総合指針2028 パブコメは反映されたか 市民団体が検証
藤沢市では現在、行政運営の最上位に位置づける「(仮称)藤沢市市政運営の総合指針2028」の策定を進めている。おおむね20年先を見据えた基本方針と直近4年間に実施する重点方針などで構成する「指針2024」の改定版となる。昨秋から2度実施された市民から意見を聞くパブリックコメントで、157件の声を提出した市民団体「#5年後も本当に住みやすい街大賞1位とるぞ藤沢プロジェクト」の代表を務める藤法淑子さん(長後在住)にパブコメの内容が反映されたか、素案を見てもらった。
従来の総合計画は、右肩上がりの経済成長や人口増加を前提に事業を位置づける体系をとっていたが、今の社会経済状況に合致させることが困難になった。そこで市はこれまでの総合計画に替え、長期的な視点を踏まえた喫緊の重要課題に対応する計画として、13年度に指針2016を策定。その後は16年度に2020、20年度に2024と続き、4回目の見直し改定となる。
指針は大きく3層に分かれている。20年先を見据えた目指す未来像などを示す「基本方針」、5つのまちづくりテーマを中心とする「重点方針」を本編に、重点方針を実現するための具体的な「重点事業」を別冊に盛り込んだ。対象期間は28年度までの3年間。指針2028の副題には「郷土愛あふれる藤沢をめざして」を掲げた。
同じ方向を歩く
「ここに書いてありました」と下線が引かれた箇所を指さす藤法さん。脱炭素化や気候変動対策の推進を求めて活動するチームを結成し、指針改定の前には「藤沢のミライどんな街にしたい?」をテーマに困り事をラップにするワークショップを開いた。参加者が歌う姿を動画に収録。鈴木恒夫市長に視聴してもらうなど環境保全にまつわる取り組みを進めてきた。
素案の基本方針【まちづくりコンセプト1】には「気候変動の危機的状況を、市民、事業者、行政などあらゆる主体が広く情報共有して、協働して気候変動対策に取り組みます」とあるほか、【基本目標3・7】の2045年の藤沢の姿として「廃棄物の減量化」「気候変動に対応」「省エネルギー性能の向上と併せて再生可能エネルギーの活用を推進する」の文言が記された。
藤法さんは2024指針策定時にも仲間内にパブコメを呼び掛けたが「うまくいかなかった」と振り返り、リベンジを誓った。その結果、総数は前回の94件に対し、今回は195件に及んだ。「私たちも市側も同じ方向を歩いているというメッセージ。今後は指針に載っていると言えるので活動もしやすい」と喜びの声を上げる。市企画政策課は「策定にあたり多くの市民から意見を取り入れられるのは大事。まちづくりに関心を持つ人が増えるのはありがたい」とコメントした。
指針は2月市議会に議案として上程され、17日に基本方針まで可決された。市は今後、予算委員会で重点事業などの議決をとり、3月末までに策定。4月1日からの施行を目指している。