E3系新幹線を「荷物専用」に改造!? 年間100億円規模の収益獲得目指し、JR東日本が「はこビュン」サービス本格化!
コロナ禍になってから、以前より宅配利用が増えた人も多いのではないでしょうか? 現代日本では荷物はスムーズに届きますが、その「当たり前」がずっと続くとは限りません。物流の担い手不足は全国的な課題です。
荷物輸送といえば、トラックで目的地まで移動させるイメージです。しかも県をまたぐとなると、長時間かかります。荷物の量が多ければ多いほど、トラック運転手も多く必要となります。人手不足の中でのやりくりしないといけないのは厳しいところ。
この社会課題を解決する策の一つとして、JR東日本グループが提供しているのが、鉄道ネットワークを活用した荷物輸送サービス「はこビュン」です。新幹線や在来線特急列車を使えるなら、より多くの荷物を短時間で運ぶことができます。人手不足の解消に資するだけでなく、トラックが排出するCO2も削減することも可能です。
同社は4日、「はこビュン」をさらに強化する意向を示し、「JR東日本グループ全体で年間100億円規模の収益獲得」を目指すことを発表しました。鉄道ファンが注目するのは「E3系新幹線」の荷物輸送専用列車化改造ですが、本稿ではまず同社が示した方針を説明し、その中でE3系を改造した荷物新幹線について詳述します。
「はこビュン」サービスどう変わる?
新幹線・在来線特急で様々なトライアルを重ねてきた「はこビュン」。「その日のうちにすぐ運んでほしい」という迅速性・速達ニーズにあわせ、小口から大口の荷物まで高品質で輸送します。法人向け「はこビュン」は事前に契約締結が必要ですが、法人・個人向け「はこビュンQuick」は事前予約不要で、荷物1個から列車出発の30分前まで申し込み可能です(直接駅カウンターへ持ち込み)。
そんな「はこビュン」はどう変わっていくのでしょうか。
これまでは主に始発終着駅間かつ列車限定での輸送を行っていましたが、今後は途中駅での取り扱いも含め、新幹線全列車に対象を拡大する方針です。
大口輸送に関しては今後、東北エリアから首都圏へ土休日を除く毎日輸送を実施。また秋田・山形・上越新幹線など各方面、そして特急列車を含め、ネットワークを拡大、輸送サービスを展開していきます。
具体的には「2025年4月18日から新青森~東京駅間で新幹線荷物輸送の大口定期運行サービスを開始」「2025年秋から専用列車による更なる大口定期輸送を提供」の2点が直近のサービス展開として挙げられています。
4月18日からの定期運行は毎週金曜日、東北新幹線臨時列車 E5系「はやぶさ50号」(新青森8:29発→東京11:44着)を使用し、1~2号車を荷物、3~10号車を旅客にあてます。申込は輸送日の7営業日前まで、金曜日以外の輸送にも今後柔軟に対応するといいます。
定期運行に向け新幹線を改造
鉄道ファンの多くが注目するのがこちら。JR東日本はE3系新幹線1編成の改造に着手します。対象編成は全号車を荷物輸送専用とするため、座席のない床面フラット化改造が施されます。
荷物専用のE3系は、運行時はE5系「やまびこ」と連結される予定。2025年秋の東北新幹線盛岡~東京間上り列車での平日定期運行を皮切りに、車両基地を活用した100箱単位、最大で1,000箱程度のさらなる大口輸送を定期化する方針です。ダイヤは「正午前に盛岡新幹線車両センターを発車、午後に東京新幹線車両センターに到着」で検討中。
はこビュンサービス概要
【輸送対象】
北海道・東北・秋田・山形・上越・北陸の各新幹線、在来線特急及び在来線
【輸送単位】
1箱単位の小口~大口輸送まで
※今回、東北新幹線の100箱単位事業化に着手
【輸送料金(基本)】
◆法人向け「はこビュン」
契約先はジェイアール東日本物流。ファーストマイル・ラストマイル分は含まれず、料金は荷量や頻度、輸送区間などに応じて変動。
大口・車両貸は、E5系新幹線1号車を利用する場合(大口・車両貸は2025年4月18日からの大口定期運行サービスの想定料金)
◆法人・個人向け「はこビュンQuick」
契約先はジェイアール東日本物流。直接駅カウンターへ荷物を持ち込んで届けてもらうサービスです。
予約受付に関しては、これまで商談や電話・メールなどで対応してきました。今後、法人向けは2025年4月から、個人向けは2025年度内にJRE MALLの予約システムを活用することで利便性を高めていく方針です。
(画像:JR東日本)