脳疲労の悪循環が深刻な病気を引き起こす!活動と休息のバランスが大事なワケとは【眠れなくなるほど面白い 図解 疲労回復の話】
脳疲労の悪循環が深刻な病気を引き起こす
生活習慣病は疲労からはじまる
長期間の脳疲労が原因の自律神経失調症は、生活習慣病とも関係しています。疲労を放置すれば、日本人の三大死因(高齢者に多い肺炎は除く)の「がん(悪性新生物)」、心筋梗塞など「心疾患」、脳梗塞や脳血栓などの「脳血管疾患」のリスクが高まる恐れがあるのです。
脳、とりわけ自律神経の疲労やストレスが長期化すると、内分泌免疫系が自律神経の機能低下を補完しようと活動を高めます。例えば、脳は副腎皮質という器官からステロイドホルモンの「コルチゾール」を分泌させ、心拍数や血圧、血糖値の調整などを行います。つまり、自律神経の働きをサポートし、ホメオスタシスを維持しようとするわけです。ただし、コルチゾールには血圧を上昇させる作用があるため、過剰に分泌されると血管にかかる負荷が増大し、血管の老化を招きます。血管の老化は動脈硬化につながり、生活習慣病の引き金となるのです。
さらに、血糖値を調整するインスリンの働きを低下させる「インスリン抵抗性」を引き起こすこともあります。その結果、高血糖や肥満のリスクが高まり、糖尿病や高血圧、脂質異常などにつながる恐れも。疲労が慢性化すると免疫系にも大きなダメージを与え、インフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるうえに、がん細胞の増殖を招く恐れもあります。
脳疲労のおよぼす悪循環
自律神経、睡眠、疲労、この3つは密接に関係し合っている。疲れがたまれば睡眠に支障をきたし、眠れなければ自律神経が乱れさらに疲労がたまり慢性化するという悪循環に陥っていくのだ。
交感神経と副交感神経
体を動かしたりストレスを感じたりすると交感神経が優位になり、睡眠をとるなど体を休めれば副交感神経が優位に働く。このバランスが何より大事で、疲労をため込めば副交感神経が働くことができず自律神経は乱れる一方だ。
交感神経(活動)
気分 → 緊張 興奮血圧 → 上昇体温 → 上昇筋肉 → 緊張呼吸 → 早い消化 → 抑制発刊 → 増加血管 → 収縮
副交感神経(休息)
気分 → リラックス血圧 → 下降体温 → 下降筋肉 → 弛緩呼吸 → ゆっくり消化 → 活発発刊 → 低下血管 → 拡張
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 疲労回復の話』著:梶本修身