智大学教授で政治学者の前嶋和弘氏を招いて話を伺った。
大竹「もちろん『トランプがもたらす新世界』のお話も伺いたいんですが、その前に今日はいろんなことを伺います。まず、ご存知の通りですけどもイランがイスラエルを攻撃して、それを見たアメリカがイランを爆撃しています。どうなっていくんでしょう?アメリカはイランにバンカーバスターというとんでもない爆弾を、今日のニュースでは14発も使ったと伝えられています」
前嶋「今日という沖縄の『慰霊の日』にね。我々にとってみれば、これ以上無い皮肉な気がします。簡単に言うと、たぶん、アメリカが勝ち馬に乗ったんですね。イスラエルとイランは長年仲が悪くて、イランに対してイスラエルが様々な攻撃をして、ちょうどイランの空が、制空権が開いちゃったわけですね。イスラエルがどんどんやっつけていったけど、まだウランを濃縮する施設が、どうも地下の90m、80mぐらいにあると。そこをやっつけるにはイスラエルの能力じゃダメだから、アメリカが持ってるバンカーバスターという爆弾が必要で、爆弾だけイスラエルに貸せばいいような気もするんですが、持って行くにはかなり重いのでアメリカにやってくれとイスラエル側から要請があって。2週間待つよと言っていたのに2週間待たずに」
大竹「そうですね」
前嶋「よく聞いてみると、最大2週間で2日後にやってるわけです。で、そのバンカーバスターで核濃縮施設を攻撃したと。それで本当にそこをやっつけたかどうかわからない。というのも、バンカーバスターは70m、60mはいけるけど、その下はわからない。あと、イラン側の説明だと、それを予測して様々なものを取り出しているから、実は核の濃縮は可能ですみたいなことを言っている。
いずれにしても、こういう問題が一気に流動化したと。簡単に言うと、アメリカは全然国内的にも議論してなくて、国際的にも全然議論してないんですよね。例えば、2003年の3月にはイラクの方の戦争があった。あの時は、サダム・フセインという当時のリーダーが大量破壊兵器を作ってると、とりあえず国内に説明して。そして国内では議会から決議案が出て。で、国際的には国連に行って説明して。怪しいけど、これがそうですと、当時のパウエル国務長官が説明したんだけど、今回は説明も全くなく、もうルール無視でやってますよね」
大竹「承認も取れてない」
前嶋「だから、あるところで聞かれたんですが、アメリカはこれで世界の警察官に戻るんですか?と。いやいや、警察っていうのはルールがないとできなくて、ルールを自分で破っているのは警察じゃありません、と言ったんです」
大竹「でも、イスラエルの要請を、アメリカはそこまで受ける?」
前嶋「我々が考える以上に、イスラエルはアメリカと近いのが一点。もう一つ、トランプ大統領って過去のアメリカ大統領の中で最もイスラエルに近い人なんです。これは理由があって、トランプ大統領の支持層って、私たちはどうしても、他の国の戦争なんかも放っておけばいいと思っているアメリカ第一主義の人たちを頭に置くと思うんですが、それ以外が結構多いんですよね。これは国民の1/4ぐらいのキリスト教の福音派で、聖書を一字一句信じていて。旧約聖書には、神はユダヤ人にパレスチナの地を与えたと書いてあって、新約聖書はそこでハルマゲドンが起こってイエスが再臨したとある。すみませんが、キリスト教の学校で教えている者として、これはフィクションですと言っちゃいけないんだけどフィクションだと思うんですが、彼らは嘘だと思わずリアルだと思っている」
大竹「信じているのね」
前嶋「信じてるから、徹底してイスラエル支援なんですね。だから、福音派は国民の1/4いて、投票率6割としても8割5分くらいトランプに入れてるんですね。そうすると、トランプに去年入れた人の半分以上が福音派。だから、もうイスラエルっていうのは徹底してトランプにとって一番重要なところ。これが本音でありますよね。だからあとは、イランはそもそもアメリカにとって敵対的だとか思ってる人たちと一緒になって、「やれ!やれ!」になってますよね」