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危険なブロック塀。発砲スチロールにしたら、軽くて丈夫に

TBSラジオ

昨日も、台湾で大きな地震がありましたが、地震で心配なのが「ブロック塀」の倒壊です。

1月の能登半島地震では、地震の片付けにあたっていた男性がブロック塀に挟まれて亡くなるという事故もあったようですが、地震から3ヶ月経った今も、現地では崩れた塀の撤去作業に追われているようです。

能登半島地震でも多発 「ブロック塀」の倒壊

震度5強を観測した、富山県高岡市の環境政策課、室谷 智さんに伺いました。

富山県高岡市 環境政策課 室谷 智さん
高岡市の方では、「ブロック塀」と「灯篭」の無料回収というのをやっていて、それが既に1300件、現在申請があるところです。想像してたよりも多いです。

昔からある家で積んであるものがコロンと落ちて道の方に転がり出たり、自分で処分できないという声が多かったので、処分が少しでも早く進むよう、対応致しました。

機械とかも限られているので、だいぶ待っていただいとんがです。

順次、道に出ているものとかそういうものからやっていて、庭の方の困難なものが残ってるので、ちょっと今の段階では、まだ目途が立ってないけれど、できれば、夏前には終わりたいと思っている。

富岡市は一軒家が多く、崩れたり、ひび割れたりしたブロック塀が多数あったそうです。

無料回収は予約がいっぱいですぐには作業にあたれないので、待てない人は、撤去にかかる費用を上限2万円まで補助する制度も活用してほしいと話していました。

でも、このような危険なブロック塀は、全国にたくさん残っています。

今回、倒壊したものの多くは古いブロック塀。現在の「建築基準法」では、安全基準が決まっていて、

塀の高さが、地盤から2・2メートル以下であることコンクリートの基礎があること塀の内部に鉄筋を入れること

など、いくつかの条件を満たさなければ、新たに作ることはできません。

一方で、今回崩れたものの多くは、昔の基準で作られたブロック塀。2019年に、古いものも耐震検査することが義務化されたようですが、自治体の裁量に委ねられているのが現状。つまり「自治体任せ」になっていて、各地、耐震性の低いブロック塀が事実上、放置されています。

「発泡スチロール」製の塀

そうした中で、極限まで重さを軽くして安全にした新たな「塀」の開発が進んでいました。建材メーカー「ライノジャパン」の緒方 修一さんのお話。

建材メーカー「ライノジャパン」代表取締役 緒方 修一さん
見た目はですね、ブロック塀のような塀なんですけれども、中身が「発泡スチロール」という塀になります。

実際は発泡スチロールって軽いですよね。で脆い。これに我々の「特殊な樹脂」を吹き付けるだけで、従来のブロック塀よりも非常に強くなる。で軽いと。これを開発させていただきました。

通常1~2メートルだと、ブロック塀だと130~140キロぐらいございますが、同じ大きさで6キロぐらいで収まります。

倒れてきても挟まれても大丈夫。6キロですのでね、下に挟まれたとしても、簡単に跳ねのけることができる。

発泡スチロールでできた塀「ポリウレアシールドウォール」を開発。こちらは、一般的な発泡スチロールに「ポリウレア」という特殊な樹脂を吹き付けることで、頑丈にしています。

<「ポリウレアシールドウォール」のサンプル。中身は一般的な発泡スチロールですが、特殊な塗装を施すことで、カチカチに強くなります>

<厚みを増し、ブロック塀の形にしたのがこちら。重さはわずか6キログラムなので、簡単に持ち上がりました>

<こちらは室内ですが、地面との接地面をコンクリートで固めて、サイドの窪みなどに鉄筋を差し込むことで、倒れにくくします>

でも、塀そのものが軽いので飛んでいってしまいそうですが、下をコンクリートで固め、さらに縦と横の一部に鉄筋を通すことで、寄りかかっても倒れない強い壁になるそうです。

気になる費用は、ブロック塀に比べて10%ほど割高。従来のブロック塀は、横1メートル×高さ2メートルの壁一枚で、人件費を含めて、約3万2~3000円。一方で、発泡スチロール製のポリウレア・シールドウォールは、一枚3万9800円。

すでに完成したものを持って行き設置するだけなので、工期はこれまで1ヶ月かかっていたものが、1週間以内に短縮できます。

<塗装を工夫することで、風合いを変えられます>

でも、ブロック塀の入れ替えは個人の判断

去年9月から本格的に販売を始めたばかり。こうした安全な塀に入れ替えが進んでいってほしいなと思いますが、一方で、古くて危険なブロック塀の入れ替えは、持ち主の判断に委ねられているのが実情です。

富山県・高岡市の室谷さんに聞きました。

富山県高岡市 環境政策課 室谷 智さん
家と合わせて建てるときには、ちゃんと「建築基準法に沿ったブロック塀になってるか?」って申請で確認あるんですけど、リフォームとか後で付けるときに、ブロックだけを建てるときには法律は守らないといけないですけど、申請とかは必要ない。

後付けのブロックとかも多数あって、数の把握はできない。

やっぱお金もかかったりするので倒れたやつは処分するでしょうけど、残ったやつは、全部壊してまでやられるか(入れ替えるか)どうかは、その人次第かな。

自治体によっては、「撤去」には補助が出るけれど「設置」は自費というところも少なくないようで、結局、持ち主がお金を出して解体・新設置するケースが多いそうです。

いつ地震が起きても、おかしくない状況。全国に、まだまだ古いブロック塀がたくさんある中で、行政も本腰を入れて、対応して欲しいと思いました。

※また、古いブロック塀が残っている以上、大きな揺れを感じたら危ないので離れましょう。

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