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大盛況&大熱狂! “ライオット祭2024”ライヴ・レポート@川崎クラブチッタ 2024.7.20

YOUNG

ライオット2024来日

7月20日(土)、川崎はクラブチッタにて“RIOT祭2024”が開催された! アメリカのベテランHR/HMバンド:ライオットをメイン・アクトに、そのフォロワー・バンド/アーティストが脇を固めての1夜限りのスペシャルなライヴ・イベントだ。“キャプテン”こと和田 誠氏が司会進行を担い、“和歌山のライオット”と呼ばれているらしいLOUDSTORMがオープニング・アクトを務め、ライオットを敬愛して止まないイタリアのマルチ・プレイヤー:ヴァレンティノ・フランカヴィラが日本人ミュージシャンをバックにセカンド・ビルとしてプレイし、満員のオーディエンスと共にヘッドライナーのライオットを大いに盛り立てた。その熱狂の模様をここにレポート!!

Valentino Francavilla:高音ヴォーカル&シュレッド・ギターが炸裂、天は二物を与えた!

LOUDSTORMが場内を良い感じに温め、キャプテンの呼び込みで17時半にヴァレンティノ・フランカヴィラのショウがスタート! 2018年に『HEAVY CHAINS』でソロ・デビューを飾った彼は、イタリアのメロパワ6人組:WHITE SKULLにも籍を置くマルチ・プレイヤー。これが初来日で、日本には単身で乗り込み、今回は若井 望(g:DESTINIA、ASHRAIN、SIGH)、オリー・バーンステイン(b:イリュージョン・フォース)、CHARGEEEEEE…(dr:マーティ・フリードマン etc.)とのスペシャルなコラボが実現した。

セカンド・ソロにして本邦デビュー作となった『MIDNIGHT DREAMS』(2024年発売、本国では2023年にリリース済み)もそうだが、アルバムでは全パートを1人でコナすヴァレンティノはギタリスト兼シンガーとしてライヴ・ステージに立つ。驚くのは、まさに“天は二物を与えてしまった”という紛れもない事実。骨太なメロディック・メタル路線にて、クリアなハイ・トーン・ヴォーカルとシュレッド満載ギターを、現在31歳の彼は難なくコナしてしまうのだ。高音ヴォイスはライオットの新旧シンガー:トニー・ムーアとトッド・マイケル・ホールを想起させ、楽曲スタイルはまんまライオット…というワケではないものの、パワー・メタル然としたナンバーは日本のライオット・ファンがすぐに飛び付きそうだ。実際、観客は序盤から大いに盛り上がり、「Welcome To Hell」など疾走チューンではヘドバンの嵐が吹き荒れていた。

中盤にディープ・パープルの「Burn」が飛び出したが、これはライオットが『NIGHTBREAKER』(1993年)に収めたカヴァー・ヴァージョンを意識したそうで、袖で観ていたライオットのマイク・フリンツ(g)は「あれは…俺のフレーズだ!」とビックリしたらしい。また、若井のプロジェクト/バンド:ASHRAINのナンバー「Are You Ready For Rock?」が演目に加えられ、若井による鮮烈なソロが3度炸裂したことも特筆しておきたい。

ヴァレンティノ自身のリード/ソロについては、何と言っても正確かつ丁寧なプレイが際立っていた。シュラプネル作品に刺激を受けてきた…というだけあり、高難度のシュレッドをキメまくるも決して闇雲に弾きまくったりはせず、飽くまでメロディー重視のフレーズを心掛けているであろうこともプレイの端々から伝わってくる。演奏面での生真面目さの一方でイタリア人らしい陽気さも魅力で、何度もMCで「マジパネ~!!」と言っては観客を沸かせまくり。また、今回が初コラボの若井との連携も見事で、随所でツインのハモりやユニゾンで相性の良さを感じさせた。これは今後、スタジオ作品でも2人の共演/競演が期待出来るかも…!?

ヴァレンティノ・フランカヴィラ“RIOT FEST 2024”@川崎クラブチッタ 2024.7.20 セットリスト

1. Eternity(SE)
2. Midnight Wolf
3. Fireland
4. Burn(DEEP PURPLE Cover)
5. Heavy Chains
6. Are You Ready For Rock?(ASHRAIN cover)
7. Keep The Faith Alive
8. Healing My Wounds
9. Welcome To Hell

ライオット:日本ならではの選曲、過去最高級のパフォーマンス!

幕間にキャプテンとヴァレンティノ&若井のトークを楽しんでいるうちにステージ転換が進められ──18時半を少し過ぎた頃、“祭”の主役であるライオットのショウがスタート! 現バンド・ラインナップはトッド・マイケル・ホール(vo)、マイク・フリンツ(g)、ニック・リー(g)、ドン・ヴァン・スタヴァン(b)、フランク・ギルクリスト(dr)と前回2019年来日時から変わらず…なのだが、最年少メンバーのニックが病欠となり、今回その代役としてNECROPIAのジョナサン・ラインハイマーが帯同していた。

2023年から何度かヘルプを務めてきたというジョナサンは、現在34歳のニックよりも少し年上ながら、まだ30代ではあってほぼ同世代。NECROPIAはデスコア・バンドということで、ライオットのオールドスクール路線にどれだけ対応出来るのか…と、実はちょっと心配していたものの、結論から言ってしまうと全くの杞憂でしかなかった。使用ギターこそジャクソンのモダンなモデルだったが、良い意味で古臭いプレイを見事にコナし、マイクとの掛け合いでも“代役”感など微塵も感じさせない。

ただやはり、現行ライオットのギター面における要はマイクその人に他ならず、もうすぐ還暦とは思えない力強いプレイでもって、何度も何度も「上手いな~」「凄いなぁ…」と感心しきり。彼はとにかく、どんなプレイでもどっしり腰が据わっていて安心感と安定感に満ち、全フレーズの説得力がハンパないのだ。さらに初期のブルージー&エモーショナルなフレーズも、『THUNDERSTEEL』(1988年)以降のヒネりを加えたパートも双方それぞれ過不足なく弾きコナし、特に前者でのインプロを交えてのエモーショナルなプレイ、タメを効かせた豪快な運指からは、ベテランならではの風格が漂いまくり。決してテクで圧倒するタイプではないのに、速弾きの腕前はアラカンにして年々向上していっているようにも感じられた。さらに、ショウ後半から黒のレスポール(オーヴィル製)を使っていたのは故マーク・リアリへの思いがあってこそに違いなく、多くのファンが感じ入ったことだろう。

そして、トッドの完璧な歌唱の何と素晴らしいことよ。加入直後から、歴代ヴォーカルすべてをカヴァー出来る並外れたスキルと対応力で新旧ファンを驚愕させまくってきた彼は、50代半ばになっても未だ衰えなど一切感じさせず、最初から最後までほぼフェイクなし、高音パートなど「ここはキメて欲しい」とファンが期待するところも勿論ヨレなしで、もしかしたら過去最高に凄かったかも。本当に惚れ惚れする歌い上げっぷりだった。

セットリストは、現メンツになってからの近作収録曲と、過去の代表曲/人気曲/鉄板曲とのバランスが絶妙で、驚くようなレア曲はなかったが、多くの場面でサビの大合唱やリフ/フレーズの唱和が起こり、日本以外ではほぼ演奏されることがない「Land Of The Rising Sun」(2014年『UNLEASH THE FIRE』収録)のアンコール披露には、みんな感激しきりだったハズ。また、初期チューン「Tokyo Rose」&「Rock City」(いずれも1977年『ROCK CITY』収録)のメドレーも大ウケだったし、「Warrior」での山下昌良(b:ラウドネス)&ヴァレンティノ(ヴォーカルとして)の客演も“祭”ムードを大いに盛り立ててくれた(当初アナウンスされていたラウドネスの二井原 実のゲスト出演は、残念ながら体調面を鑑みキャンセルに…)。

そうして、大盛況に終わった第1回“RIOT祭”──早くも今から第2回への期待が高まる…!!

ライオット“RIOT FEST 2024”@川崎クラブチッタ 2024.7.20 セットリスト

1. SE~Hail To The Warriors
2. Fight Or Fall
3. Feel The Fire
4. Road Racin’
5. Sign Of The Crimson Storm
6. Johnny’s Back
7. Black Leather And Glittering Steel
8. Flight Of The Warrior
9. Swords And Tequila
10. Angel’s Thunder Devil’s Reign
11. Bloodstreets
12. Take Me Back
13. Love Beyond The Grave
14. Tokyo Rose~Rock City
15. Warrior*
[Encore] 16. Land Of The Rising Sun
17. Thundersteel
*…ゲスト参加曲:山下昌良(b)、ヴァレンティノ・フランカヴィラ(vo)

ライオット単独公演:終わらないアンコールに想定外の楽曲を連発!!

“RIOT祭”から中一日で行なわれたライオットの単独公演──こちらも“祭”に負けず劣らず大いに盛り上がった…! まず何より、セットリストが大幅に違っていた点に注目したい。ジョナサンという代役を伴っていたため、通常であれば幅広い選曲はなかなか難しいところ、ライオットはやっちゃいます!! 詳しくは下記一覧を参照して欲しいが、中でもレット・フォリスター期から「Restless Breed」(1982年『RESTLESS BREED』収録)、マイク・ディメオ期から「Magic Maker」(1993年『NIGHTBREAKER』収録)の2曲は、ちょっとしたサプライズになったのでは? やや地味めな前者では、オーディエンスの反応はどうだろう…と思ったら、サビではまさかの大合唱に! また、このスロー・チューンでのマイクのギター・ソロがエモくて…粘っこくて最高だった。

他に“祭”でやらなかった曲の中では、「Fire Down Under」(1981年『FIRE DOWN UNDER』収録)が特に印象に残っている。というのも、ジョナサンがかなりオリジナルに忠実なソロを奏でてくれたからだ。彼は「Outlaw」(『FIRE DOWN UNDER』収録)のエンディングのソロも素晴らしく、普段デスコアをやっているなんて想像だに出来ない──自分の父親世代かというオーソドックス&オーセンティックなプレイ(いわゆる“dad solo”?)で、初期からのファンを唸らせたのである。

そして何より凄まじかったのが、嬉しい悲鳴を伴う終わらないアンコール。もうショウ本編の終盤から、事前のセットリストを無視してファンのリクエストに応えて急遽で曲を増やしたりしていたようだが(どうやら「Outlaw」もそうだった模様)、アンコールではドンが「まだ終わりたくない」とどんどん曲を追加。何と、9曲(メドレー含む)もプレイ! 元々は“warrior”テーマの3曲だけを予定していたから、もう破格の大サービスだ。ラストの「Johnny’s Back」(『THUNDERSTEEL』収録)では、トッドもマイクも最初「まだやるの?」といった表情を浮かべていたが、いざ曲が始まると、言わずもがなで全開バリバリの熱唱&熱奏! 結局、ショウは2時間に及び──終演時、全力でライオット・コールを続けるオーディエンスに向かって、マイクが「See you next year!」と叫ぶと、この日一番の大歓声が沸き起こった。その感動的な光景を、きっと空の上からマークも見守ってくれていたことだろう…!!

ライオット“RIOT AFTER RIOT” 2024.7.22@渋谷クラブクアトロ セットリスト

1. SE~Love Beyond The Grave
2. Victory
3. On Your Knees
4. Feel The Fire
5. 49er
6. Bring The Hammer Down
7. Fire Down Under
8. Restless Breed
9. Bloodstreets
10. Heart Of A Lion
11. Overdrive
12. Magic Maker
13. Outlaw
14. Thundersteel
[Encore] 15. Land Of The Rising Sun
16. Hail To The Warriors
17. Flight Of The Warrior
18. Warrior*
19. Swords And Tequila
20. Tokyo Rose~Rock City
21. Sign Of The Crimson Storm
22. Johnny’s Back
*…ゲスト参加曲:ヴァレンティノ・フランカヴィラ(vo)

(レポート●奥村裕司 Yuzi Okumura Pix●中島たくみ Takumi Nakajima)

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