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もっと、もっとミッフィーを ― そごう美術館「誕生70周年記念 ミッフィー展」(レポート)

アイエム[インターネットミュージアム]

そごう美術館「誕生70周年記念 ミッフィー展」

オランダの絵本作家でグラフィックデザイナーの、ディック・ブルーナ(1927-2017)の手によって生まれた「ミッフィー」は、2025年に生誕70周年を迎えました。1964年に『ちいさなうさこちゃん』が出版されて以来、日本でも幅広い世代で愛され続けています。

今回の展覧会では、ミッフィーシリーズ全作の原画やスケッチが一堂に展示されています。ほかにも、ペーパーバックの装丁やデザインの仕事をしていた資料も紹介されています。


そごう美術館「誕生70周年記念 ミッフィー展」会場入口


ブルーナは1955年から約20年間、「A.W.ブルーナ&ズーン」社でペーパーバックの装丁を手がけました。駅の売店で販売される手軽な本は、読者が一瞬で内容を想像できるよう、明快な色使いや大胆な構図が求められました。ブルーナは、2,000冊を超える装丁を手がけながら、販促用ポスターやイベント告知のデザインなども数多く手がけています。

そんな多忙な日々のなか、1953年には初めての絵本『de appel(りんごぼうや)』を発表。2年後に刊行された『NIJNTJE』では、オランダ語で“小さなうさちゃん”といったような意味の「ナインチェ」という名前のうさぎが登場します。これが、ミッフィーの原点です。


そごう美術館「誕生70周年記念 ミッフィー展」会場


(左から)『りんごぼうや』(改訂版)、『de appel』(りんごぼうや 初版/日本未発行)


絵本制作の初期、ブルーナはポスターカラーを使って絵を描いていましたが、やがて自作の色紙を切って貼る独自の手法を確立。同じうさぎの姿を繰り返し使う構成や、レイヤーを重ねた表現に加え、赤・黄・緑・青・茶・灰の6色からなる“ブルーナ・カラー”も取り入れるようになりました。


そごう美術館「誕生70周年記念 ミッフィー展」会場


『うさこちゃんおとまりにいく』(1988年)は、今回の展覧会で初めて来日した作品です。ひとりで友だちの家に泊まりに行くミッフィーが、おめんを作ったり、お風呂に入ったりして楽しい時間を過ごす様子が描かれています。


『うさこちゃんおとまりにいく』(1988年)


また、ミッフィーの家族や暮らしを描いた絵本にも注目。『うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん』(1996年)では、家族との別れという重いテーマにも誠実に向き合いながら、悲しみのなかでおばあちゃんを見送るミッフィーの姿が描かれています。この作品も初来日となりました。


『うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん』(1996年)


絵本には転校してきた楽しい男の子ダーンや茶色の体のメラニーなど、たくさんのお友達も登場します。パーティーを描いた場面では、ふだんのシリーズには登場しないキャラクターも大勢集まりました。


そごう美術館「誕生70周年記念 ミッフィー展」会場


そごう美術館「誕生70周年記念 ミッフィー展」会場


ブルーナは「今日よりもっといいものを。もっともっとシンプルに」という信念のもとミッフィーを描き続けました。そのスタイルは、決して変わらないように見えて、実は少しずつ進化を重ねています。

2000年代に入ると、ミッフィーのフォルムもより柔らかく、丸みを帯びた印象へと変化していきました。時代とともに変化するミッフィーの姿を、たどりながら鑑賞することで、ブルーナの表現へのこだわりを感じ取ることができます。


そごう美術館「誕生70周年記念 ミッフィー展」会場


時代とともに進化してきたミッフィーの姿をたどりながら、ブルーナの作品に込めた思いと変わらぬ優しさを感じ取ることができます。展覧会は、12月に愛知県の松坂屋美術館へ巡回します。


そごう美術館「誕生70周年記念 ミッフィー展」会場


Illustrations Dick Bruna © copyright Mercis bv,1953-2025 www.miffy.com

[ 取材・撮影・文:坂入 美彩子 / 2025年9月12日 ]

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