ENJIN 大きなアクシデントも乗り越え、さらなる飛躍をファンと誓った4周年記念ライブ公式レポート
6月12日に2ndアルバム『Inception』をリリースしたENJINが、6月13日に渋谷・Spotify O-EASTで開催した『ENJIN 4th Anniversary LIVE ~Inception~』のオフィシャルレポートが到着した。
吉本興業所属の8人組ダンス&ボーカルグループENJIN(エンジン)が、6月13日、東京・Spotify O-EASTで結成4周年ライブ『ENJIN 4th Anniversary LIVE ~Inception~』を開催。6月12日にリリースされたばかりの2ndアルバム『Inception』収録のリード曲「Major」など最新曲の初パフォーマンスを中心に、19曲を熱唱。ひと足早いRYONOの誕生日をサプライズで祝うほっこりした場面も見られたが、パフォーマンス中にTAIGAが肩を負傷してステージを離れるという大きなアクシデントも。しかし逆境に立ち向かい、新生ENJINとしての再出発、そして更なる飛躍をファンと約束する、強い決意表明のライブを見せてくれた。
ENJINは、様々なジャンルで活動するA.rik (エーリック)、RYONO、TSUBASA、HYUGA、TOY、TAIGA、SOL、KYOからなる8人組グループ。2020年6月に結成され、パフォーマンスユニット・円神として活動してきたが、昨年末の熊澤歩哉の卒業を機に、2024年からグループ名表記をENJINと改め、ダンス&ボーカルグループとして新たなスタートを切った。6月12日には、新生ENJINとしての初アルバム『Inception』をリリースし、この4周年ライブを迎えた。
オープニングトラックの「Candy Poppin’」は、メンバーたちが横1列に並んだ形態からスタート。足を負傷しダンスに参加できないA.rikは、ステージ後方のDJブースに陣取り、音を操る。イントロでTSUBASAが「楽しむ準備はできてますか?」と客席を煽ると、メンバーたちがアクロバットで勢いをつけ、冒頭からステージ狭しと暴れまわりエンジン全開。3曲目の「Dreamland」まで、ポップチューンを固めて華やかに彩った。
トークを仕切るのは、新リーダーに就任したTOY。「今日は4周年記念日。記念日といえば、あの曲です、せーの!」と言うと、ファンが大きな声で「Anniversary」とタイトルコール。ハネるリズムに会場が揺れると、盟友OWVの本田康祐が振付を手掛けた爽やかさ溢れる「Superb Love」へ。「Highway In Blue」までを歌い終わると、TOYが「TSUBASAくん、大人になったね。シンメで目を合わせると、数年前とは別人」と、デビュー当時高校生だった末っ子の成長をじみじみと噛みしめた。「大人になる大事な時期をこのお兄ちゃんたちと過ごしてどうだった?」ときかれたTSUBASAは、「家族みたい。ブラザーだと思ってる」と、その関係性を覗かせた。
中盤には、A.rikもフロントへ。「皆さんが「Anniversary」で祝ってくれたので、今度は僕らがMU3E(ミューズ・ENJINファンの呼称)に向けて心を込めて歌いたい」と、一人ずつマイクリレーで歌を繋げる「YOU」から、バラードを2曲続けた。
「MERRY GO ROUND」からは、「もっともっと動いて、叫んで、暴れてもらいます!」とポップチューンの応酬へ。「Treasure」のサビでは会場中が一緒にタオルを振り回し、パーティーチューン「Overheeeeeeeeeat」ではKYO、TOY、SOLが華麗なアクロバットで盛り立てると、SOLの号令でファンも一緒に「燃えアガろうぜ!」の歌詞を叫び、一体感を作りあげた。
各人がさまざまな分野で活躍しているENJIN。舞台に出演しているメンバーも多い。「2024年にブレイクしそうな2.5次元俳優TOP10」ランキングで1位に輝いたRYONOは、「めちゃくちゃ嬉しいけれど、個人仕事とグループの両立はめちゃくちゃ大変。個人仕事が終わった後の遅い時間に、僕の自主練に付き合ってくれるメンバーがいるおかげでここにいる」と感謝を伝えると、TOYは、「メンバーの舞台をきっかけにENJINを知ってくれる人もいる」と感謝を返し、その言葉にRYONOは「年末には、2024年にブレイクした2.5次元俳優で1位を獲ります!」と宣言して会場を沸かせた。
ハイスピードのダンスチューン「Addicted」と、懐かしのデビュー曲「ENJIN」で会場を笑顔にすると、トークでデビューからの4年を振り返る。「このO-EASTは、2周年ライブの時と同じ会場。その時にも思ったけれど、世の中にENJINが浸透しているのを感じます」と言うTSUBASA。TOYが「オーディション番組で脱落してしまったメンバーが集まって、デビューしました。コロナ禍で思うような活動ができなかったり、1周年の初ライブで会場を埋められなかったり、周りのグループが大きくなっていく姿をテレビで見たり……、この4年間はくやしい思いが大きかった。そんな僕たちを支えてくださったのがMU3Eの皆さんです。なのに『MU3Eを大きなステージに連れていく』という約束を果たせないまま、メンバーが8人になり表記が変わり、困惑させてしまいました。今回この『Inception』ライブに込めたのは、新たな始まり、再出発という想い。ようやくMU3Eの皆さんをワンランク上の場所に連れていく準備ができました。何があっても応援し続けてくれて、本当にありがとうございます。これからもこの手を離さず、僕たちと一緒に歩んでください」と熱い想いを伝え「それでは聴いてください、『We Go』」と告げると、会場のファンから泣きそうな声が上がったが、TOYの言葉が歌詞になったようなこの曲がMU3Eの心に響き、歌い終わると大きな拍手が沸き起こった。
インターバルを挟んで新アルバム『Inception』のジャケット写真と同じ真っ赤な衣装に着替えて登場し、『Inception』の新曲を披露するセクションでラストスパート。ラテンのムードでスタートする「Killa」は、KYOが振付を手掛けた。TSUBASAがコレオを担当した「Danger」は、ENJIN史上最高のセクシーさを誇るパフォーマンスに。本編の最後を飾ったアルバムのリード曲「Major」は、激しさとセクシーさが同居。ハードなギターサウンドに乗ったシンクロパフォーマンスで、会場に最高潮の熱をまき散らした。
アンコールは、ダンスパフォーマンスで幕開け。TSUBASA、TOY、SOLのバチバチなヒップホップ、KYO、HYUGA、RYONOのイスを使ったセクシーなパフォーマンスで会場を沸かせると、ここでようやく「ENJIN」の途中から消えたTAIGAについて、「実は、肩を脱臼してしまった」という報告がなされた。TOYが「ダンスパフォーマンスはKYOのコレオで、TAIGAのパートも急遽KYOが踊った」と明かすと、KYOは「緊張したー!」と言いながらも「前半の3人はガツガツ系で、後半の3人はセクシーに」と説明。朝6時までスタジオにこもっていたKYOに、メンバーたちも付き合って作り上げたものだという。
トークで盛り上がっている中、サプライズでケーキが登場。6月17日に26歳を迎えるRYONOのためにMU3Eも全力で「Happy birthday To You」を歌ってお祝い。RYONOは「TOYくんが言ったように、ずっともっと素敵な景色を皆さんに見せたいという目標がなかなか叶えられずにいるけれど、今年こそもっと飛躍して、この夢を叶えたい。そのために僕もメンバーもMU3Eも一丸となって頑張ってくれたら嬉しいです」と伝えると、会場からの大きな「おめでとう!」の声で、RYONOがケーキにかぶりついた。
ひとしきり盛り上がると、TAIGAがステージに登場。「みんな、ごめんね」と言うと、泣き出すTAIGAをメンバーたちが囲む。この日のTAIGAの歌は絶好調だっただけに、本人も悔しかったことだろう。TOYが「着替えるときも号泣しながら、みんな、ごめーーんって言っていて」とバックステージでの様子を伝えると、SOLが「めっちゃ頑張っていたんですよ。ENJINが本気で変わるってなって」とこれまでの苦労を思い出しTAIGAを上回る号泣。そして「新曲の僕のパートを皆が歌ってくれているのを裏で聴いて、本当にいい仲間やなと思った。ありがとう」というTAIGAにSOLが抱きついた。
ラストの「Perfect Circle」は、TAIGAもA.rikと一緒にDJブースに入って参加。イントロで「4周年、本当にありがとうございます。これからもENJINを何卒よろしくお願いします!」とTSUBASAが叫び、ENJINとMU3Eがひとつになってフィナーレを迎えた。
最後にTOYが「この4周年ライブは一生思い出に残りそう。これを笑って話せるように、僕たちも頑張ります。これからも応援、よろしくお願いします! ライブは終わりますが、僕たちENJINはまだまだ続きますので、もっとギアを上げてMU3Eの皆さんをワンランク上のステージに必ず連れていきます。手を離さずついてきてください!」と会場のファンに力強く宣言すると、マイクを離して生声で「みなさん、今日も本当にありがとうございました!」と全員で手をつないでMU3Eに感謝を伝えてステージを降りて行ったが、最後にTAIGAがひとり残って、深い礼をしたのが心に残った。
新作アルバム『Inception』で大きくイメージチェンジを果たしたENJIN。TAIGAの負傷という大きなアクシデントがあったが、それをも乗り越える8人の新生ENJINの絆が見てとれた。そして、「MU3Eをワンランク上のステージに必ず連れていく」という決意と覚悟をひしひしと感じる、熱くてあたたかいライブとなった。
取材・文=坂本ゆかり