「ジョセフ・ペリエ」創立200周年 『キュヴェ 200』&『ル シエルジュロ 2020年』をお披露目
1825年、フランソワ・アレクサンドルとジョセフ・ペリエ父子によって創設された「ジョセフ・ペリエ」は、シャンパーニュ地方エペルネの東シャロン=アン=シャンパーニュに位置する家族経営のメゾン。フラッグシップ『キュヴェ ロワイヤル』に使われている“ロワイヤル”は、英国のヴィクトリア女王とエドワード7世の御用達だったことからその名が与えられた。
200周年でラベルとロゴを一新
メゾン創立200周年記念セミナーのためにそろって来日した、取締役のオットー・プシュビラ氏とセラーマスターのナタリー・ラプレイジュさん。オットー氏は1981年の初来日以来、毎年来訪している親日家で、輸入販売元とは20年以上にわたる強い絆で結ばれている。
ナタリーさんは、シャロン=アン=シャンパーニュ出身で、ランス大学URCA在学中から複数のメゾンで研修やインターシップを経験。大学卒業後は、「ヴーヴ・クリコ」や「ティエノー」などで研鑽を積み、2017年にジョセフ・ペリエに入社。同社初の女性シェフ・ド・カーヴとして、メゾンに新風を吹き込んでいる。19年には、シャンパーニュ専門誌『Bulles et Millésimes』においてセラーマスター・オブ・ザ・イヤーに選出され、女性として初の受賞者となった。
当主は、19年に参画した6代目ベンジャミン・フルモン氏で、伝統と革新を重視し、200周年を迎えるための改装工事では陣頭指揮を執った。20年にはノン・ドザージュの『キュヴェ ロワイヤル ブリュット ナチュール』をリリースさせ、好評を得た。ブランドの発展を象徴させるデザインを導入し、創立200年を機にラベルとロゴの一新を図った。
記念ボトルを含む8アイテムのテイスティング
#1:キュヴェ ロワイヤル ブリュット NV
ナタリー:セラーマスターの役割はメゾンのスタイルや味わいを継承することなので、全アイテムの中でさまざまな組み合わせが考えられるノン・ヴィンテージが最も難しい作業。ジョセフ・ペリエのスタイルは①フルーティー ②エレガンス ③フレッシュの三つで、③はドザージュで調整しているが、これは酸と糖のバランスが大事なので、それを見極めている
石田:外観は鮮やかなレモンイエロー、ライムやグレープフルーツ、ジャスミンやライラック、焼きたてのパンやコリアンダーシード。きめ細かな泡立ちと酸味が同調し、味わい全体を心地よく、さわやかにしている。余韻にかけて酸味が広がり、そこにかすかな苦味が加わり、後味を引き締めている
#2:キュヴェ ロワイヤル ブリュット ナチュール NV
ナタリー:糖分の添加をしていないにもかかわらず、バランスよく仕上がっている。当主から「美味しいブリュット ナチュールを造りたい」との提案を受け手掛けたシャンパーニュ。通常のノン・ヴィンテージに糖分を添加しないと酸味が強く出てしまうので、ブレンドで一工夫し、シャルドネの比率を62%に増やした。瓶熟期間も1年延ばして6年にした。区画や品種ごとに分けて醸造したアイテムで、ピュアさが出ている
石田:ゴールドの色調はさらに濃く、気泡もより繊細。黄桃、ネクタリン、スモモ、白胡椒、甘草、サフラン、鉄っぽさをイメージさせるミネラル、ジンジャーブレッドやマッシュルーム。中盤から直線的な酸味が伸び、味わいを引き締め、ほろ苦さと塩味、厚みを感じさせるフィニッシュ
#3:キュヴェ ロワイヤル ブリュット ブラン ド ブラン NV
ナタリー:主に3つの村のシャルドネをブレンドしたブラン・ド・ブランで、コート・デ・ブラン(アヴィーズやシュイィ)はフィネスとエレガンス。シャロン=アン=シャンパーニュの南、エペルネの反対側に位置するバシュエはジョセフ・ペリエがかなり昔から注目してきた産地で柑橘系のアロマが特徴。先代ジャン=クロード・フルモンが畑を購入、植樹し、広げてきた産地。キュミエールは自社畑があるエリアで、もとはピノ・ノワールの適地だったが、シャルドネに植え替えたことでストラクチャーや骨格のあるブドウができた
石田:グリーンを帯びたイエロー、柑橘系果実、熟した洋梨や白桃、白バラや百合、ブリオッシュやビスケット、シナモンやコリアンダー。ドライでありながら厚みのある味わいで、気泡は細かく心地いい。酸味が中盤から余韻に広がり、後半に旨味を伴った塩味、加層的なフレーバーがある
#4:キュヴェ ロワイヤル ブリュット ロゼ NV
ナタリー:前述したようにシェフ・ド・カーヴはメゾンのスタイルを継承していくことが大事だが、引き継いだ時のロゼは力強いタイプで、自分が求めるスタイルではなかった。そこで、先代に直談判したところ「自由にやりなさい」との即答があり、軽やかで食事に合うロゼを造り出すことができた。赤ワインは自社畑キュミエールのブドウだけでなく、契約農家のブドウも使用。余談だが、ロゼ好きではなかった先代は今ではロゼの愛飲者になり、PRに努めている
石田:輝きのあるラズベリーピンクやサーモンピンク。華やかさと落ち着きを備えた二面性があり、繊細で上品。熟した洋梨、スグリ、ミントのようなさわやかなハーブ、ピンク系スパイスやナツメグ、時間の経過でブラッドオレンジ。やさしく丸みを帯びたアタックで、汎用性の広いロゼといえる
#5:ル シエルジュロ 2020年 ブラン ド ノワール ブリュット ナチュール
ナタリー:40年以上にわたり、環境に配慮した栽培を実践してきた責任者パトリック・マルタンに敬意を表したシャンパーニュ。ヴァレ・ド・ラ・マルヌのヴェルヌイユにある90アールの区画のムニエ100%で、初植樹は1962年。雨に弱く、罹病しやすい品種なので、良年のみ生産。長熟タイプではなく、酸もソフトなので、ノン・ドザージュでバランスを取った
石田:ロゼに似た色調で、清楚で穏やかさを感じさせるムニエ。スグリ、ライラック、コリアンダー、ブリオッシュ。味わいは緻密で、浮かび上がるような広がり。酸味はやさしくボディを包むような印象。絶妙なバランスを表現している他に類を見ないスタイルラ コート ア ブラ 2015年 ブラン ド ノワール ブリュット ナチュール
#6:ラ コート ア ブラ 2015年 ブラン ド ノワール ブリュット ナチュール
ナタリー:先代が“パーセル(PC)”に注目して完成させたアイテム。2008年から毎年リリース、生産本数は7000~7500本。自社畑PCキュミエールにある70アールの単一畑「ラ コート ア ブラ」のピノ・ノワール100%で、真南に向いた日照条件が良い畑なので収穫日の見極めが大事。ドザージュはゼロ。糖分を加えなくてもバランスが良い
石田:色調は輝きのあるゴールド、熟して柔らかなブルーベリー、スミレ、胡椒や甘草、パンデピスやミネラル。先程までテイスティングしてきたシャンパーニュのような直線的に伸びる酸味ではなく、横に広がる酸味で、フィニッシュは心地よく、飲み疲れしない
#7:キュヴェ 200
ナタリー:200周年記念のキュヴェで、2015年ヴィンテージのブドウを使用。ブドウはグラン・クリュ(GC)アンボネのピノ・ノワールとGCシュイィのシャルドネ、PCキュミエールの三つの畑のブドウで、ブレンド比率はピノ・ノワールとシャルドネ各50%ずつ
石田:外観はゴールド、香りは率直で透明感がある。ピンクグレープフルーツ、ザクロ、ライラック、栗の殻や蜜。ヘーゼルナッツの風味やジンジャーブレッドが奥行きを与え、味わいは緻密で精密。直線的な酸味で、熟成による豊かさと調和し、リフレッシュできる余韻
#8:キュヴェ ジョセフィーヌ 2014年
ナタリー:ジョセフィーヌは創業者の一人娘の名前。婚礼のために造られたシャンパーニュを1980年代初頭、先代が現代風にアレンジ。オリジナルボトルには手書きで装飾が施されていたので同様にして復刻版をリリースさせた。初ヴィンテージは82年で、2014年は11番目のヴィンテージ。良年だけの生産で、平均生産数は2万~2万5000本。ブドウ畑はアンボネ、サシー(ピノ・ノワールは小粒でボディがある)、キュミエール、ベルジェール・レ・ヴェルテュ(シャルドネは直線的でストラクチャーがある)、ル・メニル・シュル・オジェ。ブレンド比率はシャルドネ60%、ピノ・ノワール40%。先代は「凝縮感とハーモニー」と形容している
石田:スモモやカリン、百合の花、ジンジャーやベーキングスパイス、丁子やオレガノ、セージやハーブ、さらにブリオッシュや鉱物的なミネラル。味わいと香りのバランスが良く、繊細な酸味、中盤から広がる厚みにはシャルドネのストラクチャー、ピノ・ノワールのボディが表現されている
text & photographs by Fumiko AOKI
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JALUXワイン・リカー部 TEL.03-6367-8756