フレッシュな果実味にこだわる自家焙煎コーヒーショップ【4TUNE COFFEE】富山市八尾のどかな田園風景に広がる深い香りと味わい
朝の1杯に。ほっとひと息つきたいときに。デスクワークのお供に。
…生活のさまざまなシーンで欠かせないという人も多いコーヒー。
最近では世界各地から生の豆を仕入れて自家焙煎する店や、産地や農園にこだわったスペシャルティコーヒーの専門店も増え、気軽においしいコーヒーを味わえるようになりました。
富山市八尾町、田園風景が広がるのどかな場所にあるコーヒーショップ「4TUNE COFFEE(フォーチュンコーヒー)」も、そのひとつ。
ちょっと変わった経歴を持つ店主による、こだわりの自家焙煎コーヒーを味わえます。
上の写真の向かって右側が「4TUNE COFFEE」です。
元は農家の納屋だった建物を改装し、広い駐車場のほか、店の前にはサイクルスタンドもあります。
ちなみに、左隣の建物は農家の母屋を改装した「ヒミツキチ」というお菓子屋さんです。
▽「ヒミツキチ」については関連リンクから▽
納屋を改装した落ち着くコーヒーショップ
自家焙煎した世界中の豆を自分好みにセレクト
納屋の構造を活かした店内は、あたたかみある木と硬いコンクリートの質感が面白い、大人っぽい落ち着く空間。
天井の大きな梁やすりガラスの引き戸など、昔ながらの農家の面影を感じる要素も残しつつ、洗練されたインテリアです。
扱うコーヒーはすべて自家焙煎。
店主の谷口収さんが厳選した世界各国の豆が常時7種類ほど、それと月替わりのブレンドをラインナップしています。
カウンターには酸味や苦みのチャート図もあって、豆の種類に詳しくない人でも自分の好みに合わせてコーヒーを選べます。迷ってしまう場合は、「酸味強めが好き」「しっかりコクを感じるものを」など、谷口さんに相談するとオススメを教えてもらえますよ。
それでも決められない場合は、3種類を飲み比べできるセットもあります。
今回は「酸味があってフルーティーなものがいい」とリクエストして、ルワンダの豆をオススメしてもらいました。
ルワンダ ムゴンブワ ファンキーナチュラル 600円
プリン 330円
爽やかな香りを感じながらひと口含むと、果実を思わせるフレッシュな風味が広がります。
土くささやイヤな苦みはなく、スッキリとした後味。やさしい酸味で、スーッと体に染み込むよう…これはおいしいコーヒーです!
「コーヒーって、農産物なんです。鮮度が大切」と谷口さん。
焙煎からの経過時間はもちろん、焙煎前の生豆の状態でも、新しい豆ほどフレッシュな果実味や酸味、豆本来のポテンシャルを感じられるんだそう。「お米だって、新米の方がおいしいですよね」(谷口さん)
だから4TUNE COFFEEでは、豆は少量ずつ仕入れて焙煎していて、季節によってラインナップも変わるそう。
そんな自慢のコーヒーと一緒に、焼き菓子やプリンなどのお菓子も食べられます。これらの菓子は、お隣の「ヒミツキチ」のもの。
「ヒミツキチ」には生クリームやチョコレートを使ったかわいいお菓子も並びますが、4TUNE COFFEEにラインナップするのはコーヒーの風味を引き立てるシンプルなものだけをセレクト。メインで味わってほしいのは、あくまでコーヒーなんです。
また、豆の販売もしています。
店で飲めるコーヒーは、すべて豆でも買えるそう。飲んでみて気に入った味を見つけたら、家で楽しむのもよさそうです。
お湯を注ぐだけの手軽なドリップバッグもあり、希望を伝えれば好きな豆で作ってもらえます。
サイパンで暮らした30年の中で…
フレッシュな風味を求めて自家焙煎にこだわり
自宅で焙煎を試してみたい!という人には、焙煎前の白い生豆も販売しています。
店主の谷口さんがそこまで自家焙煎にこだわる理由は、過去にサイパンで30年間暮らした経験から。
昔からコーヒーが好きだったという谷口さんは、高校生のころ、富山市中央通りにあった喫茶店に足しげく通っていたそうです。その後、進学を機に富山を離れ、東京で就職。20代でサイパンに赴任し、10年間現地に駐在したのですが、ここで人生の転機が訪れます。
サイパンの気候・風土が肌に馴染み、会社を辞めて20年ほど現地で飲食店を経営していたんだそう。
「海しかないんですけどね。自然がいっぱいで、あたたかくて、住みやすいんです」(谷口さん)
しかし、ひとつ問題がーー。
実はサイパンは、コーヒーを楽しむ習慣が薄い土地だったのです。
コーヒーを飲むにはミルクや砂糖をドバッと入れるのが当たり前。豆本来の風味を楽しむ…なんて文化はなく、だったら自分で本格的なコーヒーショップを開こうかと思っても地元の人には到底受け入れられそうにありません。
さらに、個人的にコーヒーを楽しもうとしても、アメリカ本国から豆を輸入すると、焙煎から2週間も経ったものが手元に届き……、フレッシュな味わいは完全に失われていました。
そんな環境の中で、自家焙煎に目覚めたという谷口さん。
生豆を輸入し、自宅で焙煎。知識やスキルをコツコツ積み上げました。
その後、新型コロナウイルスの流行をきっかけに帰国。2021年、以前からの夢だったコーヒーショップを地元の八尾にオープンしたのです。
好きなコーヒーを仕事に、毎日が楽しいと語る谷口さん。
ツーリングの途中に立ち寄る客と趣味のバイクの話をしたり、常連さんと気軽に挨拶を交わしたり。まさに夢がかなって充実の日々です。
目下の悩みは、月替わりのブレンドコーヒー。
手元にある豆を組み合わせてその時々で最高の味を作り出していますが、これが意外と大変。月の中頃になると「来月はどうしよう…」と頭を悩ませ、朝起きた時から豆の分量や配合を考えているんだとか。
谷口さんの試行と努力の結晶のブレンドコーヒー、店を訪れた際にはぜひ味わってみてください。
店舗情報
【4TUNE COFFEE(フォーチュンコーヒー)】
住 所 富山市八尾町杉田603
営 業 10:00~17:00
定休日 木曜、毎月最終水曜
駐車場 あり
記事編集:nan-nan編集部