<シンママの甘え?>また来た!「夕飯足りるかな……」いきなり預けるのやめてほしい【まんが】
これはつい最近の話です。私はミサキ、40代中盤のワーキングママ。現在は正社員として働いています。家族は夫と10歳の娘(マユ)、そして実父。数年前に母が他界したのを機に、私の実家にて父との同居を始めました。夫は穏やかな性格で父ともうまくやってくれているし、父も孫であるマユにとても優しくしてくれています。何よりわが家は共働きなので、日中は家にいません。そんなときに父がマユと一緒にいてくれると、とても頼もしく、ありがたく感じています。
私は父がいてくれるからこそ正社員として働けていると思っていますし、父も「母さんがいなくなって寂しいし、ひとりでやっていけるのか不安があった。いま子どもや孫たちと一緒にいられるのは嬉しい」と言ってくれます。 いずれ父がもっと年を重ねたら、老後の面倒も見るつもりです。私たちはWin-Winの関係が築けているように思えます。しかし最近になって、私たち家族に悩みのタネができてしまいました。
ソノミちゃんは私の姪っ子。妹・リカの娘で小学生です。リカは2年前に離婚をして、現在はシングルマザーとして奮闘中。離婚をしてからというもの、リカはソノミちゃんを時々わが家に預けるようになりました。リカの家とわが家は少し距離があって、同じ学区内ながら端と端。しかし子どもの足でも歩けないほどの距離ではないため、ソノミちゃんはいつも歩いてわが家にやってきます。リカからキッズ携帯を持たされてはいますが、すこし心配です。時にはソノミちゃんが泊まっていくこともあります。 前は月に2~3回程度でしたが、最近では3日に1回と預かる頻度が高くなり、わが家にもやや負担になっています。経済的に……というよりは、夕飯を突然多めに作らなくてはいけなかったり、「今日はソノミちゃん、来るのかな?」とヤキモキしたり。「事前に連絡してほしい」とモヤモヤはしますが、きっとリカも忙しいのでしょう。
しかもリカはシングルマザーです。周りの助けが必要なタイミングもあるはずです。10歳も歳が離れた妹のリカは、私にとっては守ってあげたい存在。だからこそ大変なときには手を差し伸べてあげたいのです。
(私としては困るけど、リカを助けてあげたい気持ちもある。ソノミちゃんの居場所を奪うことはしたくないし……どうしたらいいのかな)私はぼんやりと考えながら、なかなかまとまらないハンバーグのタネをいつまでもぐずぐずとこねていました。
離婚を経験して、1人の子どもを抱えながらシングルマザーとして頑張っているリカ。仕事も育児も1人で……となると、大変なのは当然でしょう。だからこそ助けてあげたいという気持ちはもちろんあります。リカも私たちを信頼しているからこそ頼っているはずです。ソノミちゃんもいい子ですし、家で面倒を見てあげたい気持ちもあります。しかし私たち家族にとって負担になる場合があるのも事実です。このモヤモヤをどうしたらいいのでしょうか。
相談なく近所に引っ越し?今まで以上に預けるつもりなんじゃ……
その日父から告げられたニュースは、私にとってあまりにも寝耳に水な話でした。
「お父さんの家の近くにあるアパートに引っ越すつもりです。細かいことが決まり次第また連絡するね」
今後リカたちが近くに引っ越してくるということは、今まで以上にソノミちゃんを預かる機会が増えるということでしょうか。私の負担も大きくなってしまうので、事前に相談してほしいです。
ソノミちゃんを預かるなら、こちらにも都合というものがあります。当然のようにアテにされても困るのです。 ソノミちゃんがわが家に来たため、引っ越しについてそれとなく聞いてみることにしました。
マユは「近くに引っ越すの? 今よりもっと遊べるね!」と嬉しそうにしています。ソノミちゃんのはっきりしない様子に、それ以上聞くのはやめました。やはりリカの返事を待つ必要がありそうです。
引っ越しの話はどこまで進んでいるのでしょうか。私だって当事者であるはずなのに、相談もなしに計画を進められているようでいい気持ちはしません。
のほほんとする父に、私は余計にヤキモキしてしまいました。
突然わかったリカの引っ越しの話に、私はヤキモキが止まりません。こちらが気にかけて連絡をしているのに、「決まったら教える」のひと言だなんて……。もちろんリカやソノミちゃんを純粋に心配する気持ちもあります。しかし一方で「ソノミちゃんをわが家に預ける予定のくせに、事前に何も相談しないなんてひどい」とイライラもしてしまうのです。このままソノミちゃんを預かるのが当たり前になる前に、姉として妹の振る舞いに対して「相談してほしい」と指摘するべきなのでしょうか。
姉として妹へ説教「当たり前だと思わないで!」ヤバ言いすぎた?
父が止めるのも聞かず、私は怒りに任せてリカにメッセージを打ちました。「ちょっと話したいことがあるんだけど。今夜うちに寄ってもらえる?」
リカが家に来たのは20時半ころでした。ソノミちゃんは既にうちに来ています。私たちはリビングに3人で座りました。娘たちは2階の部屋で遊んでいます。
リカはハッとした表情を浮かべました。しかし私は構わず続けます。ソノミちゃんを預かるのはこちらにとって負担なのです。
「言いたくないけど、シングルマザーだからって、うちがソノミちゃんの面倒を見るのを当たり前に思ってほしくない」父はただオロオロしています。
リカは黙って立ち上がりました。父の表情がくもっています。そしてソノミちゃんに「帰るよ」と声をかけると、そのまま帰ってしまいました。静かで、毅然とした態度でした。
黙って去っていくリカ。さすがに私も言いすぎたかも。後悔が胸をよぎります。ソノミちゃんも何かあったことを察したのか、不安そうな顔をしていました。これが私の望んだ結果なのでしょうか。私も不安になりました。
妹の非常識な振る舞いを姉として律したつもりでいましたが、もしかしたら強く言いすぎたかもしれません。とはいえ私は間違ったことは言っていないつもりです。シングルマザーが大変なのはわかります。助けたい気持ちだってあります。けれどそれを当たり前に思って、なんの相談もなく物事を進めてしまう姿勢は困ります。でも、リカの見たことない表情を見て、言いすぎたと反省しました。でも、言った言葉はなかったことになりません。お互いの負担を減らすためにはどうすればいいのか、リカにはちゃんと相談してほしかっただけなのです。
「さみしい……」イトコの様子を見に行った娘から、衝撃の報告!
マユが「今日はソノミの様子を見にいってくるから」と言って出かけた日。私は仕事が休みだったので、ソワソワした気持ちでマユの帰りを待ちました。マユは私の予想よりもずっと遅くに帰ってきました。
私は心底驚きました。
マユから聞くソノミちゃんの様子は、私の家に来ていたソノミちゃんとは別人でした。リカもいっぱいいっぱいなのでしょう。ソノミちゃんのことまで気が回らなくなっているようです。たしかにマユとソノミちゃんが通う小学校では、メールで欠席連絡ができます。私は思わず黙り込んでしまいました。あの素直で可愛らしいソノミちゃんがそんなことをするまで追い詰められているなんて信じられません。 心配そうなマユに、私はかける言葉が見つかりません。マユはさらに言葉を続けます。「そんなの悪循環じゃない」と叫びたくなるのを押さえて、私はマユに提案しました。
マユはそのまま黙り込んでしまいました。ソノミちゃんは周りに気が遣える心の優しい子です。そんなソノミちゃんがそこまで思いつめていると知って、マユも歯がゆく思っているのでしょう。私もかける言葉が見つからず、沈黙の時間が流れました。
あんなに明るかったソノミちゃんがきちんと学校に行けていないと聞いて、私は驚いてしまいました。環境の変化は子どもにとってとても大きな影響を及ぼすのでしょう。もし私がリカに「いつでもソノミちゃんを預けてね」と言っていたら、状況は違ったのかもしれません。しかし「シングルマザーだから」という理由でリカの求めていることを全て受け入れるのもなんだか違う気がするのです。私たち大人は子どもにどんなことをすべきなのか、早急に考えなければいけません。
【妹の気持ち】娘を守りたい!強くなりたい!けど……正直しんどい
私はリカ、シングルマザーです。元夫とは2年前に離婚しました。娘のソノミには苦労ばかり掛けてしまっているけれど、親子2人で寄り添いながらなんとか生きています。同じ学区内に姉家族と父とが同居しているので、そちらの家にソノミがお世話になることも。申し訳ないとは思いつつも家事に仕事にと生活があまりにも忙しく、いつもお礼が後回しになっています。いつか父にも姉家族にも、きちんと「ありがとう」を伝えないといけないとは思っているのですが……。
元夫と離婚したのが2年前。パートとして働いていた仕事を正社員に切り替えて娘1人を育てていますが、シングルマザーとしての生活は想像以上に忙しいものでした。元夫は家事も育児にもノータッチだったため「これなら夫がいてもいなくても同じ」と考えての離婚。協力してくれない元夫がいなくなって精神的な負担は少し和らいだものの、生活が楽になったわけではありません。
最近では「考えが甘かったかも」という気持ちがチリチリと心をむしばみ始めています。
「うん……いつもごめんね」私がそう言うと、「ううん! 私マユちゃんと遊ぶの好きだし、ミサキちゃんのご飯も好きだもん」とソノミは嬉しそう。健気なわが子の様子にはいつも涙が出そうになってしまいます。もちろんソノミを受け入れてくれている姉(ミサキ)や父にも頭が下がる思いです。最近では仕事がさらに忙しくなってしまい、頼ることも多くなってしまっていました。
これでは余計に迷惑になってしまう……と考えた私は、「せめてソノミが夕飯後でも1人で帰れるように」と、父たちの家から徒歩5分のところにアパートを決めました。 姉のミサキからは引っ越しについていろいろと聞かれましたが、詳しいことを話したらまた気を揉ませてしまうかもしれません。仕事が立て込んでいたこともあり、私は事後報告という形を取りました。
私なりに「必要以上には姉家族に頼るまい」と頑張ってきたつもりです。それなのに先日……。
ショックでした。私は私なりに精一杯努力し、気を遣ってきました。それでも至らないと言われてしまうのはあんまりです。それに、ソノミを厄介者のように言われたくありません。
外へ出て気が緩んだのか、私の目からは涙がぽろぽろとこぼれています。ハッと我に返った私は、懸命に明るい声を出しました。
ずっと、姉家族と父の助けを借りっぱなしになっていることを私なりに気にしていました。そんな気持ちで引っ越しをしたことが、姉夫婦にとって「また負担がかかる」と煙たがられているとは思いませんでした。「シングルマザーだからって当然のように甘えないで」と言われたような気がして、とても悔しいです。私だって楽をしたくて頼っているわけではないのに。私だけならばまだしも、ソノミにまで”邪魔者”というレッテルを貼られるわけにはいきません。私は何としてでもソノミだけは守ります。
【姪っ子の気持ち】「ママを悪く言わないで!」私がガマンしなきゃ
私の名前はソノミ。小学4年生です。パパとママは私が2年生のころに離婚をして、私は今、ママとの2人暮らし。ママは離婚してからお仕事が忙しいみたいで、朝早くから夜遅くまで働いてくれています。ママの帰りが遅い日には、私はじいじの家に行くこともあります。イトコのマユちゃんやおばのミサキちゃんとも会えるので、私はじいじの家に行く日が大好きです。でもママとミサキちゃんがケンカをして、じいじの家には行かなくなりました。じいじの家に行くのをやめてから、私はいろいろと困ってしまっています。
ママがバタバタして家を出ていきました。私は時計を見ると、まだ6時。学校に行く準備をするには早すぎます。
私は飛び起きて、あわてて学校に向かいました。ママが用意してくれたご飯も食べられません。学校に着くともちろん大遅刻。先生には「夜は早く寝なさいね」と注意されるし、お友だちにはクスクス笑われるし、恥ずかしいです。
しかも最近は、仲のいいお友だちとも遊べなくなりました。
放課後に私と遊んでくれる友だちはいなくなってしまいました。私は1人で帰り、暗い部屋でママが帰ってくるのをじっと待ちました。
「何かあったら連絡して」とママが買ってくれたキッズ携帯は一度も使っていません。ママが私のために頑張ってくれていることはよく知っています。心配をかけたくないのです。学校へ行ったら、またママが悪く言われるかもしれない。そう考え始めたら学校には行くことができなくなってしまいました。 ママのふりをして学校に欠席メールを送ります。これなら先生から怒られないでしょう。念の為、送信メールは消してしまいました。悪いことをしているのはわかるけれど……。
遅刻ぎみになってしまったせいで、学校に行っても先生に叱られてしまいます。友だちからも仲間外れにされるようになってしまいました。ひとりぼっちが寂しいときは、マユちゃんやミサキちゃんに会いたいなと思います。ミサキちゃんが作ってくれたハンバーグを、マユちゃんと一緒に食べたいです。だけど私がじいじの家に行ったらまたミサキちゃんとママが喧嘩してしまうかもしれません。私は今日も、アパートでママの帰りを待つことしかできません。
【私の気持ち】「ちゃんと向き合いたい!」不満は溜めず……お互いにホンネで!
「シングルマザーだからって助けてもらうのが当たり前だと思わないで」と注意したところ、その後リカからの連絡は途絶えてしまったのです。私は姉としてアクションを起こすべきだと考えました。
私たちはぎこちないながらも、軽い雑談から入りました。
私がこう切り出すと、リカはムッとした表情を浮かべました。
リカのすごい剣幕に、私は圧倒されそうになりました。しかしここで引き下がったら呼び出した意味がありません。リカが激怒しているからこそ、こちらは冷静でいなければいけません。私は一度だけ深呼吸をすると、しっかりとリカに向き直りました。
「何もかもちゃんとできていない」リカはそう言いました。リカなりに精一杯やってきたのでしょう。やつれた顔から疲れが見えます。妹やソノミちゃんを追い込む結果になってしまった現状を、どうにかしたいのです。 リカの目からは怒りの色が消えたように見えました。私は少し前から考えていたことをリカに話します。
転職はさすがにハードルが高いだろうなと思いましたが、実はリカも転職を考えていたようでした。1人で仕事と育児をこなすのですから心身ともに大変なのは覚悟しているようです。しかし何事にも限度というものがありますから。シングルマザーであるかどうかは関係なく、より良い職場を求めるのは当然の権利だと思うのです。
リカと話し合いの場を持って、わだかまりを解くことができて良かったです。お互いどんなに歳を重ねたとしても、リカは私の大切な妹。もちろんできることに限度はありますが、姉として可能な限りは支えてあげたいのです。もちろん妹の娘のソノミちゃんに対しても同じ気持ちです。ソノミちゃんもマユと一緒なら、遅刻することなく学校に行けるでしょう。リカも安心して転職活動に専念できるはず。ひとまず今は姉として、またおばとして、リカの転職活動がうまくいくことを願うばかりです。
期限付きで同居スタート!前に進む私たち「支え合っていきたい」
わが家で一緒に暮らすようになってから、ソノミちゃんは以前のように遅刻をしなくなりました。先生からも「最近は時間通りに登校できて偉い」と褒められた、と話してくれました。お友だちにからかわれることもなくなり、以前と同じような仲良しに戻れたそうです。 マユはソノミちゃんと一緒に暮らすようになったことで、「妹ができたみたい!」と大はしゃぎ。2人が一緒に宿題をしたりおやつを食べたりしている様子を見ると、私もなんだか嬉しい気持ちになります。父は「昔のミサキとリカを見てるようだ」と目を細めることも。
楽しい日々が続いていたある日、リカから電話がきました。
私はその電話を受けて大喜び。ひとりで「やった!」と声を出してしまいました。父に伝えたら、父も大喜び。私たちはリカが来るのを首を長くして待ちました。 思わず玄関で2人でハグしてしまいました。父はそれをニコニコと見ています。
喜ぶ私たちの声を聞いて、ソノミちゃんが駆け寄ってきました。
「嬉しいけど……もうこれでソノミと一緒に生活するのは終わりなんだね」ソノミちゃんと暮らして、マユも楽しかったのでしょう。しみじみと話しています。
ワンワンと泣き出す2人。すると父が冷静なひと言。「お父さん空気読んで」と思わず言ってしまいました。 今でもソノミちゃんがわが家に来ることはあります。しかし転職してからというもの、リカの休みの日にマユがリカの家に行く日も増えました。3人で一緒にお菓子づくりをしたり、ゲームをしたりと楽しんでいるようです。時には父もマユと一緒に行って、なんと4人で楽しむこともあるのだとか。私がリカにお礼を言うと、「私はもっと助けてもらったから」とにっこりと笑っていました。
リカの生活に協力するつもりが、結果的に私たちまで大いに助けられることとなりました。子どもの環境は、大人の環境に大きく左右されてしまいます。私たち大人は子どものことを考えながら、できるだけよい環境を用意してあげなければと思います。 しかし忙しい大人が増えたからこそ、なかなか難しいこともあるはずです。今回のように時にはお互いに助け合って生活することが大切なのかもしれません。これからもリカとは助け合いながら生活ができたらいいなと思います。