【横浜市戸塚区】影取町の苗木農家 羽太さん 無花粉ヒノキで農水大臣賞 夫婦連名で、県内38年ぶり
戸塚区影取町の苗木生産者・羽太喜久雄さん(62)と妻の理香さん(58)が育てている「無花粉ヒノキ」がこのほど、全国山林苗畑品評会で最優秀にあたる「農林水産大臣賞」を夫婦連名で受賞した。神奈川県から同賞の受賞者が出るのは38年ぶりとなる。
全国山林種苗協同組合連合会が主催する同品評会は、育苗の技術や経営改善の意欲を高めることが目的。同会所属の生産者が育てるスギやヒノキ、アカマツなどの苗の育成環境や健康状態、苗畑経営の生産力などを審査して、優秀だった生産者に各賞が与えられる。
喜久雄さんはこれまでにも同品評会で林野庁長官賞を授与されているが、最優秀の農林水産大臣賞は今回が初受賞。「苗木の生産を始めた祖父もきっと喜んでくれているはず」と受賞の喜びを語った。
4000本調査で発見
神奈川県では花粉症対策品種の研究に注力しており、丹沢で4074本のヒノキ調査を実施。2012年に初めて、丹沢で無花粉のヒノキが発見された。自然に種子ができないため、人工的に枝の一部を切って発根させる「挿し木」で育てられている。
喜久雄さんは19年から無花粉ヒノキを始めとした、花粉症対策苗木の普及に携わる。同じく無花粉のスギのほか、少花粉のヒノキ・スギをあわせて、現在は計5万本ほどを生産している。
未経験からの挑戦
喜久雄さんによると、夫婦連名での同賞受賞は珍しいという。品評会の審査基準において、配偶者の従事日数や作業分担などが審査され、貢献度が高いと判断された場合に夫婦連名での受賞が可能になる。
妻の理香さんは結婚前まで会社員として働いており、畑仕事の経験がまったくなかったという。苗木生産者として働き始め、仕事を覚えながら2人の子どもの育児と家事も両立させる多忙な日々を送ってきた。
現在は、苗植えや挿し木を主に理香さんが担うまでになり、夫婦で作業を分担しながら効率化を徹底しているという。
理香さんは「最初は本当に大変だったけど、今は苗木生産者であることに誇りがあります。木が大きくなるのを見ることは、やりがいも感じられます」と笑顔で話す。