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阪元裕吾監督おすすめ青春映画ランキングベスト3!映画『ネムルバカ』も影響を受けた超絶過激な一作とは?

ciatr[シアター]

阪元裕吾監督、おすすめ青春映画、サムネ

2025年3月20日より公開中の映画『ネムルバカ』。

本作の公開を記念して、阪元裕吾監督がおすすめ青春映画ベスト3を選出!『ネムルバカ』にも影響を与えた第1位の作品は、過激すぎる青春コメディ?

さらに監督と映画をテーマにしたインタビューも実施。阪元監督が映画監督を志したきっかけや映画を選ぶ際に大事にしているポイントをお聞かせいただきました。

※おすすめ青春映画を語っている模様を撮影した動画コンテンツをYouTubeのciatr/1Screenチャンネルを公開中!

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【阪元裕吾監督のおすすめ青春映画ベスト3】第1位は『ネムルバカ』も影響を受けた過激青春コメディ?

Q:『ネムルバカ』に絡めて、阪元裕吾監督におすすめの青春映画をベスト3を紹介していただきます。

第3位『21ジャンプストリート』(2012年)

阪元裕吾監督

(第3位は)『21ジャンプストリート』という作品です。

元々いじめられっ子といじめっ子の2人組みが高校にいて。仲良くなかった2人がちょっとずつ高校で仲良くなってすぐ卒業――までが映画の冒頭5分くらい、結構ダイジェストで描かれるんです。

そのあとに警察学校で再会して2人がよいバディになっていくんですけど……。最初2人の任務は高校に潜入することで。高校生のふりをして、もう1回高校のライフを描いていくんですけど、そこでいじめられっ子といじめっ子が(立場が)逆転しちゃうというか。

ナードとイケイケだったのに、こっちがナードでこっちがイケイケみたいになっちゃって。2人の関係にすごい亀裂が走ったり葛藤が生まれるっていう物語で。ムキムキマッチョのイケメンのチャニング・テイタムと、ちょっと太って冴えないジョナ・ヒルが阿吽の呼吸とコメディセンスで凄まじく面白いです。

ナードが友達になってまう生徒がいるんですけど、そいつがどう考えても怪しくて……。そいつを逮捕する話なのに、(ジョナ・ヒル)がめっちゃ仲良くなりすぎて「あいつはやってないよ」みたいなことを言い出してめちゃめちゃ喧嘩するんですけど。

そういう学生時代の"ジレンマを取り戻そうっていうのと、アクション映画をすごい掛け合わせたすごい見たことない"面白いプロットなんです。日本でもっと流行ってもよかったのに、公開されなかった……。素晴らしいアメリカ映画なので、ぜひ見てほしいですね。

第2位『劇場版ハイキュー‼ ゴミ捨て場の決戦』(2024年)

第2位は『劇場版ハイキュー‼ ゴミ捨て場の決戦』です。

これもね、面白いですよ!!去年(2024年)、たしか1番、2番目ぐらいにヒットした映画ですよね。烏野(からすの)高校っていう主人公チームと音駒(ねこま)高校っていうライバルチームが2校ありまして。結構昔に2つ共強豪高校だったんですよね。

そこでずっと因縁があって、今はどっちもなんとなく影の薄い高校になっちゃっていて。全国大会とかも行かないですし、地区大会で敗退の2校が2人の天才が入ったことによって、少しずつ上がっていって――。

それでも挫折もあったりみたいなのが20何巻ぐらいかけて描かれ続けるんですね。アニメも3シーズンくらいあって、その間もずっと練習試合じゃないですけど、合宿試合みたいなので戦ってたりはするんですけど。

そこで相手のエースと主人公2人が親友になっていって、「いつかあの舞台で勝ちたいね」みたいな、そういうアツいバトルが劇場版でドーンと描かれるという……。これはもう素晴らしいです。

アニメ3シーズンは観とかないと、ちょっとアレなんですけど、「スラムダンク」とかもね……。それか漫画を読むとかしていただけたらね……。超熱い展開がいっぱいある作品なので見てほしいですね

最初に初めて練習試合をやった時に、主人公のチームが音駒に負けるんですけど、その時に「もう一回やろう研磨」みたいなことを言うんです。

敵が研磨なんですけど。何回も負けるたびに、罰ゲームじゃないですけど、外周させられたりして。「もういいよ」みたいなそういうくだりがあるんですけど。

それが伏線でずっと追って、追って、追って、今回の映画の序盤に「もう一回がない試合をしよう研磨」っていうブチ上がる!!セリフがあるんです。それがたまらんのですよ。

それで相手もニヤッて終わるっていう最高の伏線回収、最高の映画です。ぜひ観てください。 

第1位『プロジェクトX』(2012年)

第1位は『プロジェクトX』です。

これも10何年か前くらいにビデオスルーなんで劇場公開されなかったんですけど、とんでもない映画で、アメリカのオタクたちが主役なんですけど……。

家に親がいない間、空き家になるからお前の家で誕生パーティーしようぜみたいなことを言うんですよね。日本のパーティーとは違って、適当にFacebookとかで人を呼びまくって、家を本当のパーティー会場みたいにして、「お前は誕生日にヒーローになれるんだ」みたいな。

調子乗った「ちびまる子ちゃん」に出てくるようなキャラクターしか出てこないんですけど。「ちびまる子ちゃん」の陰キャたちみたいなキャラが主人公で……。そいつらが「今までナードだってたけど一気にスクールカースト上がったる」みたいな、ハツラツと頑張ろうとするところが導入で。

それでFacebookで人を集めまくっても、当然オタクなので人が集まらなくて、ひとりたまたまプロ野球選手と友達になったやつがいて、そいつが「今日暇だから行くよ」みたいなと言った瞬間にえらい人が集まるようになっちゃって。最終的に2000人ぐらい一気に集まってしまうっていう。

ドラッグとか酒とか、もうめちゃくちゃなことが起きまくるんですけど。それを是非見てください。本当に笑える。本当に怖いし、俺たちがこうなったらどうしようみたいなこともありますし。車は突っ込むし、人は燃えるし。

そういう面白い映画だけど、終盤結構アツいシーンがあって。初めて人生を主体的に何かとんでもない悪いことなんだけど、何かを成し遂げた瞬間は今この瞬間なんだみたいな。

それは観る人全員が勇気づけられると思うので。やってることは全部犯罪行為だけど。「俺がキングだ」みたいな、人生に一度は体験したいそういう瞬間をまさに映像にした映画になってますので、すごい好きな映画です。

【インタビュー/テーマ:監督と映画】映画の原体験や監督を志したきっかけとは?

【映画の原体験】

Q:映画の原体験をお聞かせください。

阪元裕吾監督

(映画の)原体験はめちゃめちゃ古くて、僕が6歳くらいのときに『ドラえもんのび太の恐竜』(2006年)を観たのが最初だったと思うんですけど。洋画好き、アクション映画が好きになったきっかけは、8歳ぐらいのときに観た『宇宙戦争』(2005年)というトム・クルーズが必死に走る映画があるんですけど、それがすごい原体験で……。

当時たしか「スター・ウォーズ」のエピソードIIIと『宇宙戦争』がどっちも公開していて、洋画がすごい盛り上がっていて。小学生ながらに全員洋画を観に行ってるみたいな時代だったので。

そのとき僕は「スター・ウォーズ」の最初から世界観がガチガチにできているものと、『宇宙戦争』という普通の日常から侵略者が来て日常が壊されてしまうというSFの2つがあったときに、『宇宙戦争』の方がすごい好きだなって。それが結構ずっと続いてると思います。

「ベイビーわるきゅーれ」シリーズとか、この『ネムルバカ』もやっぱり日常に根付いてるところにちょっとファンタジックな、ちょっと非現実的なことが起きるみたいなのがすごい好きで。

ヨーロッパ企画さんの演劇だったりとか、石黒先生の作品も全部そうなんですが、やっぱり根底に日常があって、それが崩れていくっていうのがすごい好きになったきっかけの作品(『宇宙戦争』)かなって思っています。

【映画監督を志したきっかけ】高校生のときに撮ったチャリ旅が原点?

Q:映画監督を志したきっかけをお聞かせください。

阪元裕吾監督

高校生ぐらいの時に演劇部に入っていて、演劇人のお金がないとか、すごい報われないエピソードを聞かされて、なかなか難しいんだなって思って……。

その時期に『パンズラビリンス』というギレルモ・デル・トロ監督の映画を観たんですけど、それを観た時に洋画好きフェーズがもう1段階が上がりました。

その後、映画館で映画をたくさん観ようって思い出したのが高校2年生の時で、『バトルシップ』から始まる『アベンジャーズ』とか『パシフィック・リム』とか。当時の洋画を劇場で本当に毎週観に行って。

それをやりたいなって思ったのが、『桐島、部活やめるってよ』という映画があって、それも結構きっかけで。映画を撮る映画だったので。そういう映画を大量に観るようになっていたら、自分の中でそういうのを作る、何かがあるのかなと思って。

高校3年生の頃、友達がチャリ旅をするのをちょっとコントみたいな、フェイクドキュメンタリーみたいなものを撮って。高校の友達を撮ってるうちに、面白い被写体を追うことへの探究心というか。

どちらかっていうとフレーム主義だったり演出主義の作家というよりは、わりと僕は脚本とアイディアと被写体、ふたり(『ネムルバカ』の結実とルカ)の面白さみたいなのを追求したい作家だなと、のちのち気づいたんですけど。そのきっかけが 高校の時の友達のチャリ旅を撮ることでした。

【鑑賞者としての映画との関わり】ジャンル映画を極めたいからこそホラーやコメディを優先?

Q:鑑賞者としての監督と映画の関わりについてですが。作品選びの基準、鑑賞頻度をそれぞれお聞かせください

阪元裕吾監督

去年、一昨年ぐらい映画を撮ることに必死で、なかなか映画を観られないというか、観る気になれないみたいな気持ちにすごいなって。「それはいかんな」と思って、今年からなるべく1日1本くらいは観られるようにしようという気持ちがあって。

ですが1日1本は結局無理で、今年で30本(2025年3月時点)ぐらいしか観られていないんですけど、2日に一度ぐらいは観られているのかなって感じですけど。

観たい映画の……選定というか、昔はアカデミー賞受賞作品を全部観るとか、結構やってたんですけど。どっちかっていうとやっぱ自分はジャンル映画を極めたい人なので。半分勉強でもあるんですけど、コメディだったり、バイオレンス、アクションだったり、ホラーだったりを観たいなという想いがあります。

なにより単純で、コメディだと笑えたら優れてて、笑えなかったら優れていなかったり、ホラー映画だったら怖ければ優れていて、怖くなければ優れていないみたいな。すごい明確な基準があって。

それが自分の原体験が刺さるか刺さらないかみたいな、そういうストーリー映画ってどちらかというと、共感できるかできないかみたいな、側面もあると思うんですよね。

そうじゃないシンプルに笑えるか笑えないかとか、怖いか怖くないかという方が演出的にすごい勉強になるというか。ここでこういう寄りを入れた方が怖いんだなとか。引いたほうが笑えるとか、逆に迫真の顔がバーンってなる方が怖いのか、逆に笑えちゃうのかとか。

そういう演出については一番考えられるジャンルがその2つ(コメディとホラー)かなと思っているんで、なるべくそれらを観たいんですけど、怖がりなんでね……。怖いから嫌なんですけど、観るようにしてます。

Q:監督になってから映画を観る視点や感覚は変わりましたか?

阪元裕吾監督

「なんでこれが売れてるんだろう?」みたいなのはすごい考えるようにはなったし、「これがヒットしてるの?」「なんで?」 ていうのも。最近も『アノーラ』というアカデミー賞受賞した作品を観て……。結構僕的には「そうなんだ……」みたいな。

僕的にはちょっとそこまでって感じだったんですけど。まあ紐解いていくとアカデミー賞とかそういう作品って結構やっぱり背景が大事だったり、社会的な存在としての作品が世界にどう、何をもたらすのかみたいなのが結構重視されてる作品なので。

割と作家性だったり人の経緯だったり社会性だったり、そういうのを紐解いていく作品が多いと思うんですけど。さっき言った笑えるか笑えないか、怖いか怖くないかでいうと、結構逆のプロセスの楽しみ方をしなきゃいけないんだなと思って。僕がそういうことをするのがちょっと苦手というか。

実話を基にした映画とかで最後、これは実話でみたいな。エンドロールで元になった本当の人が出てきたりするじゃないですか。(僕は)冷める派なんですけど。映画は映画だと思ってしまうので。

でも……そういう(作品)も観ないと駄目だなと今年はすごい思いました……。去年ぐらいまでは、そういのはもうよいかなと思っていたんですけど、何が売れて何が刺さってとか。特に日本人に何が刺さっていて、それが海外とどう違うのかとか。

韓国映画の家族愛系がめちゃくちゃ苦手で、あっちの方が家族のつながりが強いじゃないですか。それで家父長制も強いっていう。上下関係がすごい強いから父親には敬語とか文化の違いを見るのは面白いですけど、共感はしづらいというか。

それを勉強しつつ、考えながら観ていこうという気持ちにはなっていますね。だから、さっきのとはちょっと逆の話なんですけど。

名作青春映画の影響は映画『ネムルバカ』へと繋がる?

阪元裕吾監督が傑作青春漫画の実写化に挑んだ映画『ネムルバカ』。ルカ(平祐奈)と柚実(久保史緒里)を中心としたキャスト陣の魅力を最大限に引き出した、監督の手腕が光る青春映画です。

今回選出いただいたおすすめ青春映画は、一見『ネムルバカ』とは直接結びつかないように思えますが、劇中のコメディ要素や時折顔を出すバイオレンス要素など、確かにその影響を感じる作品群たち。

この3本とセットで『ネムルバカ』を鑑賞すれば、新たな気付きや楽しみが発見できるはずです。映画『ネムルバカ』は2025年3月20日より絶賛公開中。ぜひ劇場の大きなスクリーンと迫力ある音響で体感してほしい一作です!

▼取材・文:増田慎吾

映画『ネムルバカ』制作秘話のインタビューはこちら【監督と駄サイクルの関係とは?】

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