オンラインで料理イベント ガザ出身のシェフと交流 主催の夫婦「思いに共感」
パレスチナ自治区ガザ出身でロンドン在住のシェフ、オマール・アルハジさん(24)とオンラインでつながり、料理を通して交流するチャリティーイベントが8月24日、高津区の「てくのかわさき」で開かれた。同区在住の山内皓貴さん(27)、玲さん(28)夫婦によるプロジェクト「ちきゅうのだいどころ」の初回企画で、市内外から19人が参加した。
「次はナスを切るよ」。スクリーンに映るオマールさんが英語で話しながら手に持つ特大のナスを画面に向けると参加者から歓声が上がった。オマールさんもうれしそうに「パレスチナは野菜が豊富でとってもおいしいところ。ベジタリアンも多いんだ」と語った。
この日はロンドンと川崎をオンラインでつなぎ、皓貴さんの通訳でオマールさんの指示を聞きながら、パレスチナ料理づくりに挑戦した。メニューは炊き込みご飯「マクルーバ」と、チーズのデザート「クナーファ」の2品。オマールさんは、「マクルーバ」は願い事を込めて作る風習があると説明し、「今日はガザの平和を願おう」と呼びかけた。
3時間ほどかけて2品を完成。ロンドンと川崎にいる全員で、自作の料理に舌鼓を打った。
故郷ががれきの街に
オマールさんは7年前にガザ地区からロンドンへ移住、会計士として働いていた。しかし昨年10月、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルに奇襲攻撃を仕掛け、軍事衝突に発展。イスラエル軍の報復攻撃により家族が暮らす故郷ががれきの街になり、いとこが命を落とした。オマールさんは「何かしたい」と考え、料理で自国の文化を伝えつつ寄付を募る活動を始めたという。
山内さん夫婦は国際交流活動に関心が深く、今年6月まで1年かけて世界38カ国を旅する中で、戦争の遺構や紛争が続いた地域なども訪ねて回った。今春、ロンドンでオマールさんと遭遇。「まず料理の美味しさに感動した。そして平和への願いと家族への思いを聞いて共感した」と皓貴さん。その場で日本でのイベントを提案した。
山内さん夫婦はイベントの様子とオマールさんからのメッセージを動画にまとめ、「ちきゅうのだいどころ第1回パレスチナ編」としてユーチューブで配信中。皓貴さんは「今後も料理を通して様々な国の文化に触れるイベントを企画する」と話す。自国の文化を伝えたいと希望する外国人も募集中だ。
問い合わせは山内さん(【メール】chikyunodaidokoro@gmail.com)。