足慣らし、行こうよ! 岩手・三陸沿岸最高峰「五葉山」山開き 春の芽吹き、爽やか
釜石、大船渡、住田の3市町にまたがる三陸沿岸最高峰・五葉山(標高1351メートル)は4月29日、山開きした。リアス海岸や奥州山系の山並みなど山頂から望む雄大な景色、原生林や花々の群落など標高によって異なる表情を見せる豊かな自然が魅力。待ちわびた登山者はこの時期ならではの眺望や芽吹きを楽しみながら爽やかな汗を流している。
両市境の赤坂峠登山口で安全祈願祭があり、五葉山神社の奥山行正宮司が登山道を清めて無事故を祈った。3市町村で組織する五葉山自然保護協議会長の渕上清大船渡市長が「皆さんに快適に登山してもらえるよう、登山道の適切な維持管理や自然の保全保護などを行っていく」とあいさつ。山頂を目指して歩き出した登山客に「安全第一で楽しんでください」と声をかけた。
間隔を確保しながら列を作って、思い思いのペースで山歩き。ツツジやシャクナゲの新芽、新緑を眺めたり、自然を楽しむ姿も見られた。登山仲間と訪れた釜石市の青柳あや子さん(73)は「水場や避難小屋があって安心で、登りやすい山。花はまだだろうから、風や空気、おしゃべりを楽しみながらゆっくり行く」とにっこり。山田町の佐々木千恵さん(73)、宮古市の畠山亮子さん(69)と顔を合わせ、「そちこちの山に遠征するから、きょうは足慣らしだね」と元気だった。
五葉山は山頂まで比較的緩やかな道が続き、家族連れや年配者、初心者でも登りやすい。山開き前に楽しんだ人もいて、「上の方に雪が残っていた」「雪はないけど、ぬかるんでいた」と情報交換したり。近年は雪が少ない傾向で、季節の進み具合も感覚的に早まっている。
この日も例年の服装では汗ばむ陽気に。暑さを感じて袖をまくったり、半袖姿の人もいた。そうは言っても、天気の急変など何が起こるか分からないのが自然。山岳関係者は「装備はしっかりと。自分の体力に合わせて登ってほしい。山のマナーも忘れずに」と呼びかける。
5月のゴールデンウィーク(GW)期間のほか、ツツジやシャクナゲが咲く5~7月にかけてもにぎわいが予想される。