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70年前の和竿でハゼ釣りを堪能【和歌山・紀ノ川河口】釣趣を楽しみながらマハゼ16匹を手中

TSURINEWS

70年前の和竿でハゼ釣りを楽しんだ(提供:TSURINEWSライター・牧野博)

和竿は竹のしなやかさと独特の重みが魅力で、カーボン竿にはない自然な感触が味わえる。現代では入手が難しいものの、その丁寧な作りと実釣性能は長年使い続けられる強みがある。今回は、70年前の和竿でハゼ釣りを行い、カーボン竿との違いや和竿のメンテナンス、実釣での扱い方について紹介する。

和竿(竹竿)とカーボンロッドの特性の違い

釣り竿の素材は、古くは全て竹だった。今はカーボンが主流である。私が実際にハゼのミャク釣りで使ってみた和竿の感触をカーボンロッドとの比較で表現するなら、反発力(素材の復元力)は弱いがしなやかでよくしなり、竿全体の力でじわっと魚が浮いてくるというイメージだろうか。

一方で、竹竿は重く太く、継ぎ竿であるため振出竿のカーボンロッドに比べてセッティングに手間がかかる。

和竿を手に入れるには

40~50年前なら、市中の釣具店でも時折、和竿の完成品が置かれているのを見ることができた。しかし今、和竿を新品で手に入れるには、かなりの労苦を要する。

和竿は竹素材のため量産できず、好みの調子や仕様に合わせた受注生産が一般的だ。江戸和竿や和歌山県橋本市の竹製ヘラ竿も伝統工芸品として受注生産が主流である。

中古市場やオークションで和竿が出回ることもあるが、古いものが多い。購入時は、口割れや補修歴、継ぎ目の固着やゆるみ、大きな傷やクラックがないかをよく確認すると良い。

これはカーボンやグラス竿の中古品を選ぶ場合も同じだ。和竿の場合、漆の擦れや変色などもあるが、実釣面であまり問題にはならないと思う。

和竿の取り扱いの注意

和竿は実釣用であり、延ばすときは穂先から順に、仕舞うときは元竿から順に継ぎを解くのが基本だ。

竹の側芽を互い違いにすると良いとされ、ガイドなしの竿は回しながら使うと良いとのアドバイスもある。振り出しが無く継ぎ数が多いため、セッティングや仕舞いは慎重に扱う。

根がかりした場合は竿をまっすぐにし、ゆっくり引っ張って外すのが安全だ。

ハゼ釣りに使える和竿

ハゼ釣りの盛んな東京には、ハゼ竿として昔から糸巻きの杭のついた中通しの和竿があるが、私は使った経験が無い。陸っぱりのハゼ釣りばかりということもあるが、一度機会があれば使ってみたいと思っている。

ほかには、淡水用の和竿(渓流竿、ヘラ竿で硬調のもの、コイ竿やヤマベ竿など)も使える。ミャク釣りなら、1~2号のオモリで穂先から2番、3番くらいが少し曲がるくらいの竿が使いやすいと思う。

和竿で釣ったハゼ(提供:TSURINEWSライター・牧野博)

70年前の和竿をハゼ釣りで使ってみた

私が使っている竿は、父が若いころに使っていた清流用の竿で、主にハス(琵琶湖水系のコイ科魚)狙いの竿だと聞いている。

4.5mの小継の10本継、2本仕舞いの竿で、替えの穂先がついている。父はこの竿で川のヤマベ(オイカワ)釣りを楽しんでいたようだ。

ほぼ60~70年前の竿になると思う。竿の仕様などから見て、京都で作られた竿ではないかと思うが、詳細は不明である。元竿には、臍曲(へそまがり)という竿名が朱の漆で書かれている。

紀ノ川河口で16匹のハゼを手中

10月14日、午後2時ごろから紀ノ川左岸、せせらぎ公園の護岸で竿を出してみた。今回は軽快に釣りたかったので、手元を抜いて4.2mで使用した。

道糸は穂先から50cmをナイロン2号、手元までをPE0.8号にし、オモリはミニL天の1.3号。先に5cmほどの2本撚りを結び、仕掛けは競技用キス7号の2本針で、ラインシステムはカーボンのヘラ竿と全く同じである。

当日は食いが渋かったが、ハゼの居場所を足で探しながら2時間ほどで12~13cmの型を中心に10匹ほど釣った。

和竿ならではの釣趣を楽しむ

いつものカーボン製(4.2m)に比べ、振り込みの軽快感や操作性でやや重さを感じた。道糸にPEを使っているが、ハゼが触った感触の伝わりは、細身のカーボンロッドより少しゆっくりだ。

しかし一度ハゼが針がかりすると、竿がしなやかに曲がり、そのままじわっと竿を立てるとハゼが浮いてきた。

約70年前の古い竿だが、ハゼが小さい時にはそれなりに、型が良いときにはそれに応じてしなやかに曲がる。ハス竿なので手元近くにパワーがあり、不安感は全くなかった。

その後、2kmほど下流の北島橋上流に移動し少し追加。喉元まで針を飲み込んでおり、食い込みの良さはカーボンロッドを上回っていた。この日は2か所で、ハゼ14cmまでを16匹。

11月中旬まではミャク釣りでチャンスがある。穂先にリリアンを取り付けて「和竿でミャク釣り」の再挑戦釣行を狙っている。

当日は16匹のマハゼをキャッチ(提供:TSURINEWSライター・牧野博)

釣行後の和竿のメンテナンス

和竿は丁寧に扱えば長持ちするが、良い状態を保つには曲がりの矯正などができる職人の手が理想的である。継ぎ目の割れや穂先の折れなどのトラブルは、竿師に相談するのが最善だ。

釣行後は各継ぎを取り外し、水拭きして陰干しする。軽いトラブルは自分で修理可能で、次回はリリアン交換も自分で行う予定だ。

和竿とカーボンロッドを使い比べて思うこと

竹竿はしなやかさや曲がり強さが特徴で、竿全体で魚を浮かせる力があるが、太く重く反発力が低い欠点がある。一方、カーボン竿は軽量で扱いやすく改良が進み、釣りが快適になった。

しかし、最近購入した新しいカーボン竿(33号4.05m)は硬調ながらも意外にしなやかで、しっかり振り込むと大きく曲がる。釣り道具としての「しなやかさ」は、操作性において重要な要素だと改めて感じた。

<牧野博/TSURINEWSライター>

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