英語の映画に触れてみよう~#2 NHK「基礎英語」シリーズ講師のゲーリー先生がおすすめ作品を紹介!【基礎英語 in English】
英語の勉強に役立つ、名作映画を紹介!
英語の勉強を「洋画(英語の映画)を字幕なしで観たい」というモチベーションではじめる方は多いといいます。
また、英語の勉強方法として「洋画」を取り入れている方も身近にいらっしゃるのではないでしょうか。
NHKテキスト『中高生の基礎英語 in English』の連載「GARY’S THEATER」では、映画好きの講師、ゲーリー・スコット・ファイン先生が、自身が中高生だった1974年~1980年の間に公開された英語の映画の中から、特に思い入れのある作品を紹介していきます。
今回は夏休みに向け、その連載第2回です。NHK「基礎英語」テキストシリーズの8月号は前期の総復習ができ、夏休みからの英語学習スタートにも最適です。勉強の合間に、一人でも、家族の方とでも、映画を楽しんでみてくださいね。
ゲーリー先生より
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映画は言語習得への入り口です。新しい語彙を身につけたり、シャドーイングでリスニング力やスピーキング力を磨いたり、読むスピードや読解力を高めるために字幕を使ってみることもできます。
映画を楽しむうち、気づかない間に英語をものにしている自分にはっとするかもしれません。
このコラムでは、言語、文化、そしてエンターテインメントを楽しく学んでもらえるよう厳選した英語映画の名作を取り上げていきます。
ここで取り上げる映画が、皆さんの好奇心を刺激し、皆さんを別世界へと誘い、そして「英語を習得したい」という原動力になれば幸いです!
#02 『ジョーズ』
JAWS
私が中学1年生を終えようとしていた1975年6月、「夏は映画がヒットしない」と言われていたそれまでの定説を初めて覆す、大ヒット作が封切られました。
文字どおり訳すと「顎(あご)」を意味する「ジョーズ」は、米国ニューイングランド地方の小さな町を恐怖のどん底に陥れる人食いザメを退治するため、仕事も性格もバラバラな3人の男たちが海へ出ていくという、スリラー映画。当時はまだ駆け出しで無名のスティーブン・スピルバーグ監督がメガホンを取った本作の撮影では、恐怖感を与えるはずのホホジロザメの等身大ロボットが頻繁に故障するなど、数えきれないほどのトラブルに見舞われました。予算は超過、撮影期間も大幅にオーバーし、サメの登場時間も予定よりカットせざるを得なくなるなど、若きスピルバーグは「もう二度と映画を作れないかも」とさえ思ったのだそう。
しかし、サメがあまりその姿を見せなかったことがかえって観客の緊張感を高め、その演出力が高く評価されたスピルバーグを、未来の巨匠の座へと押し上げることになります。
卓越した編集技術と人食いザメの存在を強く印象づける音楽も手伝い、史上最も優れた映画作品のひとつとして歴史にその名を刻んだ「ジョーズ」。この映画の公開後数年は、海に入ることを怖がる人が増え、海水浴客が激減したんだとか。かく言う私も、その1人でした。
◆翻訳:鈴木紀子
講師
ゲーリー・スコット・ファイン
東海大学政治経済学部・語学教育センター教授。
アメリカ、オレゴン州出身。主な研究テーマは、エンターテインメントメディアを通じた第二言語習得。「ニュースで英会話」出演、「リトルチャロ2」「プレキソ英語」(すべてNHK Eテレ)監修。
著書は『ついつい出ちゃう!日本人のかんちがい英語』(高橋書店)ほか。全国高等学校英語スピーチコンテスト審査員などを務める。趣味は、映画やテレビの小道具収集。