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香坂みゆきの生歌は想像を超えてきた【大阪ライブレポ】控えめに言ってチャーミング爆弾!

Re:minder

2025年07月05日 香坂みゆきのライブ「CANTOS」 開催日(大阪 Soap opera classics)

数十年ぶりの大阪ライブでアコースティックという初の試み!


香坂みゆきさんのイメージは昔も今も “おしゃれで歌がうまくて凛とした人” だ。1984年の資生堂秋のキャンペーンソング「ニュアンスしましょ」はエキゾチックで大好きだったなあ。現在は62歳。彼女のインスタやYouTubeでその活動や歌唱をチェックすると、自然体でかわいい。歌も相変わらずお上手だ。しかし甘かった。生歌は想像を超えてきた。懐かしいどころじゃない。彼女は今が一番すごい…!

おっと興奮で前のめりになってしまった。順を追って話そう。2025年7月5日、大阪・西天満のSoap opera classicsで開かれた香坂みゆきさんのライブ『CANTOS 香坂みゆきLIVE in 大阪』。外は36度の猛暑だが、3時間も前から、ライブハウスの入り口にはファンの方たちが並んでいた。もちろん満員御礼だ。

大阪でのライブは、ご本人も “詳しくは忘れた、何十年ぶり” というくらいに久々。今回は、4月19日に発売されたアナログ盤LP『BEST OF CANTOS』を軸に、1991年にリリースされた3枚のカバーアルバム『CANTOS』シリーズから、選りすぐりの名曲を披露するという。しかも、ギター・古川ヒロシさんと2人きりのアコースティック・ライブだ。幸いにも、香坂さんにライブ直前、ほんの少しだがインタビューが叶った。

“ギターだけで歌うのは初の試みなので、今日、本当にやってみないとわかんない。いろんな私が見れるかもしれませんよ!”

自然体の笑顔が本当にキュートだ。彼女のお話を交えながら、熱き2時間を振り返っていきたい。

南沙織の「春の予感」でスタート。ハチミツのような甘い声に驚愕!


18時、ライブが始まった。満席の会場、中央には、黄色い鉢巻きをした親衛隊の姿も。全員が身を乗り出すように待つなか、香坂さんが可憐な白いワンピースで登場!南沙織の「春の予感」でスタートだ。とろりとハチミツのように甘い声が心にまとわりつく。「たそがれマイ・ラブ」「上を向いて歩こう」「あの日にかえりたい」「いっそセレナーデ」「虹のひと部屋」など、歌詞がはっきり聞き取れる可憐ボイスで歌う昭和の名曲。彼女の声は、ノスタルジーに終わらないドキドキを運んでくる。特に男性の楽曲を歌うととんでもない色気を感じる!

香坂さんが “ボス” と呼ぶ、古川ヒロシさんのギターの包容力もまた、色気を倍増させる源となっている。2人のユーモアいっぱいのトークも楽しい。ズー・ニー・ヴーのカバー「白いサンゴ礁」では、スマホ片手に歌い、間奏ではスマホにマイクをあて、波の音を流すという粋な演出も飛び出した。リハーサルではうまくいかなかったそうで、曲が終わった後 “よかった~” と安堵をする彼女に、会場から拍手と笑みがこぼれた。

カバーも素晴らしいが、やはりこの日、最もボルテージが上がったのは「ニュアンスしましょ」。あのエレクトロな魅力あふれる楽曲のギターアレンジを担当した古川氏は “大変でした” とぼやくが、いやもうアコースティック・バージョン最高!体中でリズムをとりながら歌う香坂さんの声は、甘く、正確で、パンチがあって、控えめに言ってチャーミング爆弾!

やばいスゴイやばいスゴイ(興奮)!客席から熱い歓声が上がり、私も我を忘れ、手を振り回し声をあげてしまった。歌唱後、“この曲は写真撮っていいよって言い忘れた” と慌てて、冗談で “もう1回歌う?” と付け加えたとき、会場の誰もが “お願いします” と思ったはずだ。 時間の都合で叶わなかったが。

新曲「明日へ」に込めた想い


次の曲は「明日へ」。この日配信されたばかりの新曲だ。幸せなメロディーに透き通る声が乗る。空を見上げたくなるように、やわらかく軽やか、そしてちょっと切ない。歌詞は香坂さん、作曲は森真帆さん。会場には森さんの姿もあり、やはり内側から明るい光を出しているような人だった。ライブ後、森のX(旧:Twitter)を見ると新曲についてこう書かれていた。

「いつも美しくガッハッハと笑いながら、前を見て上を向いて突き進む、香坂みゆきらしい新曲です」


ああ、わかるなあ。香坂さんにこの曲について質問した際、彼女も嬉しそうに “真帆の送ってくれた仮歌が元気いっぱいで、これは前向きな歌詞しかつけられない!って(笑)。私たちの年代って、年の数だけいろんな思いや悩みがある。でも、人生がいつ終わるか分からないし、上を向いて歩きたい。そんな風に思える曲になればいいな” と言っていた。

自分の声があまり好きじゃなかったけれど


ライブは続く。「さらば恋人」「気絶するほど悩ましい」「グッド・バイ・マイ・ラブ」「空に星があるように」と名曲が続き、口ずさみながら聴き惚れる。とぅるんとしたキュートな声は昔と変わらない。この艶感、本当に独特。しかしライブ前のインタビューで、彼女はこう言っていたのだ。

香坂:昔は自分の声って、特徴がなくてあんまり好きじゃなかった。つるんとして童謡っぽいじゃないですか。ハスキーな声に憧れましたね。でも、最近歌い始めて、私の声が好きでいてくれる人がいる、ないものねだりはやめようって思えるようになりました。

「CANTOS」の曲も、今のほうがしっくり歌えるそうだ。そして、こんな嬉しいエピソードも語ってくれた。

香坂:『CANTOS』は1991年、28歳ごろの作品なんですけど、“囁くように低い音で歌って” と言われて、頑張って演じていましたね。それからいろんな経験をして、60を超えると頑張らなくても歌える。気持ちいいな、ああ、すごく幸せだなって思います。私は音符も読めないし、コードとか音楽的なことがあまりわからないので、気持ちよさだけですね。今回も古川さんに “これでどう?” って聞いて “オッケー、いいね” って。そんな感じで進んでいます。

香坂みゆきさん、リアルで “ニュアンス” の人だった…!それでもライブ観た印象は、音程もピッチも “絶対外さない” 人だった。ボイトレも60歳から始めたそうだし、いろいろビックリである。恐るべき音感!

「グッド・ナイト・ベイビー」で静かに響くやさしい声


59歳、還暦を前に “もう一度歌いたい” と思い、すぐ実行して今に至るという香坂さん。この羨ましいほどの行動力は性格らしい。

香坂:ずっと動いてないと死ぬ、みたいな、回遊魚って言われてて(笑)。少し時間があくと、すぐ旅行のチケット買っちゃう。考える前に動くんです。やれば、その次にやるべきことが出てくるからーー。

その天真爛漫な笑顔と “チケット買っちゃう” の言葉が、とてもしっくりきた。やりたいことはすぐする。好奇心いっぱいに!これこそ香坂みゆきの輝きの秘訣なのだろう。ライブの終わり方も、彼女らしい。 “アンコールはなしです。これが最後ですってはっきり終わりたいんですよね” と言い、14曲目、「グッド・ナイト・ベイビー」を歌った。

静かに響くやさしい声。ゆらゆらとステージを泳ぐように取るリズム。インタビュー中、何度も出てきた “今は歌うのが楽しくて仕方がない” という言葉通りだった香坂みゆきさん、本当に魅力的だった。

『CANTOS』ライブは9月12日、東京・南青山MANDALAでも開催される。ぜひ、CDやアナログ盤LPで1991年の彼女の歌を聴き、ライブで今の声を堪能してほしい。2度おいしいぞ!なにより、いくつになっても未来はワクワク楽しめる――。彼女を見てそう思えるはずだ。そして、ご本人は “もう少し先かな” とおっしゃっていたが『CANTOS4』のリリース、お願いします!

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