病院・介護施設の賃上げ、政府が補正予算で支援
11月6日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、九州大学大学院教授の施光恒氏と寺島尚正アナウンサーが、病院・介護施設の経営改善に関するニュースについて意見を交わした。
施氏「構造的に赤字になってしまっているところが多くなっている」
政府は、病院や介護施設の職員の賃上げを後押しし、高騰する食費や燃料費、委託費などを支援するための補助金を2025年度補正予算案に盛り込む方針を固めた。業務の効率化も推進する。物価高で医療・介護分野の経営環境は悪化していて、全国で提供体制を維持する狙いがある。
医療や介護などのサービス価格は、国が診療報酬や介護報酬として定めるため、施設側が物価や賃金の上昇に応じて自由に値上げできない事情がある。2024年度決算で赤字となった民間病院が全国で5割近くに上っているという。
寺島アナ「施さん、これはどうご覧になりますか?」
施氏「これは勝手に値上げすることができないような形で、構造的に赤字になるようになってしまっているようなところが多くなっているんですよね。特に地方の病院になると医師不足もかなり深刻化しているようなところもありますので、医療報酬・介護報酬をもっと上げないと介護とかで働いている人っていうのがなかなか集まってこないんですよね。ほんとに大きな問題ですよね」
こうした状況に、高市総理は2026年度の診療報酬などの改定前に対処する方針を示してきた。自民、日本維新の会、公明の3党は病床削減策を検討している。医療機関による病床削減を都道府県が支援できると法律に明記して促進を図る。
対策は医療法などを改正して実施するもので、「都道府県は地域の実情を踏まえ、医療機関が緊急に病床を削減することを支援する事業を行える」と時限的に規定する方向だという。現在も都道府県による削減支援は可能だが、法律への明記で都道府県の役割を明確にし、削減を強く促す狙いがある。
病床削減で医療機関の収入が減少した場合は都道府県が財政支援を行うことも想定され、その際の費用を国にも負担してもらうことも盛り込む。人口減少に伴って過剰な病床を削減することで、医療提供体制を適正化し、現役世代の保険料負担などの軽減につなげる狙いがあるという。
寺島アナ「これは施さんはどうお感じでしょうか?」
施氏「実情に合わせて調整していくっていうのは必要だと思うんですけども。ただ、一種の市場経済みたいなものにまかせてしまうと、今度は地方に行ってきちんとした医療が受けられないっていうことになってしまって、これもまたマズいわけですので、そのあたりはきちんと考えた上で、やっぱり一番は政府がもっとそちらのほうに予算を回すっていうようなことをやっていかないと、下手すると本当に地方で医療が充分に受けられない、っていうようなことになってしまいますので」