清水エスパルスユースが5連勝!プレミアリーグ復帰の鍵を握る攻守の注目選手をピックアップ<プリンスリーグ東海>
清水エスパルスユースがプリンスリーグ東海で波に乗ってきた。リーグ序盤はけが人続出などで調子が上がらなかったが、ここにきて5連勝。ようやくエンジンが掛かってきた。
リーグは残り7試合。1試合多く消化している首位の浜松開誠館とは勝ち点2差で、清水ユースは暫定4位につけている。
元日本代表の沢登正朗監督は「やりたいサッカーができている。自分たちの力を出し切れば、結果につながることは彼らも分かってきている。あとは決定力だけだ」と表情を引き締める。
今回は、プレミアリーグ復帰に向けて鍵を握りそうな、ジュニアユースからの生え抜き2人を紹介する。
FW田代寛人
瞬発力を武器にする点取り屋。第13節の名古屋グランパスユースB戦で5試合ぶりに先発出場し、先制点と追加点を挙げた。
持ち味の一端を披露したのは前半20分の1点目だ。最終ラインの背後に抜け出してドリブルでボックス内へ。DFの寄せよりも一瞬早く右足を振り抜き、ネットを揺らした。
田代のスタメン落ちが続いていたのは、前線でのプレスに課題を抱えていたから。ひたむきに相手を追いかけ回すことをおろそかにしていたという。
名古屋ユースB戦のスタメンは、ライバルFWの故障で期せずして巡ってきた。「ずっと悔しい思いをしてきて、今日がラストチャンスだと思っていた。思い切ってやろうと。今日は守備でも見せることができたと思う」。試合後は結果を残すことができた安堵感と喜びが入り混じった。
50メートルは6秒2。「それほど速くないけど、15メートルまでの初速ならチームの中でも自信がある」という。貪欲にゴールへと向かうストライカーらしいストライカーだ。
小学4年生の時に清水エスパルスのジュニアチームに合格して以来、エスパルス一筋。オレンジの魂は体中に宿っている。
「ノボリさん(沢登監督)からは『3点取れ』と言われていたけれど、1点足りなかった」と苦笑いした後、「自分のゴールでチームをプレミアに昇格させたい」と力強く宣言した。
田代の復調はチーム内に大きな刺激を与えそうだ。
DF中山温樹
昨年ボランチからコンバートされ、全試合フル出場中のセンターバック。ボールさばきに長け、「ビルドアップの質」を生命線にするチームにとって欠かせない存在となった。
守備時においても、クレバーなプレーが印象的だ。周りを動かしながら、鋭い読みでボールにアタックする。奪った後に一発で相手のサイドバックの裏を突くロングキックにも自信があるという。
「自分は足も速くないし、フィジカル面が課題。短所を消すためには、頭を使ってプレーするしかない」
かつては黙々とプレーするタイプだったが、キャプテンに就いてからは周囲への厳しい声掛けも。「沢登監督からは『周りを巻き込め』と言われている。個人では難しくても、組織で守れるように意識している」
小学時代は静岡市のキューズFCに所属し、全日本U-12選手権に出場。清水ジュニアユース時代はU-15日本代表に選出された。
オレンジのユニホームに袖を通して6年目。アカデミーで集大成の時を迎えている。
「僕たちが高校1年の時にプレミアリーグから落ちたので、後輩たちはプレミアの楽しさや強度を知らない。プレミアとプリンスでは、観客数もスタジアムの雰囲気も全然違う。後輩たちに味わわせてあげたい」。プレミア行きのチケットを置き土産にできるか。