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親の介護が必要になったときに家族で話し合っておきたい3つの優先事項

「みんなの介護」ニュース

高木 亨

親の介護が必要になったとき、親族やきょうだいがいれば協力して介護を行うこともできます。しかし、現実的には協力が得られる場合と、そうではない場合があります。きょうだい間の仲が悪かったり、親族と親との折り合いが悪いといったケースも少なくありません。

そのため、親の介護が必要になったときに備えて、事前に親族間で話し合っておいたほうが良いとされています。

では、具体的にどのようなことを話し合っておくと良いのでしょうか。

今回は、事前に共有しておいたほうが良い事柄について、ご紹介いたします。

まずはお互いの近況を共有しよう

まず大切なのは、親や自身の現状について話し合える関係であるかどうかを見極めることです。

最近は何をしたか、どこに行ったのか、何を食べたか…そんな他愛のないやりとりさえできないような関係では話し合い以前の問題です。

もし関係が難しくなっているようであれば、ぜひ親の介護が必要になる前に、そうなってしまったきっかけや気まずくなった経緯について少しでも氷解させておくことが重要です。

具体的には、お互いの生活状況について情報交換しておくと良いでしょう。事前の情報交換のきっかけとともに優先して交わしておきたい話を3つ挙げます。

健康状態
生活リズム・環境
経済状況

これらの点をお互いに把握できていないと、親の介護について話し合いを進めようと思ってもうまくいきません。おそらく、話し合いにすら応じず、全部任せるという話で終わってしまい、援助すら望めないでしょう。

介護に関して家族間で揉めるケースでは、お互いの家族の健康状態や生活環境、どんな仕事についているのか、経済状況の良し悪しもまったくわからないことがよく見られます。

疎遠になっている家族との対話は、最近の体調はどうなのか、食事はどのようにしているのか、今困っていることはどんなことなのかなど、気にかけていることから始めてみると良いでしょう。

健康状態については、最初に切り出しやすい話題と言えます。

ポイントは自慢と受け取られかねない話の切り出し方をしないことです。例えば、体調に関してであれば、自ら健康診断で引っかかった項目などを挙げて「実はメタボ予備軍になっちゃって」「この間初めてぎっくり腰を経験して」など、ちょっとした失敗談などを自ら打ち明ける形で切り出してみましょう。

その後「そちらはどう?」といった具合に情報交換できると良いでしょう。生活リズムや環境についても同様に情報交換ができます。

ちょっとした工夫が必要になるのが経済状況に関する話題です。これは、あまりにも自分を下げ過ぎると心配されかねませんし、下手なことを聞くと警戒される恐れもあります。

そこまで詳しく知ることが目的ではありませんから、生活環境やリズムの延長線上として就業状態や勤め先、安定した収入の有無程度が把握できれば十分でしょう。

もしも怪訝な雰囲気になったときは「いや、実は親の介護に備えて、親自身の貯えも確認しておきましょうって記事があって…ウチの親って備えてるのかな?」と最終的な目的を切り出せば共通の問題となります。

詮索するわけではありませんし、互いの生活状況について日頃から交換しておくことで「親の介護」という大きなテーマについても話し合えるような土台づくりになります。

事前に解決しておきたい3つの優先事項

親の介護について事前に話し合っておきたい優先事項には以下の3つが挙げられます。

1.誰が主介護者になるのか

主介護者は、親が介護を必要とする状況に陥った際に事務手続きを行ったり、状況によっては代弁したり各関係機関とのやり取りをするうえで親に代わって窓口になります。

もともと親と同居しているきょうだいがいれば、自然と同居親族が主介護者となるケースがほとんど。しかし、きょうだい全員が家を出ている場合は誰が介護の連絡窓口役となり、中心的役割を担うかについて話し合っておくと良いでしょう。

地理的に近い順、歳の順、連絡が取りやすい順など、重視する点によって誰が主介護者にふさわしいかは変わってきます。もちろん親側の希望も合わせて聞いておくと、なお良いでしょう。

ただし、主介護者となったからといって全部勝手に進めて良いわけではありません。また、主介護者ではないから責任は軽いといったこともありません。協力関係が築けている家族で支える介護が理想であることに変わりはないのです。

2.介護が必要になったときの大まかな方向性

介護状態となったときの大まかな方向性や親の希望について、それぞれの考え方を広げておくことも大切なことです。

その際には「意見しない」「批判しない」「最後まで聞く」ことを大切にしましょう。さらにお互いの考えの理由や背景、根拠などを話し合うと良いでしょう。

そのうえで方向性を決めるために大切なのは、介護される本人である親の希望です。

介護の方向性で代表的なものと言えば「施設介護か在宅介護か」ですが、現在は一時期のような入居先がない状況は改善しましたが、それでも一定程度の要件や条件・費用面等の折り合いを満たす必要があります。

そのため、100%在宅介護なのか、それとも在宅介護サービスを活用しながら様子を見るのか、本人の状態に応じて臨機応変に対応を変えていく必要があります。

介護は病状や症状以上に予測が付きにくいために、事前の話し合いが満場一致で進むものではありません。そのため「絶対に○○でなければならない」という融通がききません。

そこで「おおよそ」で把握しておくことが大切です。もし本人や家族が意固地になって揉めそうならば「そんな事態にならないことが一番だしね」と話し合いを打ち切ってしまうのも一つの手段です。お互いの考え方を共有できただけでも大きな進展だと考えましょう。

3.いざというときに用意できる時間と費用

もしも親に万が一の事態が生じたときについても家族間で共有しておきましょう。

例えば、どんな場合ならすぐに駆けつけられるか、逆にすぐに動けない可能性があるかなどを家族間で話し合っておきましょう。季節的な理由やそれぞれの家庭事情、仕事環境やそれぞれの住まいの事情など、お互いの事情を考慮する必要があるからです。

「いつでも大丈夫」という満点回答はもちろん心強いですが、大見得をきっておきながら実際には駆けつけられなかったとなると、その後に支障をきたします。最悪の事態も想定してケースバイケースで考えておくと、それぞれの事情を配慮しやすくなります。

また、自由にできるお金がどれくらいあるかも話しておくと良いでしょう。当然、誰もがお金を出さずに済めば越したことはありませんし、親自身の蓄えや備え、保険などから出費することを優先したいでしょう。

しかし、そうしたお金をスムーズに出し入れできるとは限りません。立て替えた経費や出費が明確にわかるようにレシートや領収書についての保管についても一定のルールを決めておくことをおすすめします。

もちろん、いざというときの資金について親自身が保険や貯蓄などを事前に打明けてくれていれば、急な出費についても一定の安心感があります。

家族間の仲が悪くても役割分担はできる

さて、ここまでの話は、家族間である程度のコミュニケーションが取れる状態を前提としています。

親の介護で家族が揉める多くのケースは「そもそも話し合いができるような仲ではない」「知的・性格的・社会的ハンディキャップのあるきょうだいがいる」「経済的に問題を抱えた親族がいる」など、話し合い以前の問題があります。

あくまでも私見ではありますが、ハンディキャップを抱えていたり社会性が低かったりする親族だからこそ「親と同居」「経済的に依存」「親も子離れができていない」ことが多いと感じています。

そのような家族とは、それまでのわだかまりや、感情的にならざるを得ない経緯などが邪魔をして、顔も合わせたくないというのが本音で、親の介護の話など到底できないかもしれません。

しかし、だからと言って無策のままでは、いざ親の介護の問題に直面したとき、さらに大きな問題になるのは必至です。

こうしたケースの場合、ほとんどは親と同居という建前でパラサイトシングル※となっている親族こそ「介護が必要になったら私が親の面倒を看る」と言います。

※成人になっても親元から離れず、経済的にも精神的にも自立できずに生活全般を両親に依存している未婚者のこと

仮にこの親族が主介護者になったとしましょう。ほぼ任せきりになっていたとして、ほかのきょうだいなどがかかわりを絶ったままだと、介護をより困難にしてしまうリスクも考えられます。

親に経済支援をしようにも、同居家族が使い倒してしまったり、不適切な介護や虐待をしてしまったりといった問題がかなりの確率で生じます。

また状況によりますが同居家族がいる場合、ホームヘルパー等の介護サービス利用が制限されることもあります。

そのため、親に介護が必要になったときは世帯を分けるといった取り決めだけでも設けておくことが非常に重要です。自立した生活自体が難しい親族は「親の介護にかかわらない」という協力もあるのです。

経済的な自立が困難であれば、生活保護を受ける約束だけでもしておきましょう。この時点で話が揉めることもあると思いますが「あくまでも親の介護が必要になったら」という仮定を伝えておけばいいのです。

また、逆に全部やってしまうおせっかいな親族がいる場合も、実は問題です。長男長女といった年長者にありがちですが、親の介護についても取り仕切ってしまい意見を言える空気ではなくなり、ほかのきょうだいは話も手も出せずにいるだけとなってしまいます。

一方で、そうして仕切っている介護者は「ほかのきょうだいは何もしない」と言い出したり、一方的な指示をよこしたりといったモラルハラスメントが生じてしまい、協力関係とはほど遠い状況に陥ることがあります。

このように良かれと思って不適切な介護に陥るケースもかなり見かけます。親族が「何も言えない」という関係は、その時点で不適切な要素をはらんでいると言えるでしょう。

私が経験したケースでは、認知症の両親の介護を全面的に取り仕切っていたお兄さんが突然倒れ、本人も重度の介護状態に陥り、在宅介護自体が一斉に崩れてしまい、次々と亡くなられるというケースもありました。

仲良くしようにもできない状況だったとしても、「安否確認の定期連絡をする」「ゴミ捨ての支援」「庭の管理の援助」などの簡単なことなどから、かかわりを保っておくと良いでしょう。

最後に、現在も私がかかわらせていただいている事例をご紹介します。

母親Aは独居ですが、近所にお住いの次女Bの家族が生活周りの世話と主介護者を担っています。長女Cは、介護関係の経費管理を担い、長男Dは毎朝の安否確認と各種サービス利用を母親Aに勧める役割をしています。

後ほどカンファレンスで次女Bから聞いた話では、実はきょうだい間の仲はもともと良くはなかったそうです。にもかかわらず、要介護状態となってかれこれ10年近くそのバランスを保って在宅介護を支援されているそうです。

「なんだかんだ母が面倒な一人暮らしを頑張っているおかげで、きょうだいでいられる部分もある。実際の仲は相変わらずそうでもないんだけど」と笑って話していました。

サービスを提供する側から見る限り、理想的な介護の形であるように思います。

仲が悪いからと言ってあきらめてしまうのではなく、親の介護は家族全体の問題として対処していく姿勢が大切です。

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