【愛川町】外国人向けに救命講習 2カ国語話す団員が通訳
愛川町は町内の外国籍住民を対象に、「多言語機能別消防団」の通訳を介した普通救命講習を、10月12日に初めて実施した。日本語に不慣れな住民にも災害時における「自助・共助・公助」の活動や連携が円滑に行える態勢を目指し、防災力の底上げを図る。
多言語機能別消防団とは、外国籍住民を中心に昨年7月に構成された消防団組織。現在は5カ国(ブラジル・フィリピン・カンボジア・ベトナム・ペルー)出身で日本語も話せる7人が在籍している。平時は防災に関するPR活動や避難所設営訓練などを行い、災害発生時には通訳・翻訳を担う重要な役割を持つ。
当日は、多言語機能別消防団員6人と町内在住で日本語があまり話せない外国籍住民6人が参加。さらに多文化共生を研究する東京都立大学の学生4人も加わった。
講習開始前には、同消防団でリーダーを務める山下ジューリアさんから他の団員に対して「通訳の心得」の講話が行われた。その後、町消防職員によるAEDの使用方法などの説明について、団員が参加者一人ひとりにつき通訳を行った。
町消防本部消防課は「こうした活動を通し、『互いに助け合う』という日本の文化への理解を深めるとともに、地域住民との交流を通じた、多文化共生社会における新たな地域防災力の構築を広めていきたい」と話している。
約1割が外国籍
愛川町には今年4月1日時点で、2074世帯3708人の外国人が暮らしており、その比率は全体の9・42%に及ぶ。外国籍住民の増加に伴い、多言語による防災訓練の重要性は高く、その問題に対応するため、多言語機能別消防隊が組織された側面もある。同消防団は今後、消防出初式への参加などを通じて、地域との交流を深めていくとしている。