過半数が賃上げされたのに、満足できたのは半数以下 希望と実態にギャップ Indeed調査
Indeed Japan(東京都港区)は12月10日、正社員2400人を対象にした賃上げに関する意識調査の結果を発表。2024年上半期で満足のいく賃上げ上昇率を得た人は半数以下にとどまり、希望する賃上げ率は現状の4倍以上であることが明らかになった。
賃上げ率は平均3.6%プラス、希望と実態の差が最も大きい40歳代
2024年度上半期の基本給が、前年度より上がった人の割合は過半数に達する(51.9%)。企業規模別に見ると、大規模企業では6割以上が賃上げを経験(63.9%)。一方で、小規模企業では5割を大きく下回っており(42.5%)、従業員規模に比例する結果となった。
賃上げ率は平均3.6%プラスだったが、賃上げがあった1246人のうち賃上げ率に満足したと答えた人は49.7%と、半数以上が満足していないという事実も示されている。
そこで、次回の賃金改定での基本給の希望賃上げ率を聞いたところ、平均7.6%プラスであることが明らかになった。同調査では月2.3万円増と試算する(回答者の平均基本月給29.9万円と掛け合わせて金額換算)。
これは2024年度上半期の実際の賃上げ率の4.4倍で、正社員は現状を大きく上回る賃上げ率を希望している実情が浮き彫りになった。希望賃上げ率については、年代によっても違いが見られ、40歳代が最も希望賃上げ率が高く、2024年度上半期の実際の賃上げ率との差も最大だった。
賃上げ実感が物価高に追いつかない! 20歳代は生活が楽になったと感じている場合も
2024年度上半期に賃上げがあった1246人に、基本給増加による物価高への影響について質問した。
基本給が増えてからの変化について、物価高による家計への影響は「大きくなった」(32.9%)と感じる人が、「小さくなった」(18.0%)と答えた人を、約15ポイント上回った。同調査は「賃上げ実感が物価高に追いついていないケースが多いようすがうかがえます」と分析する。
世代別で見ると、20歳代では物価高による家計への影響が小さくなったと感じる人の方が多く(33.4%)、若い世代においては賃上げで生活が楽になったと感じるケースがより多い傾向が示された。
基本給の賃上げを希望する理由として最多は、全世代共通で「物価上昇によって生活費の負担が増えているから」だったことが別のデータで示されている。
賃上げ分の用途トップ3は「貯蓄」「投資」「生活費」いずれも3割超
賃上げによって増えたお金の使い道について、トップは「貯蓄」で38.1%。次に「投資」で36.1%、「生活費(家族の扶養費含む)」が31.6%で続いた。
年代別で見ると、若い世代ほど投資に充てたいという傾向が強く、50歳代のみ「貯蓄」が最も多く、投資や生活費を上回る。投資に回したいと考える割合が高くなった理由について、同調査は「NISA(29.2%が充てたいと回答)などの国の施策や、長引く低金利や円安の影響」を指摘している。
「賃上げに関する意識調査」は、現在就業中の20~59歳の正社員男女計2400人を対象に、2024年8月26日から28日の間、インターネット調査で実施。正社員の属性は、勤務先の従業員規模が2人以上、現在の勤務先の勤続年数が満1年以上、勤務先の事業年度の開始が4〜8月の間。割付方法は性別×年代(10歳刻み)×勤務先の従業員規模別に均等回収。「令和4年就業構造基本調査」を用いて、性年代・従業員規模別の構成比に合わせて補正。
発表の詳細は同社公式リリースにて確認できる。