「東京都のエイズ月間に合わせて開催されたエイズフェス」
人権に関わる身近な話題をテーマに掲げて、ホットなニュースをお伝えしている番組。
今回は、12月7日に豊島区の中池袋公園で行われた「エイズフェス2024」の取材報告です。
12月の東京都のエイズ予防月間に合わせて開催されたこのエイズフェスには「知ることから始めよう」という副題がついています。HIV/エイズに加え、最近増えている梅毒の最新の情報を発信するイベントで、およそ20の団体がブース出展していました。
なかでもクイズに答える参加型のワークショップがいくつかありましたので、ここでHIV/エイズクイズを出題します!一緒に知識をアップデートしましょう。
青山学院大学のジェンダー研究・ボランティア愛好会TETOTEのブースで出された問題です。
〈YESかNOでお答えください〉
Q.お風呂やプールでHIVに感染することがある? →YES・NO
Q.エイズ予防に有効なワクチンがある? →YES・NO
答えは・・・両方「NO」!
それでは実際に私がこのクイズを解いて、学生さんに解説してもらった様子です。
100点です!〈拍手〉(やっぱりワクチンだったんですね)
予防の薬はあるんですけれどワクチンはできていないんです。なんかそのワクチンの問いがめちゃくちゃ正答率が低めで、皆「ああ無いんだ」って。お風呂やプールで感染するかっていう質問も正答率が低くて、やっぱり皆エイズへの知識が足りなくて、今まではなんか近寄ったら感染するんじゃないかなっていうぼやけたイメージを持っている人が多くいるので、粘膜じゃないと感染しないよっていう知識が広がっていない感じだと私は理解しています。
私はこの予防の薬の存在を知りませんでしたので、今回のエイズフェスで最新の情報に触れることができました。このように、エイズの発症者が確認されてから40年以上が経って治療方法も飛躍的に進んでいます。エイズの発症前にHIV感染を知り、適切な治療を受ければエイズを発症することなく感染前と変わらない日常生活を送ることができるようになりました。
ただ、こうした中ではありますがまだ差別や偏見を見聞きすると話してくれたのは池袋保健所内にある東京都エイズ啓発拠点・ふぉーてぃーの展示ブースにいた保健師の方です。当事者の話を聞いて、エデュケーター=若者へ教える立場として正しい・新しい情報を伝える啓発活動をしているといいます。
当事者のいきさつですね。やっぱり昔仕事をしている時に感染してそれを報告したところやっぱり差別偏見がっていう話とか、やっぱりそのあとも日常生活を送るうえでの苦痛というか、そういうお話を聞いたりっていうので実際のその人の気持ちを聞いたうえでエデュケーターになって啓発できるようにっていう形でやっていて。感染してしまったとしても、薬を飲んでウイルスを最小限まで落とすことによって子どもを産むことも大丈夫だよっていう、そういう新しい情報を広げることで恐怖を抑えることが差別偏見をなくすことに繋がるというところで知られて無い部分を伝えていけたらいいなっていう。(ふぉーてぃーの担当者)
冒頭でも触れましたが今回のエイズフェスでは、HIV/エイズに加えて最近増えている性感染症の梅毒の情報も発信されていました。というのも、都内の梅毒患者は統計開始以来最多が続いています。会場にも「梅毒急増中!検査・治療を受けましょう!」と書かれた大きな掲示物などもありました。この理由について、東京都保健医療局の中林了子さんに聞きました。
昨年が3701件で、3年連続で過去最多を更新してきていると。今年も昨年と同じペースで増えているので、もしかしたら4年連続過去最多になるかもしれないと。今回エイズフェスっていう名前なんですけれど、同じ性感染症ということで梅毒も一緒に啓発をしているといったところです。やはり梅毒は症状が無い方もすごく多いので知らないうちにまわりに感染を広げているという可能性もあるので、ちょっと心配だなと思うことがあった人は必ず検査を受けてもらいたいと思っていて。治療すればちゃんと治る病気です。(中林了子さん)
梅毒をはじめとした性感染症は、誰でもかかる可能性のある病気です。逆に、一人ひとりが正しい知識を持ち適切な行動を心がければ誰でも予防や感染拡大防止をすることができます。さらに、繰り返しですが、HIV/エイズの治療は進歩を遂げています。
12月のエイズ予防月間をきっかけにエイズを正しく知って、予防や早期発見につなげてHIV陽性者への差別・偏見のない未来につなげていきましょう。
(TBSラジオ『人権TODAY』担当・TBSラジオキャスター 加藤奈央)