「女性アスリートへの服従命令」「人質事件のTV生中継」実話サスペンス『TATAMI』&『セプテンバー5』の衝撃
2023年の東京国際映画祭で審査委員特別賞と最優秀女優賞の2冠を達成した話題作『TATAMI』が、2025年2月28日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国順次公開となる。
かつて日本で起こった、ある柔道選手に襲いかかった事件にインスパイアされた『TATAMI』。そしてもう1本、1972年のミュンヘンオリンピックで実際に起きた人質事件を中継クルーの視点から描いた映画が『セプテンバー5』だ。
“世界を揺るがした事件”をテーマに、社会性とエンタメ性を両立させスリリングに描いた2作の注目ポイントとは? ともに2月公開の注目作『TATAMI』と『セプテンバー5』の見どころを紐解いていこう。
女性アスリートへの“政府命令”とは?『TATAMI』
ジョージアの首都トビリシで開催中の女子世界柔道選手権。イラン代表のレイラ・ホセイニと監督のマルヤム・ガンバリは順調に勝ち進んでいく。だが、金メダルを目前に、政府から敵対国であるイスラエルとの対戦を避けるために棄権を命じられる。自分自身と人質に取られた家族にも危険が及ぶ中、怪我を装って政府に服従するか、自由と尊厳のために戦い続けるか、ふたりは人生最大の決断を迫られる……。
2019年、日本武道館での世界柔道選手権で実際に起こった事件をベースにした『TATAMI』。映画史上初めて、イスラエルとイランをルーツに持つ2人が共同で演出を手がけた社会派ドラマだ。スポーツ界への政治介入や中東の複雑な情勢、イラン社会における女性への抑圧を背景に、アスリートたちの不屈の“戦い”を臨場感あふれる映像で描き出している。
そんな本作の監督を務めたのは、『SKIN 短編』(18)で第91回アカデミー賞短編実写映画賞を受賞し、A24配給の長編版も発表したイスラエル出身のガイ・ナッティヴと、『聖地には蜘蛛が巣を張る』(22/アリ・アッバシ監督)で第75回カンヌ国際映画祭女優賞を受賞したザーラ・アミールだ。
手に汗握るサスペンスと、主演のアリエンヌ・マンディが実際の柔道選手を相手に見事な技を披露する迫力の柔道アクションが見事に融合した本作。一瞬たりとも目が離せない、人生最大の“決断”を描くポリティカルスポーツエンターテインメントに仕上がっている。
『TATAMI』は2025年2月28日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー
新場面写真解禁!誇りを奪う理不尽な命令に選手は……
『TATAMI』からは、新たな場面写真も到着。最初の一枚は、主人公のレイラが久しぶりに再会したイスラエル代表のシャニ・ラヴィ(リル・カッツ)と談笑する場面を捉えたものだ。実はこの時、微笑みを交わす2人の姿を監督のマルヤムはいぶかしげに見つめていた。
そして見事な勝利を収め、畳の上で両手を掲げて喜ぶレイラの姿も。初戦から快進撃を続けるレイラは、この後イラン政府からの「棄権せよ」という理不尽な命令に激しく葛藤することになる。
さらには、レイラが順調に勝ち上がれば対戦することになるシャニ・ラヴィをとらえたカット。この後、イスラエル選手との対決を前にしたレイラは、どんな決断を下すことになるのか。気になるその先の顛末を、劇場の大スクリーンで目撃しよう。
世界に生中継されてしまった人質事件を描く!『セプテンバー5』
本作は1972年のミュンヘン五輪で発生した武装組織による人質事件を、TV中継を担った放送クルーたちの視点でスリリングに描き、賞レースの台風の目となっているノンストップサスペンスだ。
1972年9月5日、パレスチナ武装組織<黒い九月>によるイスラエル選手団9名が人質にとられる事件が発生。全世界が固唾を飲んで見守った歴史的なTV中継を担ったのは、ニュース番組とは無縁のスポーツ番組の放送クルーたちだった。
過激化する武装組織の要求、機能しない現地警察、錯綜する情報……。中継チームが極限状況で選択を迫られる中、刻一刻と人質交渉期限は迫っていく。立て籠もった犯人たちは自分たちの報道を見ている。刻一刻と変わる状況の中で、“伝えること”を使命とする4人はどんな決断を下すのか――。
報道の自由、事件当事者の人権、そのとき報道は何ができるのか? SNSの普及で人類全体がメディアになり得る現代。世界各地で続く紛争や虐殺、驚きの結果をもたらしている大統領選に混迷する日本政治を含め、メディアによる“報道”のあり方をも問う衝撃作だ。
『セプテンバー5』は2025年2月14日(金)より全国公開